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142話【ダンジョン温泉慕情 兄の仇だ!編①】

 すごいな、深階層にスキル無しで来てるくらいだから、もしかして結構やるかもとは思ってたけど、ここまでやるなんて、って言おうとしたら、八瀬さん本人が、


 「……本当に強かったんだね、彼女たち」


 とか言って真剣に感心してた。知らなかったのかよ。クロスクロスって本人の希望のみだから、あとは能力やスキルは自己申告だし、検証しないから仕方ないのかもだけど、良いのかな、それで? とは思う。人の組織だから知ったことではないけどね。


 多分、咲さんの方は空手かな、時折回し蹴りとか織り交ぜてるし、で、小雪さんの方は、柔道? いやなんか違うなあ、合気道ポイけど、投げるの主体みたいだけど関節とか決めて砕いてるから、相手の運動能力とか上手く削いでる感じがするし、そういう格闘技なのかも、あんまり打撃とかしてない。こういう時に角田さんがいれば聞けるんだけど、スキル無しでの相当強い子ってあんまり見たことないから、しかも武器とか使わない系だし、怒羅欣の人たち以外で徒手格闘でここまでやる人がいるって、ちょっと驚いている僕がいるよ。まあ、怒羅欣に目をつけられる前に、クロスクロスみたいなリベラルな感じの集団に入ったのって、ある意味彼女たちにとっては良かったかもしれないね。なんか伸び伸びやってる気がする。


 ともかく、僕の前後では僕はいらないみたいに元気にこの深階層のモンスターと対峙してるから、なんとなく真ん中付近で妹を守ってれば良いかな、って思ったけど、この妹も、確か三柱神の一柱なんだよなあ。


 ブリド様だよな、だから決して戦闘力とか無くは無くて、どちらかというと、あのアモンさん並の割とデタラメな奇跡とか言う能力を持っているんだから、僕が守るってののなんだかなあ、とは思う。


 そんな目をして妹を見ていると、


 「ん? どうした兄?」


 って尋ねられてしまって、思わず、


 「いや、なんでもないよ」


 って言ったら、


 「そうか」


 って言って、葉山の方を見つめていた。


 ああ、そうか、確か、葉山って妹が指名した『聖王』様だもんな、一応加護でも与えてるんだろうか?


 それでも、妹うの表情は心配しているという顔じゃなくて、普通に見守っている感じだから、多分心配はしていないんだと思う。


 割と他の人は真ん中付近に集まってさ、固まってるから僕と春夏さんで内の内を守ってる感じで、スケルトンさんたちも、順調に数を減らしてる中、咲さんが最後の一体を倒して終了した。


 「いや〜、流石に強いにね狂王様のお仲間は、D &Dならもう少しはかかったかな? それにみんな怪我ひとつないね」


 って桃さんが感心してた。続けて、


 「狂王様出る幕なしかあ、惜しいなあ………」


 って本音でなんか悔しそうに言ってる。


 「だから言ったろ、ここ程度なら王様自ら出陣はないだろ、残念だったな」


 と瑠璃さんが言う。なんだろう、僕も戦った方が良かったのかな?


 ちょっと腑に落ちないって顔してると、そんな表情を読んでくれたのか、瑠璃さんが、


 「いや、ちょっとした企画があってね」


 とか言い出して、すると桃さんが急に、


 「蘇る殲滅の凶歌!! 真壁秋と行く深階層ツアー!!」


 大見得みたいに大きな声で言うからびっくりした。


 え? 今なんて?


 「君って、ものすごい人気でさ、同じパーティーに入れないまでも、ちょっと離れた所から、一緒にダンジョンに潜って、なるべく身近で君を体験したいって人はたくさんいるんだ」


 って瑠璃さんが説明してくれた。


 ああ、僕と一緒にこんな感じで守られながら一緒にダンジョンに行きたいって奴かな?


 「自衛隊の総合火力演習ってあるでしょ?」


 お? 話飛んだよ。


 「ああ言うのを身近で見たい人がすごい数いるんだよ」


 「富士演習場に行きたいって事?」


 って思わず素直に聞いたら、


 「いやいや、総合火力じゃなくて、君1人の火力だよ、そのバカみたいな戦闘能力を身近で体験したいダンジョンウォーカーが凄い数いるんだ」


 バカみたいって………。


 「真壁は見世物じゃないですよ」


 って戦い終わって戻って来た葉山が言った。


 「いやいや、君たちの戦いは凄かったよ、今後語り継がれる戦いだったよ」


 って八瀬さんも口を挟んできた。


 あの戦いを言っているんだろうなあ、以前の葉山と僕があの数万数億の剣が投げ捨てられていた部屋で戦っていた時の事を言っているんだろうなあ。


 「あの当時、まだ新人なダンジョンウォーカーさんたちは、それを見た諸先輩たちから伝えれれてはいるんだが、そんな奇跡にも近い君の戦闘能力を、まだ中階層にすら行けなかった子達は機会があれば、ああ言ったバトルを積極的に見たいって言う子の方が圧倒的に多いんだ」


 と瑠璃さんが教えてくれた。


 「完全に、見学者である一般ダンジョンウォーカーの安全を囲い混んだ上でそれなりに迫力とスリルをギリギリまで体験できるツアーにできないものかと、他の団体にも協力を仰いで、それなりの形にはなっていたんだけどな」


 そんな瑠璃さんの言ってる内容を簡単に理解すると、まあ、テーマパークとかサファリパークみたいなものかな、僕、猛獣でもアトラクションでもないけど。


 「で、ここで割と協力的な真壁秋ファンクラブとの提携を持ちかけたんだけど、そこの多月さん率いる『秋の木葉』の人達に、予想しなかった猛反対を食らってさ、つまりは、彼らの言うには、君の安全を担保できないことには賛成しかねるってさ」


 って桃さんはちょっと憮然とした表情で言った。そんな桃さんを睨んでるのは蒼さんだ。 


 「当たり前だ、お屋形様の純粋な闘争の邪魔になるような真似は、例え提携しているファンクラブの勧めでも看過できない」


 って蒼さんにしては珍しく、強い口調で桃さんに言ってた。


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