表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
787/1335

第204話【罪に身に守る子供達】

 僕は今、安全なギルドの中の、最も安心しなきゃいけない所でモンスターとの遭遇感を味わっていた、ああ、これって多分、エルダーとかハイエイシェント級の物のプッレッシャーだね。


 「真壁よく笑ってられるわね」


 って流石の葉山も僕に言って来る。ん? あれ、僕笑ってる? ってかいつもどおりだよ。


 じゃあ、ちょっと話を変えて、


 「でさ、今、君を迎えにと言うか助けに仲間が現れた見たいなんだけど?」


 と質問してみた。それについてどう思うか、とかどうしたいかとかそんな意味を限定しないで、たた言ったみたいに尋ねてみる。


 「いや、私達は誰も助けないし、協力なんてありえないな」


 と切られてしまう。


 「いや、だって、沢山来てるよ」


 「人数か? それは関係ないだろ」


 と言われて、思うのは、この異造子さん達って、出方とか行動の仕方が人のそれより、モンスター、と言うか、いやモンスターさん達は概ね『運営側』なので、この場合、動物のそれに近い気がした。


 つまり何も考えてない。


 今回のことだって、こうして姿を現して、表立って攻撃してきたのだった、僕が巣穴を突いて、生存圏を壊したり、追い詰めてしまったからみたいだからって気がする。


 ほんと、真希さんの言う通りだね、気軽に大きな組織を殲滅なんてするもんじゃないよ、今後はもっと慎重に動こうかな、って一頻り反省してみる。


 「真壁にそんな事できる訳ないでしょ」


 って葉山に囁かれる始末だよ。本当に僕の心で思うことって彼女達にとってはプライバシーのカケラもないもんな、思った事に答えな意で欲しい。一応は、そっと忍ばせて欲しい。「はいはい」ってその事にも返事する葉山だよ。


 で、


 「じゃあ、貴方を助けに来たわけじゃない、でも、それなりの数が個々に来ているって今の状況はなんなの」


 と、葉山が尋ねた。


 すると、


 「私と一緒だよ」


 と一言、榴さん。


 「追い詰められて、最後の抵抗って感じかな?」


 これは僕。


 すると榴さんはまた笑って、


 「バカを言うなよ、お前の配下にすら敵わない私達が、あの暴力の極み、凶竜に敵う訳ないだろ? わかれよ、自殺だよ、もう私達にはできることがないんだよ、全部終わったんだ、だからもういいんだ」


 と言った。


 「罪と汚れによって生まれた私達は、みんな最初から罰を与えられている、だから、罪を償ったら、このクソみたいな世界から私達の世界に帰るんだ、邪魔なんだよ、こんな体!」


 さっきまでの言い方じゃない。


 だって、凄く僕の心に突き刺さるくらい響いで来るから、この言葉が全てなんだと思った。


 そして死んで戻るってどう言う意味だろ?、もしかしたら、死によって一度全部リセットされるみたいな考え方って、かつての黒の猟団でもされてたから、世界蛇とかも、この辺から来ているのかもしれない、って思ったんだ。


 そんな言葉を受けて、びっくりしたのは葉山が怒ってる事。本当にわかりやすくワナワナって感じて怒ってる。


 「罪って何よ?」


 榴さんは、半笑いで、そんな事もわからないのかって感じで、


 「罪は罪だ」


 「だから、貴方はなんの罪を背負ってるの? 今、やろうとしてる事じゃない、やってきたことでもない、その生まれながらの罪って奴を答えて」


 ビックリした、葉山、本気というか、真剣に怒ってる、ちょっとイラついたって言うレベルじゃないよ。


 榴さんは、ようやく本気で怒ってる葉山に気がついて、その感情に目の当たりにして驚いてるみたいで、


 「それがお前になんの関係がある?」


 話にならないって程で、わかりやすくてこの論争から逃れようとした。


 「ない訳ないでしょ? 当事者よ、いいから答えなさい」


 ジッと榴さんを見つめる葉山は全く彼女を逃すつもりなんてない。


 「だから、その辺については、茜から聞いてるだろ、私達はみんな魔物から生まれてるんだ、そしてこの姿だ、これを罪と罰と言わずなんと言うのだ?」


 ここで榴さん、キレたみたいな物言いになる。


 「わからないわ、何が罪なの、なぜ罰なの?」


 「話にならない」


 そう言ってから、


 「もうこの話は無意味だ、みんな死ぬ、それで終わりでいいだろ? 敵は殺す、敵は死ぬ、そしていなくなる、これは当たり前のことだろ?」


 そうだね、確かに簡単だ。


 僕らはこの北海道ダンジョンで敵になるモンスターを積極的に排除してきた。言い方を変えればモンスターを殺して来た。


 もう二度とあのダンジョンブローアウトを起こさない為に、ザクザクモンスターをやっつけて、つまり殺して来た。そんなモンスターとの戦いにあって、相手にもよるけど、僕らだって死ぬような思いをして来た、殺されて蘇生したダンジョンウォーカーだっているだろうさ。でも、ここに来て思うのは、そんな構図なんて最初から無くて、僕らもモンスターも死ぬって事が遠いんだよ、このダンジョンでは。


 ダンジョンウォーカーなら例え死んでもそれは簡単に蘇る事が出来る。いいや、違うな、死んだ事がなかった事になる。僕らはこのダンジョンの中で命を落としても、存命な状態まで時間を戻されて死どころか、怪我をした事、戦った事すらなかった事になる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ