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第170話【ダンジョンは今も静かに漏れ出している】

 じゃあ、あの時、イケイケだった彼ら、追尾襲撃して来た昔は黒の猟団、今は秋の木葉の人に誰に頼まれたか聞けばいいじゃん、と思って、


 蒼さん見ると、蒼さんもそんな過去は黒歴史らしくて、ちょっと顔が赤らんでいた。


 なんか、この『異造子』の人達、僕の家にホームステーしてる女子達の黒歴史に関わってる、そんな人達なんだな、って新たな認識ができる。余計な振り返りはやめてあげよう。


 その上で、


 「蒼さん、何か知らないの?」


 と尋ねると、


 「その時は、多くの仕事を多くの人間から受けていますので、窓口も一つではなく、あの『御屋形様に出会った尊く熱き奇跡の日』の前後については早速調べさせます」


 といつの間にか葉山を押しのけて僕の隣に座っていた蒼さんが、記念日的なネーミングセンスは置いておいて約束してくれた。というか早速手を回してくれた。


 じゃあ、こっちの話はいいや。


 一応確認しておくと、


 「つまりは、世界蛇もサーヤさんも、当時の黒の猟団も、その第三者に操られてるっていうか、今も影響直を残してるって事なのかな?」


 頷く桃井くん。


 なるほどね、桃井くんの問題の元凶はここだった訳だね。漸く具体的になった。だから対応できる、で、最優先事情だ。


 早速、秋の木葉の人たちが対応してくれてるみたいだし、そのあたりの事情はもっと形になってからの対応の方がいいね、って一旦、切り離してフラットになったところで、


 「そっちの話は済んだみたいだね」


 って僕達の話し合いをジッと聞いていた真希さんが、確実に物言いたげに言って来た。


 そして、


 「いいかい、アッキー、ここで見て来たことは他言無用だよ、基本、たどり着いて来たダンジョンウォーカーしかこの事実を知らないんだ」


 まあ、そうだよね。それはわかる。


 「多分、以前と同じ対応ができないとは思うけど、なるべく気取られにようにしておくれ、で、どうしても、今後モンスターと戦いたくなければ、深階層に住み着いてる奴らと同じく、お前もこもるしかないよ」


 って言われて、なるほどって思った。


 鮫島さんの団体で、黒の集刃の人達はともかく、他のD &Dとか此花さんの所のD &Wとか、ずっとダンジョンの中に、しかも深階層にいるのはこの為なんだな、って感よりも浅いところで悟ってしまった。此花さんとかのフアナさんとかキリカさんとかの対応というか順応も早かったしね、そういう事情だったんだな。


 特に辰野さんとか一心さんとかに話を聞いておこうと思う。だってあの二人、変わり者しかいない深階層で唯一っていいのか悪いのか、ともかく常識人だもの。


 ここで口止めされてようやく僕は、深階層にどっぷり浸かっている人たちが、ダンジョンを完全攻略してからの、おまけみたいな感じでダンジョンを満喫していたんだ、それに、一箇所に止まれば余計にモンスターとも出会わなから戦闘も避けられる。って事に気がついたんだ。他にも理由はあるかもだけど。


 で、今度は僕から質問。


 「真希さん、僕、運営側に回ったって言ってたけど、具体的にどういうことなの?」


 雪華さんが何か言おうとして、それを真希さんが制するような形をとって、


 「つまりは、このダンジョンの管理運営、状態の維持だね」


 って言った。


 「ギルドに入れってこと?」


 「いいんや、違うべ、ギルドはあくまでダンジョンウォーカーの安全管理だべ、ダンジョンの維持管理ってのは、今からアッキーが桃井っちの為にやろうとしている事も含まれてるべさ、結構難しいけどな、でも桃井っち側に立つなら、それはまさに運営側の仕事って事になるべ」


 って言われた。


 ああ、そういうことか。


 だって、そのモンスターから生まれたしまった何人かが、今、ダンジョンから外に出て、普通に暮らすならともかく、一般社会に介入しようとしているって事だから、人の手に寄る以外の現状変更とか、現状社会にダンジョン側からの影響を、それを未然に防がなきゃって事なんだね。これもまたダンジョンを維持する上での重要な仕事ってことだったんだ。


 僕の認識からすると、あの大きな事件、ダンジョンブローアウトは今も静かに、誰も気が付かない間に行われていて、誰も気が付かない間に、ダンジョンは静かに漏れていたってことなんだね。


 でも、まあ、僕が知る限り、僕らの方の社会で大きな事件になってないし、桃井くんだって、どう管理されてるかわからないけど、外にも出てるしさ、その異造子の人達もいつまでもダンジョンの中だけにいるってのも、ちょっと可哀想かなあ、って、あくまで、ここまで話を聞いた雰囲気、そんな事を考えてしまう僕だよ。

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