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第117話【工藤真希が現れた!】


 もしかして、さっきから黙ってたのって、くしゃみ我慢してたのかな? 話の腰折らない様に。


 そして、ズズーっと鼻啜る様な音を出した後、


 「やれやれ、黙って聞いていれば、退屈な質問だね、そうかもしれないね、でもね、ここがどう言う所であるかよりも、問題なのはお前さんがどうしたい? のかにあるんだよ、たぶんここはそんな所さ」


 とティアマトさんは言うんだ。


 そうだね、結局は何しても自由だよね、ここ北海道ダンジョンってところは好きにやっていいんだよ。僕の思いつく限りの知り合いだって、好き勝手してるし、著しく迷惑をかける人とか団体は、みんなギルドに滅ぼされるといい。


 そんなティマトさんに言われて、白馬さんは、


 「ならば結論は一つだ、ここは戦場ではない、恐らくは『訓練場』だ」


 まあ、確かにそう言う考え方もありといえばありか。


 そんな白馬さんの答えにティアマトさんは何も言わずに、答えもせずにただ黙っていた。 そうか訓練場かあ、って思って全部じゃないけどだいたいは納得するんだけど、ちょっと肝心な事に気がついてしまう。


 もし、ここ北海道ダンジョンが大きな訓練場だとして、戦うって事に、抗争に慣れ親しむ場所だとして、それは一体、なんの為の訓練なのだろう?


 そうなんだ、僕ら、一体何を目的にして、誰を相手としてこうして戦うって事に慣れて行こうとしているのだろうか、まるで心の隅に落ちてゆく様な思考に囚われてしまう。その時だった、僕の知ってる声が、囁く様に言葉をわずかに開いた疑問というか、漠然とした猜疑心を埋める様に、囁くのは春夏さんだった。


 「秋くん、今はいいの、考えなくてもいいんだよ、もうすぐだから………」


 僕は表情も、自分がどんな顔をしているかわからないのに春夏さんをの笑顔を見てから、自分もまた笑顔になってる事に気がつくんだ。


 そうか、じゃあ、いいのか………。


 うん、落ち着いた。


 なんの不安も無い。


 僕の疑問と、このダンジョンと、そしてそれらを知るであろうティアマトさんと、そして僕は知ってる、今ここでと言う訳もなく、春夏さんの事が包み込む全てを僕は知ってるんだ、知らないけど。知ってるってことだけ知っている。


 おかしいけど、当たり前て、変な感じだけどこれが正しくて、そんなフワッとした雰囲気の中、急に白馬さんは叫ぶ。ちょっとびっくりした。


 「撤収する!」


 と言い切った。


 「隊長、意見具申します、ギルドの方はいいのですか? 一応はここで彼等を足止めすると言う話では?」


 と半ばあきれる様に白馬さんに意見具申する三爪さんだった、副隊長さんなのかなあ?、凄い責任感だよ。


 「一応、義理は果たしたぞ、それに、彼等に勝てる奴が俺を含めているか?」


 と言うと、


 「いえ、それは」


 と言葉を濁す三爪さんだ。


 「なら、わかりきってる結果にこれ以上ここにいる必要もあるまい」


 と白馬さんは言った。


 「それに、スキル無しでの最高位も見れた、時間も稼いだし我々の目的は果たしたよ」


 と清々しいくらいの離脱っぷりだよ、いいのかよ自衛官がこんなに無責任で?


 でもまあ、強かったなあ、今までのどんな人たとも違う強さだ、初めてこんな戦いかたする人達を見ったって気分だった。


 「二列縦隊、駆け足進め!」


 と綺麗に二列作って全員が走り去ってしまう。あ、元野球少年さん、ちゃんと担がれてる。


 そんな、団体から三爪さん、離脱して、こっちに駆け寄って来る。


 「お館様、すみません、私たちはこれで、蒼様によろしくお伝えください」


 と言って、走り去る自衛隊の人達に合流していった。


 凄いよね、出口まで、きちんと部屋の壁をなぞって曲がる時には器用に直角に進んでいくから、なんか見送っていて飽きない。


 「兵職ってのはあれで、リアリストですからね、理が無いと思えばあっさりと引きますね、いたずらに戦力を消耗する様なことはしません」


 ん? ちょっと待って、さっき、白馬さん、時間を稼いだって言ってたけど、それって………?


 「おはよう、アッキー、竜の髭ありがとな、でも、ちょっとお話し聞かせてほしいべさ」 


 って開きっぱなしのゲートから出てきたよ、今、僕の一番会いたく無い人。


 「秋先輩、奏から聞きました、嘘ですよね、また私たちの敵になるなんて………」


 ああ、雪華さんも一緒だった、ってことは………


 「よ、よお」


 っ雪華さんの後ろから茉薙が顔を出していた。


 うーん、一番ヤバい人達きちゃったなあ。


 後、何分も無いはずだけど、真希さんはヤバいなあ、瞬殺されちゃうよ。


 「なんだよ、マー坊、面白い事になってんじゃねーか」


 音もなく、僕らの背後に来たのは、当然のごとく現れてクソ野郎さん達だった。うわ、いつの間にって感じで驚いたけど、修羅場だね、だから来ちゃうようね、この人って納得して、そして、ここに来てこの二人の戦力が加わるのが、嬉しかったりする。大丈夫、少し時間が稼いでくれそうだね、この二人なら。


 「ラミアの次はドラゴンですか? バカなのですか死ぬんですか?」


 猛毒みたいな言葉を吐くアモンさんとそして、クソ野郎さん。


 よかった、これでまた混戦になる、時間が稼げるぞ。

 

 

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