第101話【特定完了、ギルド始動】
まあ、いいか、ギルドと敵対しても。
葉山も協力してくれるって言ってたし、椿さんは方法はあるって言ってたし、どさくさに紛れて、ティアマトさんを外に出す分くらいの時間を稼いて、ちょっと外の空気吸ってもらったらサクッと帰っってもらおうって、作戦は僕の頭の中で完成した。完璧だ。
「いや、秋さん、それは作戦でも何でもないですよ」
って突っ込まれるけど、そうか、確か角田さんって、薫子さんの神様でゼクト様だから、言い換えるとギルド側の神様って事だよね。
「いや、秋さんに協力しますよ」
ってあっさりと言うからビックリして、
「え? いいの?」
「まあ、俺たちはそう言う存在でもないですからね、割と自立してますし、基本、ギルドと言えど、人の争いには不干渉なんですよ それに、指定する王とは適切な距離が必要なんです」
って言った。よくわからないけど、複雑なんだって事はわかるよ。
「じゃあ、ティアマトさん、外に出すよ」
って僕が言うと、
「あんたが言うと本当に出れそうでびっくりするよ」
って言われる。いやいや、本当に出すんだよ。
「じゃあ、私は準備するから、あと、あの烏合の衆を貸してもらえる? 人手がいるのよ」
って椿さんが言った。
烏合の衆とは、多分、鮫島さん含む黒き集刃さんの事だと思う。え? この人達で大丈夫? 一応は深階層組だから、クロスクロスの皆さんとの上位互換ではあるとは思うけど、多分、クロスクロスでの土岐ほどの手練れはいないと思うけど、いいのかな?
「手荒な事はしないわ、ちょっと危険な箇所は私たちが回るし、安全な所で簡単な仕事をさせたいだけよ」
そして、今集まってる黒き集刃の人達の頭数を数えて、
「うん、足りそうね、大丈夫、本当に修羅場になりそうな怖い所はあんた達に任せるから」
と椿さんがは僕らに言うと、ほっとしている鮫島さんだった。
「本当に、もうやるの? もっと時間をかけて作戦練った方が良くない?」
って葉山が言うんだけど、ここで時間をかけてしまうと、組織力て言うとずっと上のギルドの方が有利だと思うんだ。
つまり準備されればされるほど、時間をかけるとかけるほど、僕らにとって状況は不利になるのは目に見えてる。
多分、薫子さんとか雪華さんとか、僕らを説得にかかってくるだろうし、そんな人間関係が力を発揮する前に、とっとと行動を起こした方が僕らにとっては有利になる筈なんだ。
「準備って何処くらいかかるの?」
僕は率直に椿さんに尋ねる。
「作るのと展開に1時間、移動にそれなりかしらね、かかりすぎかしら?」
僕は時計を見る。
「ちょうどいいかも」
「そう、良かったわ」
椿さんが言う。
ティマアトさんがこのダンジョンから外に出るのも、空を飛ぶのも少なくとも夜中の方が良いから時間的にはちょうど良い、つまり、今この時点が好機って事だな、迷うならやってしまえと言ってるみたいだ。
ここにこうしているもの、方法があるって言ってる椿さんがいるのも、全部がタイミングが良い。
「じゃあ、始めよ」
と言ったら、
「じゃあ、狂王にはやり方とかつ伝えないから、時間だけ稼いでね、それと、あんた達には後で配置を伝えるから、風の砦で待機してなさい」
最初は僕に、最後の方は黒き集刃の人たちに言い残して、瞬間に、椿さんが消える。空間転移したみたい。
「ギルドが動き出しましたよ、秋さん」
と角田さんが言った。
こっちの意思が完全にあちらに伝わっているみたい。