第106話【弟妹弟子対決!!】
葉山と薫子さん。
見守る僕だけどさ、なんかさ、あの二人って仲良いよね。気にしないけど、二人とも優等生さんだしな、気が合うところもきっとあるんだろうなあ。普通に仲の良い男子女子って感じで、見ていたホッコリして来るなあ。
「真壁秋、何を惚けている」
と薫子さんに言われてしまう。いや、だってさあ、なんかここ殺伐としてるんだもん。
そして、
「では、決着を付けよう」
と薫子さんは言う。
いいけけどさ……
なんか見てると、薫子さんノリノリなんだよ。
「いいか、お前達は手を出すな、ここから先は我々、今日花様の高弟のみが参加できる戦いになる、巻き込まれない様に自分の身を守っているがいい」
とか言ってる。
そして、『破斧グラウコーピス』を大きく振りかぶって襲いかかってきた。
「行くぞ! 真壁秋!」
えい!
とそのまま、つまり僕を襲いかかるって格好の薫子さんの手から、『破斧グラウコーピス』を打って落とす。
カシャンと、音を立てて簡単に神器『破斧グラウコーピス』は床に落ちて、そのまま回転を続けた。二つとも簡単に落ちた。
「あれ?」
薫子さんにしては間抜けな言葉が出る。まあ家にいるときはしょっ中だけどね、意外にこの人、間抜けな所あるからなあ。
床に落ちた神器と僕を交互に見て、
「おかしいな」
と言った。
別におかしくはないけど、そう思うのは多分、自分の中に今起こっている現実がイメージとしてあまりにかけ離れてしまったものだからんだと思う。
だから、僕としては、薫子さんの思っていた現実と、今、ここに突きつけられている現実のシンクロを待っている、だって説明するのメンドくさいじゃん。薫子さんって絶対に言い返して来るし、その度にいちいち薫子さんが納得するのって結構時間がかかるし、なかなか認めようとしない頑固なところがあるんだよなあ。
すると、床で今も回転を続ける『破斧グラウコーピス』を器用に拾うのは、葉山で、
「ほら、薫子、ちゃんと持って」
と言ってから、
「真壁も、いくら実力差があるからって、手を抜かないで、何回か打ち合ってあげなよ」
って言われる。
えー、嫌だよめんどくさい、それに薫子さんの武器、打ち合うのには向いてないんだよなあ、出来たら、避けたい。で、その前にこうして落とすのが一番良いと思ったんだけどな。
「薫子、呆けてないでちゃんと持って、ほら行くよ真壁、薫子もショック受けてないで、しっかりしなさい」
ってなんで葉山が仕切ってるんだろう?
「よ、よし、では気を取り直して」
ってすごいなあ、気持ち切り替えて来たよ、薫子さん。
再び同じモーションで襲いかかって来るから、また、薫子さんの手から『破斧グラウコーピス』を弾いで落とす。剣でカシャンって感じ。
「うわあ、また落とされた」
って驚く薫子さんがいる。
いや、だってねえ。
「もう、真壁、私の言った事聞いてた?」
でも違うのが、今度は葉山、薫子さんにも注意を促してた。
「薫子もちゃんと持たないとダメだよ」
って薫子さんも言われてた。そんな言われた薫子さん、
「いや、こう持たないとこの斧は高回転を維持してくれなんだ」
「武器の特性なのね、真壁も意地悪な攻撃するなあ」
え? 僕が悪いの?