第98話【方法はどうする?】
「ちょっと、みんな待って、いいかな、いま自分達の言ってる事分かってる? これって北海道ダンジョン、最大の禁忌よ、ギルド設立の目的だよ、わかってる?!」
葉山が叫ぶみたいに言った。耳元で、なんかキンキンする、こんなに焦ってる葉山も久しぶりだなあ。
確かになあ、とは思う。だから、
「そうだね、葉山は関わらない方がいいよ」
って言うと、
「はあ? 真壁が行くんでしょ? じゃあ私も行くわよ!」
ってまたプンスカしてる。
だって、葉山の場合、茉薙の関係とかあるからさ、この辺が複雑になりそうで、恩人だらけのギルドが困る様な事に無理強いはさせられないなあ、って思っただけなんだけど、いつも一緒じゃなくてもいいじゃん、とは思うんだよね。
葉山とは昔から一緒にダンジョン行っていた訳じゃないし、それにダンジョンてそう言う物だと思うんだ。目的によってメンツは変わる訳だし、今日は別れても明日は一緒。目的によって組んでいる仲間は日替わりでもいいと思う、ましてそれがギルドを敵に回すとって事ならなおさらだよね。それに今回の場合は立場とかもあるし。って思ってると、
「何それ?! 何でそうなるのよ! 一緒に行ってあげるわよ!」
って怒鳴られる、いや、別に来なくても、葉山一人くらいなら割とどうでもいいんだけど、って思ったら、物凄い、今までに見た事も無い『怒!』って目で睨まれる。
いや、いいけど一緒に行ってもいいけど、葉山がどうでもいいって、そんな風に思ってる訳じゃあなくて、葉山が心配なだけなんだけどなあ、特にギルドの人には助けてもらってるから葉山の立場とか心配なんだよ、葉山を思えばこそ何だけどななあ、って言葉を整理してなるべく棘な無い様に言おうとすると、「わかればいいわよ」って先に言われる。
こう言う時って心を読まれるのもそう悪く無いって思う僕は、今後の人生、色々な物に対して日和っていくだろうと思う。
うん、いいよ、それで、基本的に僕、本気で怒ってる女の人に勝とうだなんて思わないもの、嵐さえ去ってくれればそれでいいよ。
そして、素朴は疑問。
で、どうやるの?
「また空間転移とかでポーンって外に出すの?」
って聞いたら、角田さんは悩み始める。
「いや、ちょっと大きすぎますね」
「小さくできないの?」
「それが出来たら、とっくの昔に、この竜は外に出てますよ」
「何かいい方法無い?」
「さすがにそれは………」
流石の角田さんも悩んでる。そんな時に僕と角田さんの間に入ってきて椿さんは言う。
「ちょっと時間と、人員の確保、で、ちょっとこ竜の髭を貰えれば出来ない事はないわよ」
「マジ?」
椿さんの言葉に、角田さんと一緒に声を上げてしまった。
「いやいや、魔導師の嬢ちゃん、いくらなんでもそりゃあ無理だろ?」
神様仏様ゼクト様の角田さんも俄かに信じ難いって表情をして椿さんの、自信満々の顔を覗き込むんだけど、その椿さん、
「私一人じゃ無理よ、でも牡丹がいれば可能よ」
と、物凄いドヤ顔作って言う。
「どうやら、この魔導師嬢ちゃんには、方法があるみたいですね」
と角田さんが言う。本当に呆れると言うか関心するみたいに言う。
「方法はある、実現できる、ってことは本気でギルドを敵に回す気なんだよね?」
って僕の肩を強く掴んで叱りつけるように葉山は言うんだ。