第168話【ダンジョンチルドレン桃井茜】
こう言う施設とかどう言う施設なのだろう?
すると、僕なんかよりも鋭い思考の持ち主が、いや、ここにいる人はみんな僕よりも頭がいいんだけど、その中でも飛び切りの葉山が口を開いた。
「つまりは、この北海道ダンジョンは、『訓練施設』って事ですか?」
あれ? それはこの前、誰か言ってなかったっけ?
ってちょっと思い出して来てる僕なんだけど、うーん、誰だったかなあ、ってハッキリは思い出せなでいるから、結局は気のせいかもって思い始めてる。
「自衛隊の人たちが言ってたでしょ?」
って葉山が教えてくれた。ああ、そう言えばって、漸く思い出す僕だよ。
「まあ、いい線いってるべ」
と真希さんが言う。
そんな感じは全くしてないけど、多分、葉山が思うのならそうなんだなって思う。
「誰にとっても同じって訳でもないべ、つまり多くの人にとって、このダンジョンは、『慣れ』の為の施設でもあるんだよ」
って真希さんは言った。
「ここまで来ていただいた秋様ですから、僕も隠すことはしないです」
って桃井くんが言うって、そのまま続けて、
「僕はモンスターなんですよ」
って言った。
普通に言うから、まるで、辛いの苦手なんですくらいの軽さで言うから、かなり遅れて「え?」って言葉が出てしまう。
いや、桃井くん人間だよね。
いや、確かに影の中に入ったり出たりとかするけど、神出鬼没だけど、人だよね。いや、変身してるとか? いやいや、それは無い。でもまあ一応………………………。
隣にいたから、思わずその顔をペタペタと触ってしまう。そして今度は自分の顔を触ってみる。一緒じゃん、まごう事なく人間で、しかも人でも見た目も声もかなり美人さんだから上位種だよね?
って言いたかったんだけど、パクパクと口が動くばかりで、やっぱり驚いてるよ僕、って実感してしまう。ここに丁度いい言葉が出てこない。
「普通に人じゃない、違いがわからないわ」
って葉山が代わりに言ってくれた。助かるよ。
「サーヤを知ってますよね?」
「うん、世界蛇の人だっけ?」
大丈夫、結構、悪い意味で色々としてくれた人だから覚えてる。色々と邪魔とかしてくれた人だよね。
「はい」
とてもいい返事だった。そして、
「僕と彼女はモンスターから生まれた、このダンジョンで生まれた子供なんです」
と桃井くんは言った。
「モンスターとモンスターが結婚して、人が生まれるんだ?」
ほら、ここダンジョンだから、北海道ダンジョンだから、何が起こるかわからないし、まして僕の考えなんて及びもつかないってことだけは理解できるから、そう言う事もあるのかなあ、くらいに受け止めて、そのまま話はを聞いた。
「僕とサーヤ、そして他に数名だけですが、間違いなく人として生まれて来てます」
そして、その事に追加するように、
「間違いなく、桃井くんは人間です、何度か私も調べさせていただきました、もちろん本人の希望で」
と雪華さんが言う。
そこまで聞いて、
「でさ、モンスターが人を産んで、それが何の問題があるの?」
すると、今度は葉山が、
「それはおかしくない? だって普通モンスターがモンスターを産まずに人を生むって、まずは真偽を問うべきじゃない?」
ビックリするくらいの大きな声でいうんだけど、
「いや、桃井くんは冗談は言うけど嘘はつかないでしょ、しかもこんな状況で? そっちがありえないよ」
と言う。だって仕方なじゃん、そうだって言ってるんだから、そこ疑っても仕方ないよね。もちろん理由とか原因はあるかもだから、ここは黙って話を聞こうよ。
「本当に、真壁って時々すごいよね、器が大きすぎて壊れてるんじゃないかって心配になるわ」
と言われてしまう。凄いのは葉山だよ、褒めてるけど同時に貶めてるよね? こういうことを同時に行える人って僕あんまり知らないから、本当に感心してしまうよ。
「全く疑わなないんですか?」
って今度は雪華さん。
「いいよ、そのまま話を進めようよ」
と一先ず真偽というか僕以外の人は結構な割合で疑っている見たいな感じだけど、今は話の腰を砕かない、一先ず桃井くんの話を聞こう。
「じゃあ、続き話して」
って水を向けると、ビックリしていた桃井くんは、気を取り直したように話し出す。