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第186話【世界蛇の復興活動開始】

 僕たちは今、世界蛇の再編成の為に、深階層に来ていた。


 建物とかの復旧と、組織そのものの桃井くんを含めた再編成。


 災害復興みたいな感じかな?、その言い方だと僕らが災害そのものになっちゃうから微妙だけど。


 結局、あの教会みたいな建物も、角田さんの魔法で半焼していて、しかもメインの柱とかも強度が怪しいくらいなので、もう一回立て直すことになるらしい。


 全く、角田さんは加減を知らないからなあ。


 「待って下さいよ、俺が焼いたのは通し柱2本くらいのもので、メインの石柱砕いたのは秋さんですよ」


 とか言う。角田さんのクセに、細かい事を言う。良いんだよ、責任なんてみんな一人一人の心の中にあればさ、そう、振り分けて少しでも小さくが基本だよ、もう、繰り返さない、そう思うことが大事なんだ、思うことがね。 


 「何を綺麗に纏めてるのよ、真壁、本体の人たちに呼ばれてたでしょ、早く行きなさいよ」


 って、チリジリになった書物を拾い集めて再編集するって作業をしていた葉山に言われてしまう。


 「それとも、こっち手伝う? この人たちの本、一般の言語とは違うから、そこからの理解から始めないといけないけど?」


 ぱらっとめくって見せてくれる書物の一枚を差し出されるんだけど、本当に意味がわからない文字に埋め尽くされていいて、一文字だって理解できない。


 この文字を理解するのって、ある程度の魔法スキルが必要らしい。だから僕、無理。


 「あ、そうだね、すぐに行かないとね」


 僕は逃げるようにその場を離れた。


 こう言う時って、無理に我を通したりってのは良くない、葉山みたいな頭のいい人が頭のいい人として上手く回るようにしているのだから、僕みたいな人間はそれに素直に従った方が効率が良いと言うものだよ。もう、なんでも言ってよ、って広い心が大事。


 すると、仮の建物、テントみたいな所から紺さんと水島くんが出てきて、


 「あ! 真壁じゃん、結婚おめでとうな」


 って水島くんに言われた。普通の顔して言ってくるからびっくりだよ。


 で、紺さんも、どこか他人行儀でペコリとお辞儀してくる。


 思わず、


 「いや、違うんだよ………」


 そうなんだよね、ギルドの人達も手の空いてる人は手伝いに来てくれてる。他にも相馬さんとか鴨月君とかも何処かにいるはず。でもって、もうこんな誤解が広がってる。


 僕はあの時、あくまでも桃井君に、「そうしたら?」的な事を言っただけで、僕自身がそうなりたいって言っていた訳じゃないんだ。それをどこをどう取り違えたらこんな噂というか僕が一夫多妻婚をした、もしくは宣言したなんて話になるんだろうか?


 「だから、聞いたぜ、東雲春夏を中心とした一夫多妻婚したんだろ? 俺はお前が事実婚宣言したって聞いたけどな?」


 水島君は口勢を弱めずガンガン誤解を招く様な事言って来る。


 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや………………違うから。


 なんとも答えずらいと言うか、その辺の誤解は解いておきたくて、まずどこから手をつけようかとあれこれと言葉を選んでいると、


 「あ、そうだ、うちの姫様と河岸も入ってんだってな? いつの間にそうなったんだよ?」


 って言う水島くんの目はどうも呆れている感じだ。


 すると、今度は紺さんが、


 「お屋形様、どうか蒼様を末長くよろしくお願いいたします」


 と若干、気のせいかもって思いたいけど、眼を潤ませて願うように言って来る。


 そんな風に固まっていると、


 「ほら!真壁、急いで! みんな待ってるよ!」


 って後にした葉山が遠くで僕を急かしている。


 「ほら、奥さんもああ言ってるぜ」


 って水島くんは行ってしまう。紺さんも行ってしまう。え? なんかあっさりしてない? 感心してるっていうより、どこか呆れてるって感じなんだけど、気のせいかな?


 ちょっと心が暗がりに向かいそうになるのを強引に、考えすぎているってことにしたいんだけど、いや、でも、これじゃ僕、とんだ節操の無い所謂変態さん見たいじゃん。


 少なくとも水島くんはそう思ってたよ、そう言う眼をしていたよ。本当やばいなあ、早急にどうにかしないと、これじゃあ僕がその辺にいるエロハーレム大臣と一緒に見られてしまうよ、ほんとどうしよう。 


 「秋くん、あっち、私も行くから一緒に行こう」


 って春夏さんが声をかけてくれた。


 いつもと変わらない春夏さんの笑顔。変わらない優しい言い方。ちょっとホッとする。


 でも、何かこうモヤモヤっとするから、誰かに何かを言いたくて、ともかくこれは違うんだって言いたかっただけで、


 「春夏さん、僕そんなんじゃないからね」


 って言ってしまったよ。言葉足らずで何を言いたくて何を否定しているのかさっぱりな僕の気持ちなんだけど、春夏さんは、


 「うん、秋くんはそんなんじゃないよね」


 って言ってくれるから、そうか、春夏さんがわかってくれるんだったらそれでいいやってなるから、後はもう周りの人に何言われったってもういいや、ってなった。


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