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第185話【桃井くん+(お嫁さん×2)≒解決!】

 そんなの僕にわかる訳ないじゃん、ってちょっとキレそうになるけど、ここはまだキレる様な時間じゃない。そうだ、みんなも気がついてるってことは、今ある材料でここにいるみんなはなんとなく気づいてるって事はきっと僕が見落としてる何かがあるって事だ。それはあたかも普通の顔をして、僕の意識の中では認識できない何かなんだ。


 なんだろうなあ?


 ほんと、なんだろう?


 僕が知る、桃井くんを取り巻く状況で明らかな事変って………………………


 「結婚………………………くらいかなあ………………………」


 思わず呟いてしまうと、その奇跡が起こった。


 「そうよ、そこなのよ!」


 って葉山が言う。人の肩掴んで、人をガクガク揺らしながら言う。


 答えらしい事言ったみたいだ、僕、でもそれがなんでかわからない。


 「なんで結婚? しなきゃ良かったって事?」


 「そうなんですよ秋先輩、好きな人は他の人と結婚してしまったら、残された人は悲しいですよね、泣いちゃいますよね」


 まるで園児に言い聞かせる様に諭されるんだけど、そうだね、悲しいね。


 でも、ようやく理解できた。


 ああ、なるほど、って思えた。


 桃井くんも、少し寂しそうなそんな顔してるから、きっと今でもわだかまりがあるんだと思う。なるほどね、そうなんだ。


 だから、僕は言った。もう、これがここでの一番正しい判断だと思うから、桃井くんに言ったんだよ。


 「じゃあさ、サーヤさんもお嫁さんにすればいいじゃん」


 その言葉に、まるで時間を止めたみたいに、全員が固まってしまう。笑っちゃうくらい動かない。凍てついてるって感じかな。


 「秋さん、意味わかってます?」


 一番最初に硬直が解かれたみたいに角田さんが僕に言ってくるから、


 「わかるよ、ほら、最近、ハーレム大臣だったっけ? そんな話出てたじゃん、ああ言うのもあるんだなあって、ちょっと思い出したからさ」


 桃井くんなんて鳩が豆鉄砲食らった顔してて、


 「あの、秋様………」


 その後の語が継げないでいるくらい驚いてる。


 あれ? そんなに凄いナイスアイデア? 


 だって、三人とも仲よかったんでしょ?


 「フアナさんってサーヤさんの事、好きだよね?」


 って尋ねると、フアナさん、本当に満面の笑み。


 「じゃあ、いけるんじゃないかな?」


 仲良しな三人がいがみ合うより、悲しい思いするよりよっぽど良いじゃん。それに、この三人が最初からハーレム婚だっけ? そんな形になっているれば彼らだけで完結して、あのゾンビ騒ぎも諸々の軋轢もなかった訳だよ、ほら、みんな幸せになれるじゃん、何を躊躇する必要があると言うのだろう?


 あれ? なんか解決な感じかな?


 特に、あの葉山ですら文句も言わずに黙って思考を巡らせているし、納得してるみたいな感じだよ。小さな声で、


 「まさか、そんな風に考えてるなんて………」


 とか感心するみたいに呟いてくる。


 「秋先輩って、こう言うことには成熟していないと思ってましたが、まさかこんな先進的な考をしてるなんて想像もしていなかった」


 って雪華さんも言ってた。


 「お屋形様………」


 ん? どうしたの蒼さん?


 解決っていうか、なんかもっと深い霧の中に迷い込んだみたいになってる?


 いや、ちょっとみんな難しく考えすぎだよ、って言おうとしたら、


 「一回、みんなで話し合わないとね」


 って僕ではなく、他のみんなを見て葉山が言う。


 「そうですね、ちょっと考えを改めないといけないかもしれません」


 と雪華さん。


 「多月さんはどうするの?」


 「参加だ、椎名も呼ぶ」


 「私も参加したいので、できればダンジョンで、場所は用意できます」


 とキリカさんが言った。


 「いや、ちょっと今は桃井くんの話をしているんだよ?」


 って言うんだけど、誰も話を聞いてない。


 唯一、


 「大丈夫だよ、秋くんは心配しないでいいから、よかったね」


 って春夏さんに言われて、ちょっと安心してしまうけど、いや安心して良いのか? 良いんだよね、だって桃井くんの方の問題は解決な訳だから、これでいいんだよ、いいなだけど、なんだろう? ちょっと不安とと言うかわだかまりというか、あれ?


 なんか変な話になってない?


 僕はあくまでも桃井くんの話を………。


 気がついたら、葉山をはじめとして、春夏さんも、その他女の子たちは集まって日程の調整をしていた。


 ま、まあ解決だし、よかったよ。


 って今は強引に押し込んで、今後起こる自分自身の環境に関する事変は考えないようにしようと思った。

 


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