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144話【ダンジョン温泉慕情 無茶言うな編①】

 そっか、僕、咲ちゃんのお兄さんの仇ってわけか……


 でもこれだけは自信があるけど、大怪我はおわしても命までは取ってない気がする。


 で、どこでだろ? って多分思い出す当てもなく考えてると、


 「ダメだ、咲ちゃん、この人覚えてないみたいだよ」


 「食べた食パンの枚数だね」


 「だね」


 ってコソコソ言い合ってる。丸聞こえだけど。


 きっと、僕が今まで生きて来て、今まで食べた食パンの数の事を聞いているのだと思うけど、ほら、僕が今まで倒してしまった人の数って言う比喩。


 だとしたら確かに覚えてないよなあ。それなりの実力がないか、よっぽどバカみたいな人、あ、言い方悪かったね、つまりは印象に残る様な人しか覚えてない、覚えていても薄ければそれなりの時間で忘れてしまうけどね。


 それでも、うーん、どこでだろって残って無い記憶をちょっと探ってる僕に、


 「0枚だよね」


 って葉山が入ってきた。


 「え?」


 「え?」


 咲さんと小雪さんは2人して驚いて葉山を見るんだけど、


 葉山はそんな後輩女子2人にニッコリと微笑んで、


 「今まで真壁が食べた食パンの枚数の事だと思うんだけど、ゼロだよ」


 って改めて葉山が言ってた。そして、


 「だって、真壁、ご飯派でしょ、今日花さんもパン出してないし」


 って言った。


 ああ、そうだね、そういえば、僕、生まれてこの方、食パンって形では食パン食べた事ないや、トーストもないなあ、でもサンドイッチは食べたなあ、あれは食パンとしてカウントされないのかな? 僕の家、確かにご飯派だからか、機会があるときはサンドイッチとか食べてる、セイコマのフレッシュタマゴサンドとか大好きだからね。あと、ランチパックも。


 でも葉山に言わせると、あれらは加工品であり、純粋な食パンではないらしい。つまりあれか、豚のバラ肉はダメでもベーコンはOKみたいな話なのか?


 だから僕が今まで純粋に生きて来て食べた食パンの数はゼロって申告でいいらしい。いやこんな事、どこに申告するんだよって話だけど、でも、なんだろう、咲さんも小雪さんも確実に真に受けてる。衝撃を受けてるって顔してる。


 そして、


 「でも葉山静流さんが言うんだから」


 「だよね、葉山静流さんだよ、頭いいもん」


 って2人とも納得してた。


 「可愛い子達だね」


 って葉山も言ってた。


 「葉山さん美人」


 「葉山さんかっこいい」


 ってそんな葉山を羨望の眼差しで咲さんと小雪さんが言う。なんだろう、春夏さんの時と反応が一緒だね。歳も3っつくらい離れてるみたいだから、すっかり美人で賢いお姉さん扱いだ。


 で、言った後の咲さんも小雪さんも頬を赤らめて恥ずかしそうに黙ったので、なんとなく対応策が見えて、そのまま春夏さんと葉山で彼女達を挟んだらその後は、僕に敵意を向けてくることもなく静かになった。小声で何か喋ってるけど。あまり強いボールはを不意に投げてくる様な事はなくなった。


 ちなみに、このクロスクロスとは思えない程の高い戦闘力を持つ、咲さんと小雪さんがこの組織に身を置いたのは、


 「兄の仇を討ちたいです、真壁秋を倒したいです」


 とダンジョン内で触れて回っていた咲ちゃんをたまたま見つけて、


 「狂王様を倒すんなら、じゃあうちに入らないとね、僕たち仲良しだから今度話しておいてあげるよ、やっつけちゃいなよ」


 って謎論理で八瀬さんが誘うがまま咲さんそのままクロスクロスへ加入。


 「友達の復讐を止めたいです、だから真壁秋は私が倒します」


 って追いかけて来た小雪さんを、


 「そう、友達思いなんだね、じゃあ君もうちに来ないとね、友達はもう入っちゃってるからね、近くにいた方がいいよ」


 って友釣り確保したらしい。


 その時も、彼女の言う、復讐的な着想は聞いていたものの、見た目に戦闘能力なんて期待してなかった八瀬さんだったらしいけど、ガチに強くてびっくりしてたから、本当にクロスクロスってのは能力二の次なんだなって、思った。


 ひとまず、集まってる集団、って真希さんが言ってたけど同時に、「あいつの人員掌握能力は大したもんだべさ」って言ってたから、それなりの集団なのかもしれない。基本的に烏合の衆を烏合の衆のまま、まとめて置くのも簡単にできることでは無いらしいって言ってたから。


 と、それなりに評価はされている人なんだけど、なんか僕にとっては今ひとつ信用できない人ってくくりに変わらないんだよなあ、この人。


 「嫌だな、そんなに見つめないでおくれよ」


 思わず見てしまった八瀬さんが言うから、ちょっと乾いた笑いしちゃったよ。


 そんな時、葉山が、


 「ちょっと隊が詰まって来てるね、少し伸ばすね、真壁、また前に出てくれる?」


 って葉山が言うから、うん、って思って前に出ると、その後ろに葉山と薫子さんが入る

そのさらに後ろに春夏さんって感じだ、で、咲さんと小雪さんもつられて前に上がってくる、ほら、春夏さんと葉山で挟んでるからね。


 後方大丈夫かな? って思ってたら、蒼さんだ、椎名さんと一緒に下がっていた。


 ん? おかしい、蒼さんが3人に見えるぞ?


 多分、気のせいでは無いから、おそらくは紺さんと藍さんがいつの間にか来てたんだな、だとしたら、後方は鉄壁だね。


 この温泉に続く通路って、左右に道も扉も無いから横からの敵に警戒しないでいいからこんな趣になる。


 「真壁、そろそろ、セオリーの奴来るわよ」


 って葉山が言った。ああ、それで僕が前な訳ね。


 「邪魔になるから少し離れる?」


 って続けて葉山が言った。


 って事は、結構強いのが現れるって事でいいのかな? まあ、こいつ倒せば温泉に到達みたいな捉え方でいいんだろうか?


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