表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
723/1335

第141話【北海道ダンジョン温泉慕情 激闘編②】

 基本的には双方の刃のどちらが先に届くか、って事なんだ。


 かあさんは僕にも言ってた。


 「薫子ちゃんは真面目な子。だから、それが欠点でもありまた良点でもあるのよ、だからそれが体に染み込むまではちゃんと守ってあげなさい」


 もっとも僕より以前にギルドがあるから大丈夫だとは思うけどね。


 なんか丸め込まれてるなあ、って釈然としない葉山に、かあさんは言ったらしい。


 「ダンジョンで、薫子ちゃんを見て、至らない何かを静流ちゃんが感じたとしたら、それを補うのはお友達でありダンジョンウォーカー仲間である静流ちゃんのやるべき事じゃないかしら?」


  すぐに葉山は言い返したんだって。


 「なんで私が………」


 って言葉にかあさん、


 「なら放っておけば良いのよ、人は人、自分は自分なんでしょ?」


 それは以前の葉山の生き方。


 人とは違えた身体を持って、それを気取られないようにしていた葉山の過去そのものだ。 


 それを良しとしない今を、葉山は気がついたんだって。


 かつて、自分の中にいた茉薙が離れてホッとした現実と同時に、寂しさを。


 やたらと絡んで来るうっとおしい薫子さんの凹んでる姿を見て、同じように悔しいって気持ちになってる自分に驚いたって言ってた。


 薫子さんもそうだけど、やっぱ葉山も変わって来ていってるんだよな。


 だから、こうして頼まれもしないのに、薫子さんの技能向上に向けてのアシストに入ってるんだな、葉山。


 その話を聞いた時、僕はちょっと感動したんだよ。


 本当に、その話、前の方は母さんから、後の方は葉山から聞いた時が、僕のベッドの上で、僕を布団で拘束しながらパンツを脱ごうとしている葉山でなかったら、多分、普通に泣いていたと思う。いや、違う意味で泣きそうだったけど。天井に張り付いていた眠りこけていた蒼さんが落ちてきたんで事なきを得たけど。


 仲良く、コマンドスケルトンさんと戦っている薫子さんと葉山。面白いのはあれだけガミガミ言われている薫子さんが何も言い返さないんだ。一つ一つをきちんと聞いているんだよ。 


 って前方の方に関心をしてると、今度は後方の方では、


 「咲ちゃん、そっち行った、お願い」


 「うん、小雪ちゃん、速度落として、そっちに流すからトドメお願いね」


 「うん、わかった」


 いつの間にか後ろからも来ていた健骨スケルトンさん達をかなりの数をきちんと捌いていた。すごい、クロスクロスとは思えないほどのキレキレの動きに、連携。


 まず、ちっさいショートカットの子、咲ちゃんって言われた方が、襲いかかるスケルトンに対して、割と大胆に恋人距離に瞬時に接近、防御はされるものの良いのを体の正中線あたりに叩き込んでフラつく足をうまい具合に叩いて、セミロングなおっとり系な感じの小雪ちゃんの方に誘導、そこからするすると死角から小雪ちゃん、恋人距離どころか0→マイナス距離になって、つまり相手の体の中に入り込むみたいに張り付いて、首、肩の骨を絡みつき、回って綺麗に外して行く。


 で、すごいのは結構な数のスケルトンさんに囲まれてるんだけど、その体の絡み方で、相手の体が盾になって、他のレンジのスケルトンさんが手を出せないっていか、強引に行く奴もいるけど、その攻撃は同じ小雪さんに絡み取られてるスケルトンさんに行ってしまう。


 こう行った固め技、関節系、サブミッションとかって、一対多数の戦いにおて不利だよなあって思ってたけど、こういう戦い方もあるんだな、って本気で感心してしまった。


 スケルトンの腕が打撃もなく、ほどかれる様に外され床に落ちる。多分あれって相当高度な関節技だよ、特に人型で骨を持つ的には有効みたいな感じだ。で、振りほどかれたみたいに腕を失ったコマンドスケルトンはそのまま再び正中線に咲さんの拳を叩きこまれるんだけど、さっきの左に対して、今後は相手も避けることも防御することもできない状態だから、右を叩き込むんだけど、その瞬間に、拳から、文字通り火が、炎が爆発する様に吹き出して、健康な骨のスケルトンさんの一番固そうな肩甲骨あたりから粉々にしてしまう。


 彼女の手を見ると、普通にフィンガーグローブっていうの? あの五本指のボクシンググラブみたいなやつ、特別なものには見えないけど、きっと何かしらの魔法アイテムだと思う。右と左では形状も違うし、ちょっと興味あるなあ、って思ってると、


 「すごいでしょ? あれって、以前偶然手に入れた武器で、巨人が守っていた武器だから相当な強さじゃないかって思ってたけど、今まで使いこなせる人がいなくてね、まさかあんなおっとりとしたお嬢さんが使えるなんて夢にも思わなかったよ」


 って八瀬さんが言った。


 ってことは、クロスクロスのメンバーには一通り試したんんだな。


 そして、そんな話をされている咲さんと小雪さんは、深階層常連でも結構手を焼くコマンドスケルトンの攻略パターンをすっかり掴んだ様で、次々と看破して骨を砕く音だけが響いて来る。


 なんだろう? この所、二日置きになった、家に来る怒羅欣の皆さんより、よっぽど強い気がするのか気のせいはないなあ。


 いい意味で裏切られた気分だよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ