第88話 【クラスとしての葉山】
葉山って、以前は、表向きはレンジャーってスキル総合形態のつまりはクラス持ってて、弓とか、潜伏とかもスキルの中にあるんだって。敵感知能力も、スキルとして持ってるから範囲も相当広いし、特定も可能なのだそうだ。
本当にすごいよね、葉山、いったいいくつのスキルもってんだよ?
この手の便利なスキルって、なんでも持ってる気がする。普段は罠の解除とかよっぽど難しくない時以外は宝箱の罠も解除してるし、この辺は以前の聖王樣になる前からの『レンジャー』としての技能が残っているからだって言ってた。
しかも、これって、例の剣を大量に操るスキルを支える『感知』とか『感覚』とか、『操作』『計装』なんかの複合スキルを上手に使って、自身の経験からこの段階まで成長させた物らしく、スキルには支えれれているものの、それ自体はそこから生み出した全く新しい物な訳では、ギルドから公認ではあるレンジャーってクラスは葉山以外にいないらしいからすごいよね。オリジナルクラスらしい。やっぱり葉山ってすごいよね。本当に一緒にいて心強いし、大いに味方になるし、頼りになる。って思ったら、葉山の表情は打って変わってニコニコになる。よかった、機嫌が直って。
「このダンジョンのヒーリングスキルじゃ、直接、疲労は取り除けないしな、ここに陣を置くので少し休みましょう」
と角田さんが言うと、
「はい、申し訳ありません」
七竈さん、そのままストンと座り込んで、さらにコロンと横になった。わずか数秒で、スースーと寝息を立て始めた。
やっぱり疲れてたんだな、5回戦目からは結構足にも来てたみたいだし、連戦で10回はやっぱりキツかったみたいだね。
「普通、ドラゴン系の相手と10連戦できる方がどうかしてるからね、彼女、よくやってる方よ」
と椿さん自身も平気な顔して言ってるから、どうかしている方の僕らの仲間だね。
ともかく僕自身の気配りの無さに、改めて反省しつつ、こんな無茶な連戦を戦って、僕と同じように疲労の色を微塵も見せない春夏さんや葉山にちょっと呆れてしまう。
「いや、秋さん、筆頭ですよ、化け物って意味ではみんなついて来れる様になっているだけですからね」
と角田さんに言われる。
そう? 春夏さんなんて、何も言わずにニコニコしてるしさ、葉山も、それに椿さんだって普通だよ。
「え? 私? だって魔法使ってないし」
って言ってる。そうだった。
僕も一緒に座ると、どこから出したのか、春夏さんがお茶を入れてくれるから、ありがたく頂いて飲むことにした。
最近、ちょっと余裕のあるダンジョン探索では、春夏さんとか葉山がこうして一服の為にお茶とか持って来てくれる。茶受けも出るんだよ。あ、でも蒼さんのいるときはちょっと注意が必要なんだ、あの人、イナゴの佃煮とか蜂の子とか出して来るから、阿鼻叫喚になるんだ。
今日はホットな麦茶だった。砂糖入り、なんか沁みるなあ………。
茶受けは『レンガ餅』だね、硬!
ふう、一息ついた。
今、僕らは絶賛、あるアイテムを探し中なんだ。
ギルドからの正式な依頼。
僕らの他にも有力な組織やパーティーにもほとんど同じ依頼が出てる。