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第178話【ホントは話し合いに来たんだよ】


 完全に、背後に回った『異造子』の人。しまった、って思って、その盾にしようと人選した人物を見て、さらにしまったって、流れ的にはいいけど、でもしまったって思ったよ。


 「今日は逃げる、追うなら、この娘をこのまま捕獲するぞ」


 って睨みつける顔が、ちょっとおかしな方向に向いて、気が付いた時には小雪さんに全身を絡め取られて、腕と足がおかしな方向に回っていて、程なくしてバタンと倒れる。


 「え? あれ? ちょっと、なにしてる?」


 倒されてピクリとも動けない状態でわかりやすくパニクってる。


 ああ、これは逃れられないね、何をしようにも主要の関節が全部、逆方向に決めらていて、力を入れようにも全部霧散してしまう様な形を構成されてる。どこをどう動かす事なんて出来やしない状態になってる。


 「力入れても無駄です、人の体で人と同じ関節なら、私に決められたら絶対にぬけだせません、首もあるからキュッて出来ますよ」


 で、そんな小雪ちゃんに駆け寄って来た咲ちゃんが、


 「トドメ刺す?」


 って無邪気な笑顔で聞いていて、


 「うん、刺す」


 「私やる?」


 「お願い」


 って言われて、ちょっと形容できない変な構えから、動けなくなってる『異造子』の人 に、拳、いや掌底かな、そんなのを叩き込もうとしている時に、僕はハッと思い出した様に、


 「あ、殺さないで、蘇生できる人いないから」


 って言ったら、


 「あ!」


 って言った咲ちゃんが中途半端に振り下ろして掌底が変な形で相手の腹部に決まってしまい、


 「ぐああああ!!!!」


 って喰らった『異造子』の人、小雪ちゃんからぼ拘束を解かれて、床の上をのたうち回ってた。


 立ち上がり、埃をパンパンと払いなら小雪ちゃんは、その苦しみにのたうちまわる『異造子』の人を見て、


 「打ったの?」


 「うん、半分だけにしといた」


 「じゃあ、半分ジュース?」


 「うん、かもね」


 すごいよ、ってかヤバイよ、ジュースってなんのことか考えない様にした上でも、この子達、僕止めなかったら確実に、迷わず殺すつもりだったってことじゃん。見た目に普通なんだけどなあ、この戦闘能力と容赦無さ具合は、ちょっとクロスクロスじゃ荷が重すぎる子達かもしれない。


 「これで、真壁秋を倒せます」


 「倒せます」


 って、そのほのぼのとした殺意がこちらに向き始める頃には、


 「ほら、君たち、半殺し以上はダメだって言ったでしょ、僕の話聞いてた?」


 ああ、良かった保母さん、じゃなかった八瀬さん来てくれたよ。


 「だって、あの敵、私の真壁秋を!」


 「そうです、だって真壁秋を倒そうとしたんです!」


 って、だってだってを繰り返してる。


 「はいはい、わかったよ、うん、君たちの気持ちもわかるよ確かにそれはダメだね、でもね、それはそれ、これはこれだよ」


 って言われて、注意は促されるものの、不満は聞いてもらえたみたいな形で、半分不満で半分は満足って捉えてる見たい。八瀬さんて、ああ言う子の扱い上手だな、ってちょっと感心した。


 そして咲さん、のたうつ『異造子』の人にスタスタと近づいて、「えい!」って掛け声と共に、的確に急所に向かって手刀を叩き込んでた。で、叩き込まれた『異造子』の人は「ぐえ!」って短い言葉を発してそのまま静かになった。普通に意識を無くした見たい。 


 「内臓ボロボロだから、大人しくさせないと死んでしまうので静かにさせました」


 って咲さんが申告してくれたけど、どう返事していいのかわからなくて、躊躇してしまっている僕に、八瀬さんが、


 「ほら、ダメだよ、良い事したら褒めてあげないと、今、小咲ちゃん狂王様からの褒め待ちだよ」


 いやいや、犬猫の躾じゃないんだからって思ってるとけどジーッと僕を見つめる咲さんの視線に気がついて、


 「い、いやあ、ありがとう、よくガンバッったね」


 って取っては付けた様に言うと、二人とも輝くばかりの笑顔で、ハイタッチ。


 「真壁秋に褒められました」


 「褒められました」


 って喜んでた。


 でも、


 「いつか真壁秋は倒します」


 「いえ、私が倒すのです」


 って内容とは裏腹なキャッキャ具合に、何かこう、どこか違う星の人を見ている様で彼女たちのノリというか気持ちというか価値観がよくわからないけど、結果だけ言うと助かったよ、こんなに上手く僕らの手の中に落ちるなんて思わなかったから、彼女達の捕獲と言うか捕縛と言うか捕食見たいなスタイルは今後も貸していただけたらと思う。


 これでひとまず終わったかな、って思ってる僕の元に、再び蒼さんが来て、


 「世界蛇、殲滅終了にございます、戦後処理はお任せください」


 と淡々と終了を告げてくれた。


 僕の運営側としての初仕事は済んだ気がするけど、一応は、かつて、浅階層で黒の猟団を全滅させた時よりは優しく丁寧に壊滅させたつもりだけど、多分、重篤な人とか出てないよね?、全体を見てる訳じゃないからわからないけど。


 まあ、いざとなったら雪華さんも来てるし、その辺はなんとかなるかな。


 そんな僕の元に、桃井くんとラミアなフアナさん、そして彼らに連れられてサーヤさんも来ていた。サーヤさんだけ憮然とした表情だったけど。


 そんな桃井くん、ちょっと顔の陰りが消えていて安心した表情になってて、良かったなあ、ってそれだけでも苦労した甲斐があったって思ったよ。

 

 

 


 


  

 


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