第65話【ギルド認定】
僕と春夏さんに届いた書状というか手紙、かなり違わない?
春夏さんの方は、ギルドだけだし。
おかしいね。
なんだろう、ホント、嫌な予感しかしない。
でさ、中身についてなんだけど、春夏さんの場合は、時間のある時に、って書いてあるのに対して、僕の場合はきっちり日付とか記されてるね。日付は明日になってる。
拒否した場合は、僕を確保するための人員を派遣しますって、その場合に対しての損益や賠償問題等が発生した場合、僕にも負担していただく場合があるって書いてある。
その横に、小さく、北海道警察とか連絡先とか書いてて、抵抗する場合、公務執行妨害になるって書いてる。で、そのほかにも条例とか法令に関する条文が記載されてるところを教えてくれてる親切ブリだよ。
なんだこれ?
「春夏さん、これどいう意味なんだろ?」
って、尋ねると、
春夏さんは、いつもの笑顔で、
「秋くん、大丈夫だよ、明日、一緒に行こう」
ってニッコリ笑ってくれるんだ。
うん、明日、来いって書いてあるからこの警告書の通りなら僕に選択権なんてないんだけどね。
でも、春夏さんが一緒に行ってくれるって聞いてちょっと安心した。
事故して怪我したときに医者に全治半年って言われたけど、それが、全治6ヶ月くらいになったって言いなおされた時くらい安心した。
春夏さんの方にはサムライ認定って書かれてるけど、僕の場合は詳細は現地で! みたいな事書かれてるから、一応、これで僕のスキルとか、クラスとか、本当は全く期待なんてしてなかった、そんな物があるっていう期待は、明日何を言われるんだろう? そして、何をされるんだろう?って不安感だけで塗りつぶされて、ベッドに入ってからも不安で、きっと8時間くらい程度にしか熟睡できなかった気がする。
もう少し寝足りない気もするけど、基本的に僕、一回寝始めるといつまでも寝ていられるタイプだから。目が覚めた時はいつもこんな感じだ。
で、昨日の今日、そんな僕を心配してれた春夏さんが、僕の家まで迎えに来てくれて、僕たちはギルドに向かったんだ。
「大丈夫、秋くんは私が守るから」
って、行きの電車の中でも20回くらいは春夏さんは言っててくれて、その間、僕はずっと、うん。って答えるのが精一杯だったよ。
で、普通に4丁目ゲートから普通にスライムの森に入って、そして普通にってか、僕、ダンジョンとしては何度も入った事があるスライムの森なんだけど、ギルドの本部って初めて来たきがする。
いや、だって、レンタルソードの貸し出しについては、ギルドの本部じゃなくて、ダンジョンの入り口にその受付は設けられているし、用事なんてない限りギルドの本部に来ることなんてまずないと思う。
で、僕は今、そのギルドの本部にいるんだけどさ、普通に4階建のビルで、当たり前の感じなその辺にあるみたいな事務所ビルでちょっと拍子抜けしてる。
もちろん、そんなギルドの建物以上に、スライムの森に建っている北海道ダンジョンの地下1階の天井は遥かに高いから、別に違和感は無い。
そして、僕らは、ギルドの本部に入った。
特に見張りの人も、受付もなくて、入り放題の出放題だな、ってセキュリティーとか今日日のマンションよりも低そうな感じでちょっと心配になった。
入り口に入ると、本当に受付もないもんだから、どこをどう進めばいいか分からなくて、玄関に入ったものの、どこに行けばいいのか分からずに、入り口正面の掲示板を見てるけど、さっぱり要領をえない僕らは普通に迷ってる。
「あ、真壁秋くんだ」
って急に声をかけられるから、びっくりするものの、ちょっと安心もして、
「あの!」
ってこちらから声をかけてみると、うん、僕この人知らない。
見たことないってか、初対面の女子で、高校生くらいのお姉さんに声をかけられてしまう。
知らないところで知らない人に声をかけられて、トキメキなんじゃとは明らかに違う、ドキドキしてしまう僕だよ。