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第135話【北海道ダンジョン温泉慕情 支度編①】

 そろそろ、深階層でもやることがなくなって来たし、ここは一気に階層を深めていこうかという話が、角田さんから出始めてきた。


 提案というか、打診、見たいな感じ。


 今日、ダンジョンでそんな事を言われた。


 普通は深階層の攻略に欠かせない武器とか防具とかを手に入れたりとかするんだけど、角田さんに言わせると僕の場合、特に武器とかは最初から最強装備でみたいなもので、しかも特に僕に合っていて、角田さんの全知識の能力から洗い出してもこのダンジョンの中にはこれ以上の剣ってないらしいんだ。


 武器性能もそうだし、剣の大きさや重さも、全てにおいて、このマテリアルソードは僕にとってドンピシャリな武器らしんだ。


 それは納得するよ、だって、偶に僕、これ持ってる事、忘れる事あるからね、しかも持ったまま学校とか行っちゃうこともあるしね、その癖、傘立てにいてても帰り忘れないし。なんか肌身に染みてる感じなんだよ。体の一部とも言うね。


 防具に至ってもそうらしい、現在、僕らが冴木さんから頂いているジャージは、割と頻繁に更新、つまり取り替えてるんだけど、その度のアップデートしてるらしくて、現段階において、これ以上の防御力と動きやすさ、何より着心地と快適さを兼ね備えた防具もないらしい。


 それが証拠に、今までプレートメールを着ていた薫子さんなんて、僕らのジャージを一緒に更新する様になって、かつての赤系とのプレートメイルを着ている姿を見た事ないもん。ギルドの仕事の時も今の姿に腕章で押し通ってるらしい。だから今はギルドでは姫様扱いだけど、ジャージ姫とか呼ばれてるらしい、本人も言ってたから決して陰口ではないらしい。


 それはともかく、そりゃあそうだよね、確かに頑強だけど、手入れが大変で、硬くて動き辛くてともすると体のあちこちに靴擦れならぬ鎧擦れ起こすこともあるフルプレートメイルと、同等以上の防御力を兼ね備えて、ユニクロ並みのスエットの着心地と快適さ、そして、手入れも洗濯機の普通の洗い方で良いなら、断然、こちらのジャージを選ぶよね。


 そんな訳で特に寄り道も必要のない僕らは、「もう少しペース早めて、とっとと攻略した方だ良いです」って、そう言われたんだ。


 そんな話を就寝前のなんとなく空いた時間に、我が家のリビングでなんとなく側にいた葉山と薫子さんに言うと、葉山がさ、 


 「私、その前に温泉行きたい」


 とか素っ頓狂な事を言い出した。


 まあ確かに良いよね、温泉。


 この前、蒼さんの所のおばあちゃん、褐さんと一緒に行った登別温泉や層雲峡も記憶に新しい。


 でも、今ダンジョンの話をしている所だし、その話題は今度ね、って言おうとしたらさ、突然後方から声が、


 「静流はダンジョンの話をしてるんだよ、兄」


 とか妹が言うんだよ。


 いつの間にか、部屋にいたはずの妹が僕の座るソファーの後ろに来ていた。そしてそのままソファーを後ろからよじ登って、僕の膝の上に収まる。


 で、びっくりする僕なんだけど、いや、急に現れた妹もそうだけど、それ以上に、


 「え? ダンジョンに温泉とかあるの?」


  とか聞いてしまう。


 「あるぞ、最下層に位置する場所にな、知る者だけが知る秘湯中の秘湯だがな」


 と薫子さんも肯定して新たなる情報も追加してくれた。


 「もちろん、場所が場所なだけに、深階層常連でも、たどり着けるものは少ないが、リピーターは何人もいるほどの人気なスポットだ」


 そんな薫子さんの話を、意外なことに、天井に張り付いている蒼さんが物凄いガン見して食いついていた。


 そんな所にいないで降りてくれば良いのに、とは思うけど、蒼さん的には忍者的存在なのでこのへんはきっと譲れないんだと思うから優しさによる放置でその辺はそっとしておく事にしている。


 それに褐さんに聞いたけど、蒼さんって、相当な温泉好きらしいんだ。物心つく前から、いつも褐さんに連れられて一緒に湯治に行く仲良し孫娘らしい。


 それを考えると、この前、ってあの『秋の木葉』結成直前の褐さんの旅行のお供に来た蒼さんを邪魔してしまったのは勘違いとは言え悪い気もしている僕なんだよ。


 だから、


 「蒼さんも行きたいの?」


 って聞いたら、彼女にしては珍しく、激しく頷く。


 そっか、行きたいのかあ。


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