第156【葉山vs僕?? 再び???】
実質2時間くらい? 今日は葉山もいたけどそんなに時間は変わらなかった。
2チームに分かれて当たってくれたから、それでも若干のタイムラグはあった訳で、その間に、雪華さんのお母さんから色々な話を聞けた。
僕の持っている、普通の一般的なロングソードタイプの剣がシリアルナンバー、GーSNEーP0112で、葉山の持ってる2本で一対の双剣の方がタイプシリアルナンバー、GーSNEーP0113なのだそうだ。
一応、普通に雑談的に雪華さんのお母さんと話をしていたつもりだけど、その時も剣自体の使い心地とかも聞かれていたから聞き取り調査の一環で、質問に答えてくれていたんだと思う。
で、話によると、もう1本、シリアルナンバー、GーSNEーP0110があるんだって、ちなみに欠番になってるシリアルナンバー、GーSNEーP0111は、形状不適合で失敗作品としてラボにあるらしい。失敗なんだけど、研究の上では成功なのだそうで、その辺の考え方というか捉え方はよくわからないけどともかくそう言うものらしい。
なんでも、この剣を構成する金属は最低2方向で鏡像対称性でなくてはいけなくて、それを失うとこの金属の利点は全てと言っていいくらい無くなって、ただの軽金属になってしまうのだそうだ。
ともかく、形が大事って事だね。
だから、剣として僕らの持っているマテリアルブレードは、本当に単純な作りをしている。逆に言うと、『刀』みたいな剃りや方刄な感じの複雑な形状のものとして、この剣は成り立たないらしいんだ。
後、そのマテリアルブレードの金属質量による優位性もあるらしく、僕と葉山の剣のば場合、僕の持つ剣の方が圧倒的に優位らしい。
つまり同じ素材でも大きい方がこの特殊な金属の性質を生かせるんだって。
これは扱う人にもよるらしいんだけど、剣がその性能を遺憾なく発揮するためには構成金属の量って結構大事な要素で、剣自体の優位性がそれで決まってしまうらしいんだ。
もちろん、扱う人の技術もあるんだけど、マテリアルブレード同士の戦いになると、それすら影響するって話なんだよ。
あと僕の持ってるロングソード系のマテリアルブレードと葉山の持つ双剣タイプだと、二対一の本数差で、全体質量でいうなら、葉山の方が上だけど、あくまで一対一で質量が比べられるという事なんだ。
ちなみに、残った最後の一本は剣の型はフランベルジュを模している大剣系なんだって、興味はあるけど、僕には今使ってる剣が一番しっくりくるからなあ。使ってもいいとは言われたけど、今はいいと断っておいた。
そんな話をしていると葉山の方も終わって、これにて終了かな? って思ってると、
「じゃあ、始めましょうか」
って何やら体育館くらいの広さのところに連れていかれた僕と葉山だったんだけど、なんだろう? って思ってると、
「せっかく我が社のマテリアルブレードの完成体を持つ、適合者が2人いる事ですし、軽く模擬戦をしていただこうと思ってます」
いや、模擬戦て、これ真剣だよ。当たったら切れちゃうから、危ないから、
って言おうとするんだけど、
「真壁と戦えるの?」
って葉山ノリノリだよ。
そして、その表情は以前の、僕の仲間としての彼女では無く茉薙を体内に納めていた、あの当時の葉山の表情だよ。
「いや、ちょっと、やめない? 怪我とかゴメンだし」
っていうんだけど、
「大丈夫よ、首とか落とさなければいいんだよ、ほら雪華さんもいるし」
ちょっとヤダこの人、首落とすとか物凄い気軽さで言うし。
「ほら、真壁くん、君は意識してマテリアルブレードの切れ味を調整できるんだから、そんな恐ろしい事にはならないわよね、同じ剣刃で異なる使い方を互いに学べるいいチャンスよ」
ってお母さんもノリノリなのか、酷いことにならないようになのか、兎も角僕らの背を押した。
そして雪華さんも、
「即死しないでくださいね」
と即座に死ななきゃいいのかな? 的な訳のわかんない念を押される始末だよ。