第179話【ただただ、ひたすら怒られる僕】
世界蛇って組織が無くなってしまったその日に僕らは真っ直ぐに帰れずに、みんなギルドに仲良く呼び出された。
ギルドなんで、薫子さんと雪華さんはもちろんいるし、いつもの僕の仲良しパーティーのみんなも、いつもはこう言った呼び出し案件はスルーな角田さんも今日はいるんだよね、真希さんの招集には逆らえないみたい。桃井くんとサーヤさんについては違う部屋で色々聞かれてたりしてるのかな? ここにはいないけど一緒に来てる。
「で、どうしてそうなったのか説明するべ」
僕は今、ギルドの本部に来て、真希さんと膝をつき付け合わせて会話している。
そうだね、ちょうど職員室に呼ばれて担任に説教されてる感じに似てるかな?
で、先生も優しいし、長くなるからって、デスクチェアに向かい合ってに座っていいよ、ゆっくり話そうか、って感じかな。
真希さんニコニコしてるけど、怖いけど、とても怒ってるけど。
「すいません、私も同行してましたが止めれませんでした、今回のことについては責任の一端は私にもあります」
って僕の横で深々と頭を下げるのは薫子さんだ。
「姫様は何も悪く何ですよ、私です、私なら止められました、でも、止めることはできませんでした、今回の事は、私の責任です、どうか秋先輩を責めないでください」
すると、真希さん、
「攻めるも何も無いべ、私はこの暴れん坊に話を聞いていつべ、ほれ、世界蛇壊滅させた時くらいに元気におねーさんに話してみるべ、ん?」
って、突きつけてる膝を自分の膝でコツコツと小突いて来る。地味に痛いからやめてほしい。
「いや、だって」
なんかどう言っても言い訳臭くなりそうで、次の言葉が出てこないんだけど、
「確かに、あの時、真壁は話し合いに言ったんですよ、態度とかなってなかったけど」
って僕の保護者の様に後ろにいる葉山が言うんだけど、普通の態度だったよ。
「ほれ見ろ、お前の所為だべ!」
って、ペンっておでこを叩かれる。痛くは無いけどちょっと恥ずかしくて屈辱的な感じで、何すんだよ!って顔するけど、そのまま真希さんの笑顔に押されて黙り込むしか無くなるけど、僕だって言った。
「普通だったよ、まさかあんなに怒り出すなんて思わないじゃん、そしたら蒼さん達だって僕を守ろうとするじゃん、じゃあ戦争になってしまって、もう僕にはどうすることもできないから、一緒に戦おうってなってしまったんだよ」
またペシって叩かれる。あれ? なんだ、今度は来るのわかってから回避できそうなものだったけど、叩かれてしまう。さっきの屈辱感よりも不思議な感じで満たされてしまう。
「なってしまったんだよ、じゃーねーべさ、お前さ、運営側だべさ、組織一つ潰してどーするべさ? しかも、あれ、モンスターとダンジョンウォーカーがいい感じに共存できてたレアケースだべさ」
言われながらペシペシ叩かれて、この椅子、キャスター付きだから、そのまま押されて後ろに下がるも真希さんそのまま追従してペシペシ連続で叩かれる。
「痛いな! もう!」
ってついには僕も怒ってしまうのだけれども、
「ああ? なんだべ? なんか文句あるんのか?」
って凄まれる。
いや、ほら、僕、真剣に怒った女の人ってかこの場合真希さんだけど、逆らえる気がしないからさ、「うう」ってなって黙り込むしかない。
そうしたらさ、雪華さんが、
「真希さん、叩きすぎです、秋先輩がバカになっちゃうじゃ無いですか、仕方ないです、多分どう交渉しても結果は遅かれ早かれああなってましたよ、真希さんだって、病原体やゾンビ毛をばら撒く様な組織は容認できないって言ってたじゃ無いですか、むしろそれでよかったんです」
ってイスと共に退がり続ける僕と前に進んでいた真希さんの間に雪華さんが割って入ってくれた。
そして、僕の後ろで僕と一緒に退がり続けていた葉山が、僕ごと椅子を前に戻してくれた。このまま退がり続けると、話聞かないふりしてた麻生さんにぶつかってしまうからね。
その葉山が、
「でもさ、他にもやり方はあったでしょ、もうちょっとなんとかならなかったかなあ」
って言い出す。
「あそこに、異造子が潜り混んでたのはもうわかってたべ」
と言う真希っさん、
「なんだ、知ってたんなら教えてくれればこんな事にならなかったのに」
って言ったら、
「お前が黒の猟団を潰して、 行き場なくしたあいつを追い詰めたべさ!」
って怒鳴られたよ。
「でも、彼らだって、こんなデタラメな戦力に敵対しないって言う方法もあったんですよ」
と葉山は言った。いや、他人事みたいに言ってるけど君もだからね、って言うか、みんな一緒に全滅させたじゃん、なんで僕だけ悪いみたいになってるの?




