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第114話【こんなところにも秋の木葉?】

 攻撃も受けずに自分の仲間が痛みにのたうち回るってのもあまり無い経験だからね、そりゃあビックリするよね。僕は何回か見てるからそうでもないけど、それでも未だちょっとドキドキはする。きっと慣れる事はないと思う。


 「結果が出ないとわからないが、ここは礼を言うところか?」


 って隊長さんが軍刀を振り下ろしながら言って来るから、


 「いや、特には………」


 と僕も適当に返事をする。


 「そうか」


 と言われて、一回しきり直す。


 すると、また指揮官さんは聞いて来る。


 「今のはスキルと言うヤツなのか?」


 「ええ、そうですね、彼のスキルです」


 「現在、君もスキルを使用しているか?」


  今、こうして指揮官な人と戦ってる僕に聞いて来る。


 「いえ、使ってませんが」


 すると、


 「そうか」


 と言ってから、


 「ちょっと待ってくれ」


 と一旦、僕から離れた。


 「状況を終了する!」


 そして、


 「集合!」


 と言うと、今まで戦ってた自衛官の人たちも、皆、指揮官の人の元に集まる。寝てる人はどこかに持っていたのか、組み立て式の担架に乗せられていた。


 もちろんみんな適当に流しているから、誰も怪我とかしてない。僕に合わせて戦っていてくれてたみたい。面白いな、って思うのは、葉山とか角田さん、春夏さんと戦ってた人達、概ね2〜3対1でやりあってたんだけど、終了と同時に、みんな戦ってた相手、つまり僕等の方ね、ペコリとお辞儀してから指揮官の元に駆けて行くんだよ。


 それにはみんな流石にあっけに取られてた。今までに無い対応だよね。


 礼儀正しいなあ、と言うか行き過ぎてるよね? って思う僕がいるよ。


 綺麗に指揮官の前で整列して、「休め」とか言われて、指揮官な人、隊列を離れてこっちに来る。真っ直ぐ僕の所に来て、


 「戦ってくれてありがとう」


 と言って手を差し伸べてきた。ひとまずシェイクハンド。


 「まずは自己紹介をさせてくれ、自分は、自衛隊北部方面直轄108特別中隊所属、通称大通小隊、白馬 勝己(はくま  かつみ) 階級は士長だ」


 自衛隊の階級というものがよくわかなり僕なんだけど、ダンジョンウォーカーってことはまだ高校生未満だから、年齢の割には偉いのかな? それとも年相応なのかな?


 困ったから角田さんを見ると、


 「通常、中学卒業して入隊する少年工科学校の隊員生徒の階級は3士になります、多分、ダンジョンが、戦地と判断されて特進したんでしょう」


 と答えてくれる。凄いよね、この人自衛隊の事とかも余す事なく隅々までだよ。ありがとう、ドラえ………、じゃなかった角田さん。


 「その通りだ」


 と白馬さんは言った、なんか握っている手がとっても厚い感じだ。グイグイと握られてブンブンとされる。


 「真壁秋です」


 僕、所属とか無いからこんなスッキリな言い方になる。


 こんな自己紹介でいいのかな? って事で悩んでいると、白馬さん、何を勘違いしたのか、


 「すまない、馴れ馴れしかったか?」


 とか言われる。いや、概ねダンジョンウォーカーなんてこんなものだよね、っていいかけると、白馬さんは、


 「君の事は知っている」


 とか言われる、え? どういう事?


 初対面の人にそんな事を言われて、ちょっとビックリというか引き気味になる僕がいるよ。


 すると、さっき文官な人かな?って見てた女性の自衛官の人が僕らの方に来てお辞儀してから、


 「ダメですよ、分隊長、そんな事言ったら、真壁さん引きますよ」


 と言って、


 「ごめんなさい、うちの隊長、ちょっと言葉が少なくて、補足させてもらうと、私達はここに来る以前から、君の事は聞かされていたの、もちろん、君だけじゃ無いわ、他の要注意人物とか、特にダンジョンの中核に関わっている人の事全般はこのファイルに収めてある」


 と言われて、その中身をちょっと見せてくれた。


 すると、白馬さん、


 「秘匿事項だぞ」


 って一瞬だけ叱るのだけれども、その女性自衛官さん、全く悪びれる気配も無い。ちょっとだけ見れた本と言うかファイルには確かに僕も載ってる、でちらっと捲る時に、一瞬入、知ってる顔が見えた。


 あ、クソ野郎さんも載ってる。確かに要注意人物だよね。今は空気の様におとなしいけど、そこにいるから他の隊員に確認されてた。

 

 そして、


 「私は、三爪(みつめ)(あおい)と言います」


 と自己紹介してくれた。


 ん?


 あれ? 


 ちょっとこの名前って名前そのものじゃなくて、一瞬、出てきた字の並び部既視感とああってさ、口で言われたからちょっと確認してみると、


 「み って数字の三?」


 と尋ねると、


 「はい」

 

 僕は、その彼女に自分の手を、爪を見せて、


 「爪、この爪?」


 「はい」


 「葵って、青色の仲間の葵?」


 って言ったら、


 「はい、そうですよ、お館様」


 って答えてくれた。


 ああ、そうか、数に人の体の一部に、青系統の色の名前って、彼女も多月家の分家の人だ、蒼さんの関係者で、じゃあ『秋の木葉』って事なのかな?


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