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第110話【自衛隊大通り公園分隊到着】

 「ごめん、悪かったよ」


 って起こそうと手を差し伸べるんだけど、その手を思いっきり払われてしまう、そして、凄い敵意に満ちた目で睨まれる。


 ええ??


 「もう! 真壁はあっち行ってて、ほら薫子行こう、真壁はそこにいて、近づかないで!」


 って言われてしまう。と葉山にというか怒鳴られてしまう。


 なんか気の沈みで重くなってしまった薫子さんの体を、春夏さんも手伝って二人掛かりで部屋の端の方へと連れて行って、女の子同士になってなんか言ってる。七竈さんも行ってる。僕も行った方がいいんだろうか?


 「これ以上、ナチュラルに心を抉る秋さんは近づかない方がいいですよ」


 って角田さんに言われた。


 「思った事を素直に言っただけなんだけどな」


 って思わず愚痴ると、


 「思った事を素直に口に出すと、事実が誤解や認識齟齬以上衝撃になって人間関係上の崩壊になってしまうと言ういい例ですね、普通は思ってても言えませんが、さすが秋さんですよ」


 呆れを通り越して、本気で感心してる角田さんだよ。


 ほんと、どうしよう、この空気って思ってっると、


 再び誰か転送されて来た、って言うか開けっ放しの転送ゲートから、何人か出て来た。


 もう、やりにくいからこれ以上知り合いとははやめて欲しいなあ、って思ってたら、本当に初見の方々だった。


 幾ら何でも、これは見間違わない、って言うか、この人達とは今まで出会ったことはないのはその出で立ちからありありとわかる。


 だって、今現れた、何人か、7、8、9、………12人、鎧もジャージも着てないんだよ。それに持ってる武器も剣とか槍の類じゃない。


 迷彩服に、多分、自動小銃かな? 迷彩のヘルメット。


 ああ、この人達が例の自衛隊の方達かあ、って思ってたら、先頭の大きな人以外は、みんなティアマトさんの大きさに驚いていたけど、


 「落ち着け、今回の敵はこの竜じゃない」


 と野太い声で言った。そして、


 「初の対人戦、対ダンジョンウォーカー戦になる可能性がある、各個に位置に付け」


 と言った。太いけど、恐ろしいくらい静かでそれでいてよく響く声。


 淡々と、って言った感じ。


 彼らは、その小銃を構えて、僕らを取り囲む。完全に包囲されてしまう。


 そうか、この人達が自衛隊の人達で、新しく来たダンジョンウォーカーなんだね。今までのダンジョンウォーカーとは全く異質な感じ。


 ダンジョンウォーカーも深階層ともなると、それなりの人が多くて強そうな人多いけど、それとは全く違う、明らかに訓練された集団の戦闘能力を感じてしまう。


 なんか、銃の先に剣が付いてる。確かダンジョンて火薬が炸裂しないから、これで攻撃してくるつもりなんだろうか? 重くない? ってこれから交戦するであろう初対面の人にいらない心配してしまったよ。


 ダンジョンてさ、魔法とかスキルによる色々な攻撃方法とかあるけど、通常の科学変化って起こりにくくて、特に銃器の類は使用できないらしいんだ。葉山の神器のバルカは別ね、あれ、魔法スキルの応用だから。だから僕に向けられている銃口って、弾が出ないのはわかるんだけど、流石にそれなりのプッレッシャーは感じる。

 

 ジリジリと包囲を狭めて僕らを取り込むこんな状況で、ちょっとホッとしている僕がいる。


 いや、だって、力づくで来てくれるんなら、そっちの方がいいよ。力には力で対応できるからね、分かりやすいし。


 流石みんなの味方、自衛隊だよね、空気変えてくれて大助かりだよ。


 北海道って、自衛隊の基地っていうか駐屯地多いから、自衛隊の人も多い。だからその辺の河原とかでも住宅街でもちょっとした商店街でも平気で見かけるくらいの気安さなんだから、見慣れてるってのもある。だから変に構える事もないんだよね、身近で働く方々なんだよ。ご近所さんだもの。


 もうちょっと時間が稼げそう。


 真希さん来たらそこでジ・エンドだからね。


 さて、あと30分くらい稼げばいいのかな?


 思わず見上げてしまう、この部屋の高い高い天井に、今頃、此花さん達による準備が着々と進められているのだろうかと、思いを馳せると、


 「秋さん、気取られますよ」


 角田さんに注意を受けてしまう。


 それはダメだね、って僕は正面を見つめる。


 目の前には大きな指揮官な自衛官な人、そして僕らの左右に展開する、その人の部下っぽい人達。キリキリと迫り来る殺意とはまるで違う、密度の濃く重い意思を向けられて、ちょっと本気で嬉しかったりする僕だったよ。


 よし、後、30分弱。


 付き合ってもらおうかな。  

 

  


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