第162話【そこへ辿り着く為の資格条件】
そう言えば、昨日の夜に僕の家に角田さんがいる筈も無くて、だから今日ここで初めて言うってことになる。
いきなりびっくりしている角田さんと真希さんに、順を追って話すことにした。実はカクカクジカジカ………………………。
昨日の事を話すと、真希さんは、「うーん」って言ってから、
「そこまで話は拗れてたべか、あの女も焦ってんのかなあ」
とか、その対象が誰とは言わないものの内情を知ってるみたいな口ぶりだった。もしかして、桃井くんの事情とかも知ってんのかも、って考えるけど、僕が聞いても真希さっは言わないよね、だって、それならもっと前に、少なくともあのフアナさんの事件の時の桃井くんの事何も話してくれなかったから、いや、聞かなかった僕もどうかしてるかもだけど、でも、その辺の事ってさ本人が言いたくないんなら仕方ないよ、って思うじゃん。
あ、そうか、だから今回の事も後手に回ってるんだな。って言うか僕の人間関係って対処法なんだな、きっと、事後に処理するタイプなんだよ。
なんか、色々と考えてる真希さんだけど、なんか急に近くの人に、「雪華呼んどくれ」
って言って、間も無く雪華さんが来た。
そして、
「今、あのクソ野郎はどこにもいる? シリカに頼んで場所を特定しておいてくれ」
と言うと、間も無く、その居場所も判明した。
「じゃあ、これから、お前達は『最後の扉』に向かうよ」
って僕らのいつものメンツに雪華さん、と雪華さんが来る以上当然茉薙も来るわけで、そんな2名を加えた形になって、
「雪華、扉の向こうに入ったらアッキーを案内してやってくれ」
と言うと、雪華さんは緊張の面持ちで、
「はい、わかりました、秋先輩、ご案内します」
と言う。
と言う事は雪華さんってもうすでに『最後の扉』に到達しているって事なのかな? って思って薫子さんを見ると、
何も知らないって感じで、薫子さんは首を横に振った。
そんな僕らのやり取りとは別に、真希さんが、
「皆、資格はあるべさ、葉山ちゃんは大丈夫だべか?」
って雪華さんに聞くと、
「はい、茉薙が大丈夫でしたので、おそらくは資格は持っていると思います」
と真希さんが言う。
「資格なんてあるの?」
「ああ、あるよ、結構シビアで、この資格を失うともう扉の向こういはいけないんだよ」
って言う。
え、マジか、それに葉山がダメかもって言う話をしてるし、資格って一体なんだろう?
「年齢とかかな?」
って呟くと、
「同じ歳でしょ」
って葉山からいらないツッコミを食らう。
いや、葉山って時々、本当に同じ歳かなあ、って思うほど大人な考えかたするからね、いい意味でだよ、年上に見えるの。
とか、いらないフォローを考えていると、
「ほれ、角田、じゃあ、お前はいいね」
って真希さんが言うと
「ああ、是非も無えよ、秋さん達を『最賢者』と認めて、扉の向こうへの進歩を認める」
と言った。
「よし、あと2人だね」
と言ってから、真希さん、
「妹ちゃんは家にいるかい?」
と言われるから、
「ええ、多分」
と答えると、
「じゃあ電話するべ」
って言われるから、「なんで?」って尋ねると、「いいからかけるべ、ほれ、早くするべ!」って急かされて、仕方なくなんか納得というかこの行動の意味を計りかねる僕は、ひとまず電話をかけると、母さんが出たから、そのまま妹に代わってもらって、真希さんが言うように事情をかいつまんで話して、最後の扉に向かう事を言うと、
「わかった、兄達を『最聖者』と認めて、扉の向こうに歩みを進める事を許す………。もういいか? じゃあ、切るぞ」
って言われて一方的に電話を切られた。何やら忙しいらしい。
なんか狐につままれた様な気分で、
「どう言う事?」
って思わず真希さんに尋ねると、
「最後の扉の部屋の入室許可は、三柱神の許可が必要なんだよ、それに認められて初めて、扉は開くんだ」
ああ、そうか、角田さん、ゼクト様だもんなあ、妹もブリド様だし。
なんだ、クリアー条件が僕といつも一緒だったよ。
なんだろう、欲しかったものが、くまなく歩きまわっても札幌駅周辺の大型家電店にもなくて、amaz⚪︎nとかも品切れ状態だったんだけど、家の近くのコンビニの在庫セールのワゴンの上にひっそりと置かれていたのを発見した気分んい近いかもしれない。ああ、こんな所に、って感じかな。
だから、正直、得しているのか損しているのかよくわからない僕だったよ。