第169話【ダンジョン運営側としての責務】
結構、長くなるから端折った上、纏めると、つまりは、この人として生まれたモンスターな人達は、今後地上に出てこの世界を、というかて初めてに北海道を支配しようと企んでいるらしい。
「僕らはその人間について、僕も含めてですが『異造子』と呼んでいます、その彼らの中には危険な思想信条を持つ者もいて、自身の能力を過信して、ダンジョンの外の世界へ干渉しようとしています、もっと端的にいうならその大きな能力を使って世界を手に入れようとしているモノもいます」
「マジ?」
って思わず聞いてしまった。
いや、だって、今時っていうか、支配って、この多様化する世界において一番ありえない言葉だったから、せめて冨の独占とか、北海道知事に打ってる出る、とかの方が同じくバカみたいではあるけど現実味があるよ。
その事を伝える為に、危機を知らせる為にあのラミアさんの事件は起こったって事?
すると桃井くんは、
「いえ、それは違います、僕とフアナについては、その件とは無関係な事件です」
あ、そうなの?
「僕らはあくまで中に閉じ籠る事を選択した上で、僕の場合は外、だから秋様の世界ですね、それを学ぶ為に、学校に入りました、この辺は運営の皆さんのおかげです」
「じゃあ、あのラミアさんの事件は無関係って事だね」
ってもう一回確認すると、桃井くんはちょっとバツが悪そうに、
「は、はい、あれはあくまで僕、フアナとサーヤの問題でしたから、思いの他、騒ぎは大きくなってしまいましたが、あのまま秋様の手が加わらなければ、きっと大変なことになっていたでしょう、本当にお礼申し上げます」
って桃井くんは頭を下げる。
いや、いいけど。
それでも、そのラミアさんの事件では、それなりに異造子さんとかも動いていて、黒の猟団への指揮命令系統を利用して、その内容を操作している人が何人か組織に潜り込んでいたらしいんだよね。
だから、まるっきり無関係って訳でもないらしいんだ。
で、外に出てしまった方はダンジョンウォーカーの僕らにはどうすることもできないから、ここは雪華さんのお母さんの実家(大柴グループ)とか、蒼さんの親族関係だらか防衛庁の人たちに投げてるらしいんだけど、その異造子の中でも、強く『罪』を意識させられている子供達が割と今の問題で、このダンジョンから、ダンジョンウォーカーの人達を使って、色々とやらかしてくれてるみたいなんだ。
つまりダンジョンウォーカーとか、こっち側の人類に対して、静かに侵略と言うか影響を及ぼそうとしているし、それはこうしている今も続いているらしいんだ。
だから、端的に言うなら、ダークファクトの根本として、大きな組織、かつての蒼さんの団体、黒の猟団とか、今は世界蛇に影響を及ぼしてるって話。
だから、ダンジョンで一回死んどけ、みたいな、あの時、椎名さんの処刑を行おうとしていた人達にも混ざっていたみたいな?
慌てて止めに来た蒼さんと僕の壮絶な殺し合いに発展してしまったのも、蒼さんが、僕らを敵って教えられていたらしくて、その辺の誤解があの時の事件につながるって話だ。
つまり僕と蒼さんは互いに椎名さんを救おうとして斬り合いになってって間抜けな話なんだ。
ラミアさんの事件に戻るけど、僕らと接触、思わず話というか事件は大きくなって、当時に比べて現在は彼らの動きは沈静化というか潜伏してしまったらしい。また手足の様に使っていた黒の猟団や黒き集刃が僕らの方に取り込まれた事も大きかったみたい。
一度は僕って人間をダークファクト勢力としてギルドに働きかけたらしいけど、そのことを鵜呑みにするのは少数の上、短時間で覆されてしまって、その辺はファンクラブの人たちの働きも大きかったみたい。
そう言えば、初対面の薫子さんもそんな事言ってたっけ? 懐かしいなあ。
って薫子さんを見ると、
「なんだよ、私だってすぐにお前を信じただろ! 以降は疑いもしないし、今だって信じてる、文句あるか?!」
って、ちょっと顔赤いよ薫子さん。恥ずかしい過去なのかな?




