第195話【攻防からの温玉のせ豚丼計画】
真壁家では七輪で豚肉焼くんだ、これ僕の仕事。帰ったら準備しないと、備長炭あったっっけな? 確認しないと、じゃ、終わらすよ。
って思って改めてみると終わってた。もう倒れたた。
とういうか、茉薙が倒してた。
あっさり異造子な人、二人目確保だね。
蒼さん達、藍さんと紺さんが来て、上手に梱包じゃなくて、拘束してた。されてる本人は気を失ってるから、ちょっと重そうで扱い辛そうだったけど、上手く纏めてた。で、そのまま角田さんが転移ゲート開いで、あ、奏さんと、鴨月君が付き添ってギルドに運ぶんだな、その様子を水島くんが「なんだよ、お前らまた一緒に行くのかよ」とかやっかみ入れてた、西木田くんが何かいう前に、「男の嫉妬は見苦しいですよ先輩」って紺さんが突っ込んでた。
割と余計な段取りも多かったけど、ここまでの流れ早いなあ。もうすっかり手慣れて来た感じ。
そんな様子を生暖かく見守ってると、目の前に小さな金属片がビュンビュン飛んで来る。
ああ、そうか茉薙の大剣プレアデスが見えなかったのは、僕の目の前に現れた時にはもう宙に展開させてたからか。この刃片、銃の弾丸なんて可愛く思えるくらいの速度で飛んで来るらしいから、茉薙が操る剣って、重さに比例して速度とか上がってくるのか、それとも以前よりも扱いが上手くなってるのか、葉山とやり合った頃は、量に翻弄される事はあっても速度はそれほどでもなかったからね。
「もう終わったぞ、早く帰って豚丼食べよ、早く早く」
って急かされてしまう。ほんといい笑顔だよ。
片手に持ってた破砕剣プレアデスに数千に細かく分離した刃を集めて背中に背負いながら僕の手を引っ張ってくる。
「もう、茉薙、はしたない」
って雪華さんは恥ずかしそうだった。いいよ、いいよだってお腹が空くのって健康な証拠じゃん。茉薙、本当に元気でいいよね。
すると雪華さんは、
「あの、お野菜はありますか?」
って葉山に聞いてた。
「特に今日は何も考えてなかったなあ、何か刻んてサラダとか作る?」
「ならば、また味噌汁にでも入れて温野菜にした方が消化にいいのではないか?」
葉山の答えに対して、新たなプランが薫子さんから意見が出つつ、
「いや、野菜はいいよ、そんなに無理して食べるものでもないじゃん」
決して遠慮ではないところから茉薙の否定が入ると、
「ダメ、ちゃんとバランス良く取らないと、茉薙は今、体を作ってる途中なんだから、栄養は偏ってはダメです」
って雪華さんに言われて何も言い返せず、どう言うか訳か僕の足を蹴る。なんだよ茉薙八つ当たりかよ、って思ってると、僕の目をジッと見て、
「お前も食えよな」
って変な所で巻き込み、念をおされる。
何言ってるんだ? 僕、茉薙違って野菜は嫌いじゃないからね。キャベツとかモヤシとかはドンと来いだよ、って胸を張ってると、
「ピーマンあるからね、残しららダメだよ、真壁」
って葉山に言われる。
うへえ、ピーマンかあ、あの緑は食い物って感じしないんだよなあ、中に空間多すぎるし、香りも自己主張が激しすぎるし、見えないくらいに細かく刻んてハンバーグとかならいいんだけどなあ、後、もうちょっと大きくてもいいから焼きそばとはも。生スライスとか、もうあれ、食べ物じゃないよ、味と香りと色はもう毒って言ってもいいかも。
そんな僕の否定的な顔色を見て、何かを感じ取った様に茉薙は、
「俺もアレ嫌い」
と同調してくれた。
だよね。
そして、その後は何もなかったみたいに僕らは世界蛇の復旧に戻った。
ダンジョンの中だからさ、時間の経過に鈍くはなってたけど、夕刻には一旦作業を切り上げて、僕らは地上に帰った。その時、またサーヤさんと桃井くんを家の夕食に呼んだんだけど、今日は、みんなで深札幌に帰るらしい。
一応、そこにみんなが一緒に住んでいた場所があって、今日からそこで生活して行くんだってさ。
そうだね、そこならフアナさんとかも一緒に居られるし、文字通り夫婦水入らずだね。
次の日も復興のお手伝いを約束して僕らは帰路に着くことにした。
一応、真希さんのところに顔を出す。
物のついで、と思っていたけど、結構重要な報告みたいな扱い受けて、しっかり一室用意されていて、そこに通された。
多分、この話って異造子さんの事を含めてみんなで気軽に話せる内容ではないのかもしれないって、今更ながらに思った。