第113話【しっかり治してね】
あれからずっとそうだけど、なんか重症って感じだよなあ。
でもって、襲ってきた自衛隊の人、そのまま肩を押さえてのたうち回ってるから、そんなの全く気にしない桃井君と言うのが、全くシュールな感じして、それ以降、彼に誰も近づかないで距離を置き始める。
それでも自衛隊の人って、いい人でそののたうち回る人を恐る恐る桃井君から引きずってでも離しして、薫子さんを見ていた女の人の自衛官がその人の所に駆け寄っていった。
そして、角田さんが、
「こいつ、元野球少年か?」
って、普通に他の自衛官の突撃をバットで受けながら指揮官の人に尋ねる。
すると、指揮官の人は驚いた様に、
「わかるのか?」
と聞いてくる。
「相当肩を酷使したみたいだな、壊れた段階まで『治癒』させてるみたいだから、このままじっくりと適正に対応すれば根治するぜ、この場合ヒーラーじゃ治らないがな」
と言うと、その痛みにのたう自衛官が、
「マジっすか? またボールとか投げられる様になりますか?」
って、顔面が脂汗塗れなのに聞いてくる。
すごく痛そうだけど若干喜んでるのはそう言う趣味から来る物ではなさそう。
「スポーツ専門の医者じゃねえからわからねえよ、だが、こいつが昔してたみたいに、ちょっと直しては無理していたなんて事しなきゃ大丈夫じゃねーか、わからんが」
と角田さんは適当に返してた。そして、
「なあ、桃井、痛みも取ってやれよ、このまま痛みに耐えて体が緊張し続けるのも肩に悪そうだ」
って言われて、
「あ、そうですね、はい」
って、混戦してる最中の自衛官さん達と僕ら普通にスタスタと歩いて行って、元野球少年な自衛官の人の所でかがんで、処置をしてた。
凄い球の様な汗をかいていたその人も、痛みから解放されて、眠る様に気を失っていた。
「おい、大丈夫なのか?」
って僕と交戦中の指揮官な人、僕に言うんだけど、僕にそんな事わかるわけがないから、ちょっと首を傾げてしまう。いや、本当にわからないから………。
「チィ………」
舌打ちされたよ。
すると桃井君が、
「ごめんなさい、大丈夫です、寝かせました、痛みも不安も解けてますから大丈夫です」
と、多分、救護な人なのかな?、薫子さんの所に行っていた人、スヤスヤ眠る元野球少年今は自衛官な人のところで、桃井君に言われてわかり安くパニクってる。
脈拍とか見て、
「だ、大丈夫です、大丈夫だと思います!」
何をされたかわからないから、この状況を掴めないのは無理もないよ、でも、平気だって事だけは伝える。
そしたら、その指揮官の人もとてもわかりやすくホッとしてた。
流石に、隊長だけあって、部下の心配とかするんだなあ、ってちょっと感心してしまう僕だったよ。