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第94話【ご老公の愚痴】

 だってそうだよね、ブローアウト事件以降、モンスターをダンジョンから出さないってのが主眼に僕らダンジョンウォーカーはギルドに協力してもらった上で、日々、この札幌を初めとして、北海道はもちろん、ひいてはこの世界を守るためにダンジョンをこうしてウロウロしてる訳で、それがダンジョンからモンスターを出すだなんて本末転倒もいいところだよ。


 まあ、中には、土岐みたいにリリスさんを外に出している人もいるけどさ、あれはまあ、そう言う関係で、しかもリリスさん、以外に外に行っても目立ってないからいいけど、このティアマトさんなんて、外に出したら大騒ぎだよ。多分、この前のゾンビ騒動どこじゃなくなるよ。


 多分、モンスターどころじゃなくて、普通に怪獣扱いになってしまうと思う。


 何より、そんな事、ギルドが許すはずも無い。


 ダンジョン管理上のダンジョンウォーカーの安全や衛生の他に、最も主だったものが、このモンスターから街を守るってのが主眼だからね。


 それでなくても、今回のゾンビ騒ぎで、各行政機関から大きく信頼を欠いてしまっているのにってのがあるから、そんなバカをしようと思ったらきっと死にものぐるいで来るだろうなあって安易に想像がつく。


 「あのな、ばーさん、あんたをこのダンジョンから出せる訳ないだろ? いくら秋さんでもそりゃあ無理って話だぞ」


 って神様仏様ゼクト様の角田さんが言ってくれる。もう、言いにくい事をズバンと行ってくれる。流石番長だよね。


 「はは、悪いね、無理を承知で言ってるのさ、ほら、秋だったらもしかしてって思ってさ」


 って言った。


 僕は素朴に疑問を持った。フとした疑問。


 「なんでティアマトさんは外に出たいんですか?」


 ほとんど、何も考えずに口に出てしまう。


 そうしたら、ティアマトさんは、


 大きなため息を付いては、言うんだ。そのため息で、僕は踏ん張れたけど、概ね他の人は吹き飛ばされていた。大丈夫かな、あ、大丈夫みたいみんな立ち上がった。


 「いや、私もね、そろそろ寿命みたいでね、せめて一度くらいはこの北海道の大空を飛んで見たいって、そう思って見たのさ」


 って言った。


 そして、


 「ねえ、秋、私はもう1200歳の老婆だよ」


 と言った。


 言ったけど、ん? って思った。


 だって、このダンジョンが出来てまだ20年くらいでしょ、その中にいるモンスターであるティアマトとさんが1200歳っておかしくない?


 あ、でも、生まれた時に既に1180歳って事なら辻褄はあうなあ、なんかしっくりと来ないけど。ありえないけど。でもダンジョンだから、僕の常識なんて通用しないしなあ。とも思う。


 それもまたおかしな話だ。


 そう思ってたら、


 「あたしゃ、このダンジョンで生まれた訳じゃないんだよ、前にも話した、あんたは忘れているだろうけど、その辺の事情はいいのさ、つまり私はダンジョンの使命の達成と同時にその生命を終えるように遣わされてるって事かもね」


 と言った。


 なに? ダンジョンの使命って? とは思うものの、それよりも生命を終える、つまり死んでしまうって事だよね? そっちが気になってしまって、


 「え? 死んじゃうって事?」


 思わず声に出ちゃった。先にそんな気持ちというか心配というかそんなものが出てしまった。


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