第67話【最大にして最強の組織『ギルド』】
ギルドの建物って、エレベーターとか無いんだなあ、って思いつつ、この辺は学校と同じかなあ、なんて思いつつ普通に階段を登って行く。
階段を登って、廊下を歩いて、雰囲気は事務所ビルっていうよりも学校に近い感じがする。
至る所に、掲示物が貼ってあったりするし、『死んでもいいからって、死んじゃダメだぞ』とか、『一日、3モンスター』とか『狩すぎ注意』とか、いろんな注意喚起がところ狭しと、貼られている。
でも、よくこうして見ると、学校の一角を切り取ったような雰囲気はあるものの、その実、置いてあるものや、飾られているものは、地上の世界にあるものはは全く違う様相をしているって気がするんだ。
地中の建物だから窓とか無いし。
だから、あたり前だけど日中でも日の光は届かずにいるので、各種、廊下にも、多分あれトイレかな? そんな場所にも照明器具がついてるんだけど、どう見てもLED照明とかではなくて、最初は変わった照明器具だなあ、って思ってよくみると、キノコ?なのかなあ、傘が丸くて、昔の白熱球よりちょっと大きなタイプな、きっとこのダンジョン由来のものを利用しているんだろう。
周りを見つつ、そんな興味も尽きることない僕は、そんな、優しい明るさに照らされる館内を僕は田丸さんに連れられて、4階のギルドの会議室に連れて行かれた。
扉の前で、田丸さんは止まって、ノック。
「田丸です、入ります」
って言ってから、
「真壁秋くん、東雲春夏さんを案内してきました」
って言って扉を開けて、まずは僕らを先に通した。
結構広い部屋。
室内には、長テーブルが一脚、そして、その前に、パイプ椅子が2脚並んでる。
で、真希さんは長テーブルの前、真ん中に座ってるわけで、その横には、あ、知ってる。
麻生さんだ。ギルドの最高幹部の一人って言われる人で、真希さんよりは出てくる機会はないけど
それでも、ダンジョンでの特集になると雑誌やテレビやネットではそれなりに顔を見せてる人だよ。
確か『聖騎士』なんて呼ばれてる人だね。
僕は初めてこうして生な麻生さんを見たけど、いつも浅階層にいるって言われてて、スライムの森でも度々目撃されてる人らしいんだ。
こちらも女子が二名、割と見た感に大人っぽい人が並んでる。
一人は白衣姿で、もう一人はピシッとしたスーツ姿に、どっか冷たそうな感じ。とかっが(尖った?)眼鏡だからそう見えるのかな? 感じで言うなら保健委員と風紀委員みたいなかんじに見える、僕の先入観だけだけどね。
問題なのは、部屋の中心にあるテーブルから若干距離を置いたところに斜めに配置された、つまり、僕らが座るであろう椅子を斜めから正対して見る位置にあるテーブル。
人が座ってるのはわかる。
でも、その前に曇りガラスによる衝立てがあって、だれがいるかわからない様になってる。査問委員な感じかな、
それでもこっちはわかるみたいで、曇りガラスの向こうから手を振ってる人がいる。
「やあ、秋さん!」
ってお気軽に手を振ってるのは、なんと角田さんだった。声と態度となんとなく薄く映る姿でわかった。
「ほれ! 自ら正体をばらしてんじゃねえべさ、お前は黙ってろよ、せっかく隠してるんだからな!」
真希さんに怒られてた。
なんで角田さんがいるんだろ?
でも、あとはわからないなあ……。
残りの二人は女性みたいだけど、端にいる方は、どっかであったことあるかんじなんだよなあ…。
って思わず室内を見て惚けてしまう僕なんだけど、これって、俗に言うところの面接スタイルってやつかな?
僕、就活もアルバイトもした事ないけど、そんな配置になってる。
「ほれ、ボーッと突っ立ってないで、中に入って座るべさ」
僕らは進まれるまま、席についた。
座ってから、あ、これパイプ椅子でも高価な奴だ、キャスターとかついてる。ってつまらないことに気が付いてる。