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第118話【こっちも弟妹対決】

 僕の遙か頭上から、どうしてか微笑ましく、っていうか竜の表情ってよくわからないけど、きっとそんな感情ってのはわかるんだけど、


 「秋の周りには可愛い子いっぱいいるねえ」


 とか、久しぶりに孫の家に遊びに来た好好婆に言われる様な日常な会話をティアマトさんにされるんだけど、本当にあんた僕のおばあちゃんかよ、ってくらいの気安さで言うから驚く。


 まあ、確かにそうかもね、隣では葉山がちょっと照れてるし、なんだろう、雪華さんとかも茉薙に鏡を持たせて、髪とか整えてる。


 「これじゃ、あんたも頑張らないとね」


 って恐らくは春夏さんにだろうと思うけど、そんな風に言われていた。ちょっと顔を赤らめて頷く春夏さんは可愛いなあ、何を頑張るのかはわからないけど、そうだね、春夏さんには頑張ってほしいなあ、と特定しようとも思わないけど率直にそう思う。


 「秋先輩、私は悲しいです!」


 っていきなり雪華さんが言って来る、ってか叫んでくる。


 叫ぶくらいなら普通にこっち来て喋ればいいのに、ちょっとあの転送ゲート、僕らのいる位置から距離あるからね。


 そしたら、今度は、


 「茉薙、私、茉薙とは戦いたくないよ!」


 って葉山が叫んでた。


急に僕の横で、本当に耳元に近い所で叫ぶからびっくりするよ、君達も近くで話せば良いのに。劇場かよ、ってくらいの身振り手振りで葉山は茉薙に訴えるみたいに叫んでた。


 すると、茉薙は普通に、


 「いや、俺は別に良いけど、今は敵だろ?、だって静流は秋の仲間だし」


 って冷静に言う。


 「え?」


 言われた事がわからないのか、それとも理解したくないのか、本日何度か目の間抜けな声を出す葉山だよ。


 断っておくけど葉山は賢いからね、優等生で委員長なんだから、こう言う間の抜けた声ってそう何度も聞けないんだよ、別にありがたくもないけど、つまりは葉山にとって、それほど理解し難い言葉を茉薙が言っているって事にもなる。


 「いやいやや、だって私だよ、静流だよ、茉薙何言ってるの?」


 「わかってるよ、でも敵じゃん、仕方ないじゃん」


 「おかしいな、おかしくない? ちょっとは葛藤とかしないかな? 私、私、静流だよ? 茉薙とずーっと一緒にいた静流だからね」


 「確かに今まではさ、世話になったけどさ、今はこうして離れてるんだから、俺は俺の味方の為に戦うのが当たり前じゃん」


 「じゃあ、茉薙は、仕方なく、身を引き裂くように心を痛めても私の敵になるでいいのかな?」


 何だろう、葉山の今までに見たことのない表情。一応は微笑んでるんだけど、目が笑ってない。と言うかここまで精神的に追い詰められる葉山を僕は知らない。


 「じゃ、じゃあかかっておいで茉薙、私も辛いけど頑張るよ、良いよ敵で、もう手加減とか無いから」


 でも茉薙はあっさりと、


 「俺も手加減するつもりなんてないけど」


 「ちょっと待って、無いの? 本当に無いの? 心の葛藤というか、私を傷つけてしまうかもって恐れとか」


 「うん、特に無いかな、今はそんな小さな事で、雪華に危険が及ぶ方がイヤた」


 あれれ、茉薙ってなんかカッコいい?


 こんなにクレバーなイケメンだったっけ?


 今の見た目って、僕をそのまま幼くしたような感じだけども、僕、茉薙くらいの年齢の時にこんなに言い切って話できたかなあ? って思うと、今の茉薙の方が大人って気もする、と言うか、今の僕すらたどり着いていない場所にいる気がするのは気のせいではないと思う。


 かつて、葉山の中にいた茉薙って、もっとヤンチャでわがまま坊主って感じだったけど、ちょっとこの割り切りっプリは、冷酷とか情け容赦無しというか、人としてそれはどうだろう、って思考が何周かして、なんか惚れてしまいそうなくらいかっこいい。


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