第126話【時間です!!!】
すると、恐らく、蒼さんの持つスマホからかな?、
「坊! 坊、いるんだろ? 今回切りだよ、上手に蒼を使ってるじゃ無いか、うまくやりなよ」
と言われるので、
「はい、ありがとございます」
と、なんの事、パッとしないけど返事はしておいた。いや、ともかくこう言う事に褐さんって、割としっかりしないといけない人なんだよ、何をしてくれたかわからないけど。
「じゃあね、蒼もしっかりね、それと、最後にこう言うことはもっと早く言っとくれ、年寄りの骨をお折らすもんじゃ無いよ」
「申し訳ありません」
って蒼さんが謝っている間に、通話は切れてしまう。言いたいことだけ言えて満足した感じがするのは気のせいでは無いだろうな、って思って聞いていると、
「お館様、これで、竜を北海道の空に放つ事が出来ます、時間は限られていますが、全ての航空管制に確認は取っております」
と言った。
「本当に、どうにか出来ちまったんだね、随分、頑張ってもらったんだべ」
と真希さんが言った。そして、
「すっかり時間を稼がれたべ、私の出る幕ないべ」
とどこか嬉しそうに言うから、なんだ、真希さんも本気で止める気なかったんだ。って思った。
ここで、ああ、そう言う事。って合点がいった。
真希さんを出ない様に、真剣に時間稼ぎをしていたんだな、蒼さん達。
「いや、ほんと助かったす、ちょっとでも本気出されたら一瞬で終わってました、いかにお館様に悟られず、時間を埋めるのには肝が冷えました」
いや、僕が君達相手に本気出す訳ないじゃん。ゾンビの時もそうだったけど、特に紺さんの場合、ギルドとの今回もシガラミなら仕方ないなあ、とは思ってたから、
「あらためてこの身を紹介します、お館様、この様な姿勢で失礼します、私は、多月百家が一人、百舌 藍と申します、この度、ようやくダンジョンに入れる年齢になり、駆けつけた次第です、今後、お館様のお力になれるよう命を賭して邁進します、どうかよろしくお願い申し上げます」
と、腰が抜けた状態でけど、ピシッと挨拶してくられたよ。
「よろしくね、藍さん」
僕がそう答えると、なんかモジモジしてた。
なんだろう、僕の周りの女の子たちには無い、恥じらう姿ってどこか新鮮だ。良いもの見たって気分になってくるよ。
そんなどうでも良いことを考えていると、
「準備はいいかしら?!」
と椿さんが僕のすぐ横で叫んでる。大丈夫聞こえてるよ。そんなに大きな声を出さなくても良いかね。
そうだね、時間も押してる事だし、チャッチャと飛んでもらおう。
そう思ってふと見ると、大きなティアマトさんの顔が地面まで下がって来ててさ、そこに真希さんと春夏さんがいて、言葉を交わす訳でもなく、誰が誰ともなく、互いに顔を見てうるんだ。
そんな姿を見ていたらさ、なんだか急に、胸のあたりがキュウっとなって、不安になったんだ。
気のせいかな?
ううん、僕はこんな光景を知っている。
そして、どうしてかそれが何もかもが終わって行く、あの『続き』の光景に見えたんだ。