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第105話【なにはともあれ竜の髭】

 「あれ?」


 って本気で驚いている相馬さんの顔が近い。


 いや、僕の方があれ? だよ。


 そして、


 「まさか、以前、この『ぐるりんパ』な攻撃を受けた事があるんですか?」


 まさに、驚天動地って顔してるから、僕の方も焦る、と言うか困る。で、どう答えていいかわからない。と言うか、その戦速なら普通に、多分、深階層とは言わず、どんなダンジョンウォーカーでも回避できると思うけど、どうしてこれが僕にと言うか母さんに通用するって思ってる相馬さんの方に、ただただ驚いている。


 「それ、本当に春夏さんのお母さんに教わったの?」


 って相馬さんと言うより、思わず春夏さんに尋ねてしまう。


 「うん、お母さんなら教えそう」


 って、そんな事を言う春夏さんちょっと恥ずかし気だ。身内のちょっと恥ずかしい所を見られた、そんなモジモジだ。


 「言ったんです、これなら抱腹絶倒で、隙が生まれるから、必ず一撃入るって!」


 ああ、おかしな攻撃って自覚はあるんだな。笑いっていうより、呆れの方が大きいけど、いやいや、一応、真剣でやりあってるから、真面目に戦ってるから、そこに隙とかは無いでしょ、って言おうとすると、


 「もういい、下がれ、相馬奏、私がやる」


 と悩む相馬さんを押し退けて薫子さんが出て来る。


 「ちょっと待って姫様、もう一回チャンスをくださいよ、やり方違ってたてのかも、ちょっと背の丸め方が足りなかったのかもしれないから、もう一回やらせて!」


 それは技の出し方というより前転の仕方だね、まあ、きちんと前に回っていたから前転は成功していたと思うよ、って思う僕がいる。でなかなか相馬さんも食い下がるも、


 「何度やっても同じだろ、見ろ、真壁秋の顔を、完全に呆れてるぞ」


 って言うと、


 「そんな事ないです、ないですよね? びっくりしましたよね?」


 って僕に向かって念を押して来る様に食い下がるから、思わず、


 「う、うん、びっくりはした」


 と言うと、相馬さんはちょっと嬉しそうだった。


 「ほら、驚いてますよ姫様、私、成功はしてるんですよ」


 「わかったわかった、成功だ、成功、じゃあ、次は私がやる、お前は後ろに下がっていてくれ」


 一応の肯定的意見をもらって、満足したのか相馬さんは後ろに下がって、その後ろにいた鴨月君とハイタッチしていた。鴨月くんも苦笑いしてるよ。何気に仲良いよね、この二人。って微笑ましく見ていると、


 「真壁秋、どこを見ている」


 って薫子さんに怒られた。


 「お前の相手は私だ」


 と両手にした『破斧グラウコーピス』を構える。


 そんな折に空気も読まない角田さんが、


 「秋さん、ひとまず、髭の方はギルドの本部に転送しておきますよ、魔導師の嬢ちゃんにちょっと削られたけど、量的な問題は全くないんで」


 と僕と薫子さんが対峙してるのに平気で話かけて来る。


 「うん、お願い」


 って言うと、今度は角田さんは、


 「おい、どうせお前ら役に立たないだろ、だれか一緒に行ってくれないか」


 って今度は薫子さんの背後にいた水島君たちに声をかけた。


 「私が行く、もうできる事全部やったし、姫様の方も結果見えてるし、鴨月も行くでしょ?」


 「え? 僕も?」


 って驚いている鴨月君なんだけど、


 「だって、あんた達じゃ秋先輩に束になっても敵わないでしょ、姫様に残して行くのは他のザコでいいから、一緒に運んでよ」


 と言われている。


 「ちょっと待てよ、なんで(シゲ)連れてくんだよ」


 って文句を言う水島君だけど、


 「いいよ、重、行ってくれ、姫様の方は任せて」


 と西木田君は言う。


 「このタイミングで持ってかなかったら、めんどくさいことになりそうな気がする、とっとと持って帰った方がいい」


 と言う。なんか達観してるよね、西木田君て。


 そんな言葉に押されて、竜の髭と相馬さん、鴨月君は転送されて行った。


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