第107話【結局、葉山は薫子さんの味方】
思わず、後ろにいた角田さんその他の反応を見るんだけど、ちょっと自分の立ち位置というか立場に自信がなくなって来たから、思わず見てしまうんだけど、誰も目を合わせてはくれない、もちろん、春夏さんは違うよ、いつもどおりニコニコ笑ってるから、僕のこの一連の行為に攻めるどころか、他人を決め込む様子はないんだけど、春夏さんって、基本、どんな時もどんな場所でも僕の味方だから、この場合引き合いに出せないというか参考にならない。
「ダメだよ薫子、武器の相性が悪いのかも」
「いや、でも今日は剣の方とか持って来てないからな」
「どうする、私が話して、武器を手から落とすの禁止にする? だって、これやり方が卑怯だもの」
「いや、良い、折角、今日花様に使い方をご教示いただいたのだ、これで行く」
なんて話し合いをボソボソとしている。
こうして見ると、薫子さんと葉山も仲がいいんだよね。特にここ最近は色々と口論やら口喧嘩とはしてるんだけど、いつも一緒にいるって言うか、家では一緒にキッチンに立ってることが多い。雪華さんの言うところの、葉山が親友を求めていたのってあながち間違ってなかったんだなあって思う。本当に仲のいい友達同士に見えるからね。
よくよく考えて見ると、葉山も薫子さんも、同等に扱える友人て言うのがいなかったんだなあって思う。だからこれで良かったのかもしれない。
「何ニヤニヤしてるのよ」
って葉山に言われてしまう。
葉山のやりたい事って、わからないでもないんだよね、つまりはなんとか平等というか、対等な戦いに持ってゆきたいんだな、きっと。
僕と薫子さんの、武器の相性とか、いやそれ以前に実力差とかを埋めて、なんとかトントンな戦いに持って行きたいのだと思う。いわゆるバランス取る的な?
でもさ、一言言わせてもららうと、こう言う考え方ってちょっと乱暴な気がするんだよ、だってそうだよね、それって、競技や戦いの場において、片方の能力や実力に制限をかけるのって、いわゆるそれは外部からの一つの、暴力に他ならない訳で、純粋な闘争や競技性は確実に失われると思うんだ。ぶっちゃけジャンケンと変わらないよね、そこにはその人の持つ努力とか才能に裏打ちされる能力なんて全く無視するって事だから、つまりは、あんまりいい親じゃない余計な事する系な大人がよくやるヤツで、側から見ると半笑いしちゃえる平等とか言う、それじゃあもう、勝負とかを否定してるってヤツだよね。
なんて事を考えていると、どうやら答えが出たみたいで、葉山が僕に向かって言った。
「真壁、もう薫子の武器、落としちゃダメだからね、ちゃんと打ち合って」
いいけど、
「でもそれじゃあ、『後の先』で僕の攻撃入っちゃうけど」
「何よ、真壁は薫子にまでも一撃必殺しちゃうの? 鬼なの?」
鬼って………、流石に酷くない?
「いや、そうしたくないから、こういう戦いになったんだけど」
なんだろう、葉山ってギルドの方のサイドについる気がするのは気のせいかな? 一方的に僕ばかりが責められてる気がする。そしてめんどくさい感じになってる。




