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149話【北海道ダンジョン温泉慕情 到着編②】

 僕と瑠璃さん、僕とキリカさん。そんなやり取りを見ていた八瀬さんが急に、


 「ねえ、今回はさ、僕たち温泉を楽しみに来たんだよ、スキルの所得の可能性も含めてさ、だから、今回はこういう交渉ごと辞めない? これじゃ、お風呂に入る前に興醒めっていうか正に湯冷めだよ」


 って言った。


 確かにね、一緒に連れて行く、温泉を楽しむ約束はしたものの、ついでにする様な交渉じゃないよね。


 「殿下なら、そう仰ると信じていました」


 とキリカさんは僕の当たり前の答えになんか感謝してるみたいな物言いをしている。


 「基本的に僕らダンジョンウォーカーはモンスターに対してはきちんと敵意を持つべきなんだとは思うけどさ、そういう関係って今は変わってしまったっていううか、違う段階に入っている気がしてならないんだよ」


 八瀬さんは言う。


 それに対して桃さんも、


 「そりゃあ、私たちモンスターだって同じでしょ、人間は迷う事ない攻撃対象なはずなんだよ、それが、特に最近なら『友好的』なんてモンスターさえ現れ出している、つい10年以上前は、言葉を持つなんて三柱神くらいのものだったのにね」


 桃さんがそんな風に言った。そしてキリカさんは、


 「ささ、殿下、ご入浴ください、春夏様もご愛人の皆様も、奥の倉庫から温泉へ行けますからそこを脱衣室にお使いください」


 っていきなりキリカさんに手を引かれてしまうんだけど、


 「何?」


 って空いた手を葉山に掴まれて、キリカさんを睨んでいる。


 「ですから、このダンジョン自慢の大浴場にと………」


 「私達と一緒に行くから、いいからあなたはここでエリアボスをしていたら?」


 「もう、そんな心配はないですよ、当分誰も現れません」


 なんか険悪なムードだよ、ここは一つ気を使って、


 「みんなで入ればいいじゃん、女の子同士でさ、で、僕は男湯に行こうと思うだけど、どっちかな?」


 ってここの施設の管理者でもあろうキリカさんに尋ねると、


 「ないですよ」


 って一言だけ返って来た。


  ちょっと何言ってるかわかんない、って顔してると、


 「殿下、ここは天然温泉ですよ、天然に男湯も女湯もございません」


 ああ、そうだね、え? いや違うよ、僕そう言うこと言ってない。


 「ええ? じゃあ、男の子も女の子も一緒って事?」


 「はい、この先には大きな浴場が一つあるだけで、たくさん入れますが、特に間仕切りとかはありませんので、皆様ご一緒にとなります」


 よし、帰ろう。


 僕の移動方向は後方へとその向きを変え様とした矢先に、


 「行くわよ真壁」


 と本来、キリカさんとは異なる方向に向かっていたはずの葉山の手が、キリカさんと同じベクトルになる。


 え? ちょっと待って、ダメだよ、みんな女の子じゃん。


 僕1人男の子って無くない? いやあ、これはダメでしょう。


 って一番マトモな春夏さんあたりに止めてもらおうとしたんだけど、


 「秋くん、私はいいから、でも、見ちゃうダメならなるべく見ない様にするから」


 って言ってくれた。


 言ってくれたけど、いやいやそう言う問題じゃないよ、今、僕が問題にしているの大勢の女子と一緒に男子である僕が入るって事であって、ほら、学校でも『七年にして男女席を同じうせず、入浴を共にせず』って言ってたじゃん、これ偉大な中国四千年の歴史だよ、だから、ほら見てよ人口も多いじゃん。


 僕の手から、そして更にもっと強く拘束するために葉山は腕ごと絡め取られる。


 そして僕の背後にはニコニコしている春夏さん。


 一体、これはどう言う事だ?


 普通、女の子って、肌とか見られるの嫌じゃないの?


 周りを見ると、今日来た女の子達は、どちらかと言うと全くそんな事も気にせず僕を連れて浴場に突入しようとしている。


 おかしいな、僕の知ってる常識じゃないぞ、これ………。


 あ、そうだ、堅物、じゃ無くって倫理とか常識方面に無駄に硬い薫子さんなら………。


 そう思って一縷の望みを託して薫子さんに声をかけようとすると、その薫子さんとちゃんと視線が合って、


 「薫子さん!」


 って言ったら、


 「薫子は真壁に裸くらい見られてもどうって事ないよね」


 葉山に先手を打たれてしまう。


 いやいや、そうじゃないでしょ? って僕は思うんだけどなあ、でも薫子さん。


 「あ、ああ、うん、いつも見てるから、尻くらいは大丈夫だ」


 とか言い出す。


 いや、尻以外も見えてしまうでしょ? それにいつも見てるってどう言う事? 何言ってるの? あ、そうだ、蒼さんだ、いつも葉山から助けてくれる蒼さんなら! 3人いるし!


 全力で蒼さん達を探す僕だったよ。


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