第199話【またもや強襲!異造子さん達!!!】
真希さんからの情報に雪華さんも考える。ほんの一瞬だけど、
「対策は?」
「笛の音を聞かない、だべ」
「物理として聴覚遮断での対策で対応は可能ですか?」
そして、
「うーん、どうだべ? その辺については正確に調べたことがないからわからないべ」
雪華さん、再び考え込んで、
「状態異常を全て遮断する『アイギスの守』は有効ですか?」
ああ、あのティアマトさんのヒゲで作ったお守りだね。なんでも100個以上は作れて、未だ増産中って話だね。
「あれは全ての状態異常に抵抗するべさ、もちろん有効だべ」
急にこっち向いて雪華さん、
「秋先輩、笛の使用者に最も接近する秋の木葉の人達に、『アイギスの守』を全員に装備させてください、あと、秋先輩自身も」
と言って、
「秋先輩は私たちの決戦兵器みたいなものですから、相手のスキルがどのようなものか見定めからご活躍いただきたいのですが」
って歯に物が挟まったものの言い方、つまりは僕が相手の思うままになるのってそのまんま最悪の事態になりかねないってことだもんね、その辺はわかるよ、大丈夫、きっと操られないようにするね。
「うん、わかったよ」
もちろん、僕も手伝うつもりだったから、その辺は利用させてもらう。
「ともかく、今はわからない事が多すぎます、ある程度の概要がつかめるまでここで待機をお願いします」
「うん、わかったよ」
そのまま真希さんと雪華さんは部屋を出てギルドの本部室へと向かって言った。その後ろをくっついて茉薙も。
薫子さんも当然行こうとするけど、その手を葉山に掴まれて、「薫子は待って」と言われて、素直に、「わかった」と言って待機する薫子さん。
雪華さんが中心になって動いている以上、声がかかってないってことは、自分もここの、つまりは僕の一部として機能して欲しいってことだって判断してるんだろうね。
最近なら薫子さんって僕らと一緒に行動する事が多いからね、この辺の扱いにももう慣れ来たみたいな感じだ。
騒然とするギルドの内部、僕らのいる部屋からその喧騒が聞こえてくる。
この騒ぎは、この前のゾンビ事件以上かな。
すると、今度は葉山が、
「また、嫌な感じね」
って言った。
そうだね、僕もそれは思ってる。
「蒼さん、展開してるの?」
するとスッと蒼さん、僕の傍に現れて、
「はいギルドを中心に、外は大通公園界隈を範囲に入れています、それ以外はギルドの指揮下に入っています」
なるほど、なら、主に外は大丈夫だね、前みたいない外の世界に被害を拡大させたくないから、きっと来るなら、また奇襲だ、しかも今回、前の世界蛇の時みたいな嫌がらせみたいな攻撃じゃなくて目的はある。
ここに二人も捕まってるからね、それを助けに来るって僕は踏んでいる。
異造子さんたちの個人としての戦闘力はそうでも無い、加えて人数も少ない。
そんな彼等は常にテロ行為を狙っている。
小さな力で十分な効果を狙う絶妙なタイミングを計ってやってる事だと思う。
そして、このダンジョンの最大の組織であるギルドはいつになく激しく動揺している。
ギルドの場合、守るものが多くてやるべき事も多い。そして信用と責任があるから、そして、真希さんとかなんかまだ隠してるというか僕には告げてないこのダンジョンというかこの世界に対しての約束みたいなものがあるようでなんらかの制約みたいなものがかかってる。
こういうことって、方法を選ばない相手にとっては大きなハンデになるんだよなあ。
なら、ここに今残ってる全戦力を集中して来てもいいかもしれないって敵は考えてると思う。
もちろん、彼等の目的がなんであるか僕にはわからなにから、こんな予想は当てずっぽうでしか無いけど、つまりはきっとそんな所だ。
葉山もその辺に気が付いてる見たい。
ジッと座って、気配を待ってる。
すごいなあ、僕にはこんな感知能力とか無いから、本当に感心する。これはスキルにも分類されないスキルの一つだって、葉山は言ってた。
その横では無理やり葉山によって残された薫子さんが、心配そうに見てる、でまだこの二人、互いの手を握りあってるんだよなあ。仲良しさんか?
そんな微笑ましいというか、薫子さんが慮ってる葉山が何かを感知したように、ハッとして顔を上げる。
同時に、蒼さんの声が響く。
「敵襲!!!!!! 数! 4名!!!」
ん? 2人少なく無い?
まあ、いいや、じゃあ、決戦兵器出撃だね。