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第102話【悪い子特定完了、ギルド始動】

 1時間くらいかあ。


 時間稼ぎ、結構厳しいかもしれない。そう思いながら、僕はまるで山のように聳える巨竜を見上げた。


 その巨竜ティマトさんは、


 「あたしも長い間、この場所にとどまっているけどね、ほんとにやってくれるって言ったのはあんたが初めてだよ、しかも即決だしね」


 って言われる。


 「できる事はするけど、できなかったらごめんね」


 って先に謝っておく。いやだって真希さんとか本気で来られたら、全く勝てる気しないもの。何となくなんだけど、本気でやっても負けそうな気がするんだ。


 ほら、僕って母さんから一応のレクチャーとか受けてるんだけど、その動きの中に、真希さんに勝てるイメージが一つもないんだよね。不思議な事に、勝てるって思えない。


 ちょっと自分でも言っていることがわからない所あるけど、突き詰めると、僕は、その手立てを沢山、知っていて、どんな奴でもどんなツワモノでも何となく、こう来られたら、こう返す、みたいなものは相当数あるんだよ。


 つまりは僕と同種同等な人とやってもその引き出しの多さでなんとかなる。


 ほら、じゃんけんみたいな物だよ。


 つまりグーじゃあ、絶対にチョキには勝てないでしょ?


 そう言うやり取りみたいな物で、そして僕は真希さんに対応出来るものは何一つ持ってない。言い方を変えるなら、僕の母さんから貰った物からは真希さんに勝てそうな物ってのが無いんだ。総じて言うと、母さんの技、つまり母さんは真希さんに勝てないって事なんだ。


 だからと言って負けるってイメージもまた無い。


 何だろう、真希さんと母さんって、例えて言うなら、先端同士がぶつかって、そのまま合わさった先端が、衝突の衝撃で限りなくどちらが上にも下にもならずに上へ上へ昇り続けている感じがする。


 僕の場合、ギルドを敵に回すって言うのはそんな真希さんに対抗しないといけないってことなんだ。


 ほんと、ヤバイかもって思ってると、いつの間にか僕の横にきていた桃井くんが、


 「質問があります」


 って神妙に言って来た。


 「どうしたの?」


 って尋ねたら、


 「秋様は、一体、誰の味方なのですか?」


 って聞いて来られたから、


 いや、誰って言われても、特にこれってのは無いなあ、って思って、


 「人でもモンスターでも見境ないですよね」


 って言われて、確かにそうだね、って思えたからちょっと笑えて、そうしたら、僕のすぐ後ろで、


 「秋くんは『北海道ダンジョン』の味方なんだよね」


 って春夏さんが言うから、確かに、って思って、


 「そうだね、そうかも」


 って疑問形ながらも肯定してみせた。


 だって、ティアマトさんが言った北海道ダンジョンがなくなってしまうのは嫌だもん。最後を待ちわびるように外に出るのも悲しいじゃないかな、このダンジョンのお陰で誰かが嫌な思いしらり、辛かったり、苦しんだりも嫌だ。


 前に、葉山が不幸になることをこの北海道ダンジョンは許さなかった。だから逆もまた然りなんだよ。


 って事は今、漠然と思うのはこのダンジョンは悲しんでいるって事だよ。


 ああ、そうか、だから僕はティアマトさんを外に出してあげたいんだ。


 そう思って事はきっとこれはダンジョンの為なんだよ。


 だから北海道ダンジョンがそうして欲しいって、それに沿うのはきっと僕がダンジョンが好きだからなんだろうな、とは思う。


 でも、それはここのダンジョンに入る人間はみんなそうだから、きっと当たり前の事だから、結局僕はただのダンジョンウォーカーなんだよ。


 さて、覚悟を決めた僕の目の前に、突然空間が歪み切り取られる。


 そこから、


 「来たぞ、真壁秋」


 と、ちょっと最近見なかったなあ、って表情した薫子さんがフル装備で出て来る。後ろにも結構人がいるなあ。


 で、薫子さんも完全に臨戦体制。両手にした『破斧グラウコーピス』もビュンビュン回ってるよ。


 ひとまず話し合わない?


 って言おうとするとギロって睨まれる。


 うーん、対決不可避だなあ。

 

 

 


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