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第158【僕に向けた葉山最大の攻撃】


 そして、葉山は言った。


 「あの子はわかってたんだよ………、違うかな、そうすると決めてたのかもしれない、だって、真壁は最初から私を助けようとしてて、だからあの時、今日花さんもあんな風な言い方になったんだと思うんだよ」


 ってこの激しい剣撃を繰り出しながら冷静な顔して言う。そして一旦また離れて、葉山は一つため息を吐いた。


 「世界か真壁かって言ったらあの子は間違いなく真壁を取る、きっと迷いなんて無い、それが本末転倒なことだとしても、春夏の中の真壁は絶対なんだよ」


 また接近、鍔競合いみたいな格好でそんな事を言って来る葉山なんだけど、鍔迫り合いってか葉山が凄い力で僕に向かってるって言った方がいい。ちょっと顔近いよ。


 そして、僕の目を真っ直ぐに見て、葉山は呟く、


 「春夏にとって、真壁は絶対なんだ、ううん、世界そのものかもしれない」


 って言う。


 僕は葉山の言っている事がわからない。


 でも、知ってる。


 そして持ってる。


 気持ちっているかそう言う『約束』的な物を、僕は持ってる。


 そんな風に考える僕を見て葉山は言うんだ。


 「真壁にとっても春夏はそうなのかもしれないね」


 「春夏さんが僕にとって世界って事?」


 そんな考えはなかったから、って言うか表現のしようもなかったから思わず聞いてしまう。


 「うーん、ちょっと違うかな、だって真壁には今日花さんもいるし、真壁にとっては大切な世界の一つかもしれないね」


 そう言ってから、葉山はまるで思いついた、って顔して、


 「ああ、そうか、だから真壁は北海道ダンジョンが好きなんだよ」


 ゴメン、意味がわからない。


 「だから、真壁にとって、春夏は北海道ダンジョンそのものなんだよ」


 ああ、なるほどって思うけどその思いは形にはできないんだよなあ。確かにしっくりはくるけど、そうな様な違う様な、ちょっとフアフアな感覚だ。


 「そう考えれば、真壁がさ、特に目的も無く、ただただ北海道ダンジョンに行きたいって、楽しみたいって言うのは理解できる、なんだ、そう言う事か」


 って1人で納得している葉山だった。


 そして、


 「隙間が見当たらないなぁ」


 それはなんに対しての言葉なのか、僕にはわからなかった。少なくとも今こうして対峙してる僕に対してではないことだけは確かだよ、だって今の僕はどちらかと言うと隙だらけだからさ。


 なんか変な空気。


 いや、一応は打ち合ってはいるから戦ってる様には見えるけど、このまま続けても仕方ないからそろそろどっかで決着つけないとなあ、って思う僕に葉山も同じ事考えていたみたいで、


 「ゴメン、喋り過ぎて喉乾いて来た、早く終わらせよう、次の攻撃で最後にするね」


 って言って、また距離を取る。いやココは嘘でも戦って動き過ぎたとか言っておこうよ、あからさまに適当にやっていたって感じになるよ。


 そして、葉山、適当な距離を取って、二本のマテリアルブレードを床に突き立てて手から離してしまう。


 お? 何するつもりだろ?


 ただ驚く僕に葉山は言うんだ。


 「私さ、ちょっと攻めあぐねていた部分はあるんだよね」


 まあ、確かに決定的な物は出してないからね、そりゃあ僕もそうだけど、これってそう言う模擬戦見たいなものでしょ?


 「だからね、今後は正攻法にして最短距離で行くよ」


 と言ってから、僕の方へスタスタ歩いてくる、あれ? 剣は? 


 「大切なのは気持ち、私の気持ちの最大質量なんだ」


 なんか緊張してるなあ、葉山、え? なに? これどんな攻撃?


 そして思いを決したって顔して、なんだろう、今までに見たこともない笑顔だよ、それは僕の顔というか目を見つめてどんどん近寄って来る。


 まさに恋人距離になって、葉山は僕と顔を突きつけあって、正々堂々って感じにこう言った。


 「大好き!」


 ?


 「私は真壁が好き」


 え? あああ??? 


 ちょっとなんだろう、これ反応できない。


 言葉が出ない、体も動かない。


 そんな僕なんて置き去りにして、葉山はどんどん前に出す様に気持ちを僕に伝える。


 「私は真壁が好き、これは絶対に変わらない、たとえ真壁が誰とどうなっても、私がどう変化しても、時間や距離が生まれてしまっても、きっとこの気持ちは変えない、これは私のわがままで、真壁の気持ちなんて考えてないから、真壁が誰を思って、誰を大切にして、誰と付き合っているかなんて関係ないから、私は真壁が大好」


 鼻と鼻が一瞬触れて、すぐに離れた。


 凄まじい衝撃、僕、女の子にこんなに堂々と正面からこんな事言われた事ないから、ヤバイくらい心臓が凄いことになってる。今まで食らったどんな攻撃よりも僕と言う人間を貫いてしまう。こんなの回避できないよ。


 そして、ほぼほぼお置物の様に硬化している僕は、葉山の手でその効果を解かれる。頬を手で軽く叩かれて、


 「ほら、真壁、息して、呼吸、呼吸」


 ああ、息するの忘れてた。


 「びっくりした?」


 って聞いて来るから、


 「びっくりした」


 って言う、言うしかない、それしか言えない。


 「こう言う事、ちゃんと言っておかないとダメでしょ」


 ってまるで他人事みたいに言うんだ。


 「告白ですか」


 っていつの間にか僕の後に来ていた雪華さんが、ちょっと悔しそうって言うか、ジトーッとした目で葉山を見つめてそんな事を言ってた。


 すると葉山は首を振って、


 「違うよ、これは宣戦布告、真壁に対する決意表明なんだよ」


 って言って笑ってた。


 なんか、この時、足とか茉薙にずっと蹴られてたみたいだけど、そんなの全然気にならなかった。


 ともかく、葉山って凄い。


 ともすると、女の子って凄いなって、男の僕なんて全く敵わないや、ちょっと震える僕だったよ。

 


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