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第136話【北海道ダンジョン温泉慕情 支度編②】

 「じゃあ、行く?」


 ってやや疑問は残るものの言い出しっぺの葉山に確認すると、


 「どうして、私の誘いは考えて、多月さんの返事に即答するかな?」


 って睨まれた。


 いや、この前の褐さんの事もあるし、妹とも一緒に行こうって約束してるし、普通、温泉に行くって言ったら、みんなで行った方が楽しいじゃん、て思って、それを言おうとする前に、葉山に深いため息を吐れる。


 察してくれるのは面倒な説明が省けて助かるけど、なんでそんなにがっかりしているんだろ?


 そんな僕らに対して薫子さんは、


 「本当に不真面目な奴らだ、深階層で温泉だと? 他のダンジョンウォーカー達は命懸けで深階層深部に挑んでいると言うのに、全く持ってけしからん、で、タオルは家から持って行くか? 髪を洗う事を考えると、バスタオルは二枚欲しいのだが? シャンプーとリンス、ボディソープは纏めて後で回して使えばいいか、北海道はアルカリ泉質も多いからな、泡立ちが悪かも知れんが、髪にも気をつけないとな」


 と意味不明な注意を促す。何を言いたいかわからないけど、薫子さんも行く気満々らしい。


 妹も、かあさんに支度してもらうのだの、和気藹々と話は進んでいる中、葉山は、がっくりと項垂れながら、


 「2人っきりがよかった」


 って呟いていた。


 「いや、みんなと行く方が楽しんだろ?」


 と言った薫子さんの言葉に、


 「なんで薫子も行く気になってるのよ?」


 とほぼ涙目になっている葉山が言うと、


 「何を遠慮している? 私と静流の仲ではないか、たまには裸の付き合いもいいだろう?」


 「嫌だよ、薫子との裸の付き合いなんて」


 と言い返すも、


 「ハハハ、だから遠慮はいらないと言っているだろ、楽しみだな葉山静流」


 と葉山に対して一方的な『親友フィールド』を展開し、そのまま押し切ってしまう。


 凄いんだよ、この薫子さんの『親友フィールド』、葉山がどんなに否定的で、例えば薫子さん本人に対して酷い事を言っても、怒っても、全てが、葉山の吐き出すその言葉や行動に、『親友だから遠慮が無い』『親友だから言える事』等で包んでしまって、葉山の毒や悪意のある言葉をはじめとする行動を全て無力化してしまうんだ。


 言葉では否定はするものの、それほど嫌がってない気もする葉山なんだけど、もちろん、薫子さんが本気で傷つくような事は言わないから、本当のところは仲良しなんだろうけど見た目には喧々囂々だよ。仲良しさん同士の喧嘩みたいだけどね。


 もちろん、これは薫子さんの様な、がさつな、じゃ無かった、無駄に広く包括的な心が無いと無理だからね。普通の人は真似したらダメだよ。無神経にグイグイいける厚顔無恥じゃ無かった、面の皮の厚さじゃなくて、なんだろうポジティブな言い方が思いつかないけど、そんな方向性の心を持ってないと普通は折れるからね。傷ついちゃうからね。


 そんな仲良く割と本気で諍う彼女達は放っておいて、一応の計画を練る僕だったけど、なんかだんだん眠くなってきたし、もうメンドくさいんで、明日に行こうって提案を言って、みんなも、「おお!!」って感じで賛同だったから特に否定もしなかったから、本日は部屋に帰って眠る事にした。いや、君の寝室あっちだからね、葉山は付いてこないで。


 そしてその明日が今日になった訳では、学校も都合よく半ドンだったから昼過ぎには4丁目入り口の前に着いていた。


 ちなみに、学校でHRの終了と同時に、僕のクラスに来たすっかり準備をした春夏さんが綻ぶような笑顔で「秋くん、温泉だね」って言うから僕も嬉しくなって、「うん」って返事した。


 なんだろう、春夏さんが喜んでると、僕もテンション上がるよ、葉山はそんな僕を見て憮然としてるけど。


 角田さんは行かなかった、4丁目ゲートの前にはいたんだけど、今日の温泉に行くことを一応は誘ったんだけど、なんでも男子はいいけど他の女子の居るところでの温泉はNGだそうだ、深くは聞かないけど都合が悪いらしい。


 そのままそそくさと帰っていった。


 で、妹は蒼さんが連れてきてくれて、その妹は「母が『湯冷め』にに気をつけろと言っていたぞ、兄、そいつに魔法とか効くといいけどな、兄と静流、蒼や姉がいれば大丈夫だよな?」とかちょっと不安げに聞いてくるから、それ、モンスターじゃないからって説明している蒼さんだった。


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