第85話 【ドラゴンロードでスクランブル】
ダンジョンが通常運行に戻って数日が経っていた。
みんなそれぞれ、大変だったらしく、帰ってから愚痴を聞かされた。
なんでも、今後、ギルドとは独立して、自衛隊の一部がダンジョンの中を調査、探索するのが条件みたいになって、今回の事件は、不問というかそれほど重要視されない運びになったみたい。
でもさ、自衛隊ってことはもうダンジョンに入れる年齢じゃ無いんじゃ無いって、思ったのだけれど、なんでも高校生で自衛隊の人っているみたいで、その人たちが、数十人って言う規模で北海道にみんなと一緒に来たらしい。
本当はもっと多くのって話だったらしいんだけど、それは追々って事で今はこの規模なんだって。
で、この数日の間に既に深階層まで辿りついてるらしいから、凄いよね。
流石自衛隊って感じだよ。
多分、今日もどこかで調査を続けているらしいから、そのうちきっと深階層のどこかで会うかもしれないね。
そして、本日僕は、入れなかった数日間を惜しみながらも、やっぱり北海道ダンジョンはいいなあ、と、今日もダンジョンを満喫していた。
「真壁! 感慨に耽ってないで、戦いなさいよ!」
ああ、忘れてた、って思って参戦する。
今、僕らファイヤードレイクと絶賛交戦中。
左右に散って、葉山と春夏さんで、牽制して押さえ込んでる。うわ僕、真ん中しか残ってないじゃん。
「秋さん、これ炎吹きますよ、結構熱いと思われます」
まあ、ファイヤーっていうぐらいだからね、そりゃあ炎くらいは吹くさ。通常運転で通常業務だね。
って言ってる間にそのデカイ口を開けて、まずは、生暖かく生臭い風がやってくる。そして、その喉の奥には炎の塊が、ああ、これ火球吐いて来る奴だ、物理的にも痛い奴じゃん。痛暑い攻撃して来る奴だね。
やば、って思って避けようかなって思うのだけれども、僕の背後に角田さんとかいるし、さらにその後ろに、今日に限って、七竈さんとかもいるしなあ。あ、桃井くんもいた。一応は聞いてみる。
「防御魔法とかかけてる?」
「まあ、一応は、でも多分ですが、この嬢ちゃんは炎上して吹き飛びますね」
と自分の背後の女の子を見て言った。
「ふああああああああああ!」
当の七竈さんは大パニックだ。
仕方ない、ちょっと気合、斬るよ、火球、で、分断消滅させるよ。
自身と剣に言い聞かす。
特になんの反応もないから快諾と受け取って、ファイヤードレイクが、凄い音立てて吐き出す火球に向けて一閃。
手応えあり、しかも火球、止まった。次々と切り刻み、細かく分断された火球は小さな火になって、大気に消えて行く。
そのままの勢いで飛んで、さあ、一刀両断だって、思って、ちょっと余裕が出来たから、思わず、後ろの七竈さんと角田さんを確認すると、ああ無事じゃんって思ってたら、
「きゃああああああ! 秋くん!!!!!」
「真壁、前! 前!」
って春夏さんと、葉山が同時に叫んで、どうしたの春夏さん、うるさいなあ葉山、って思ってそっちも見たら、急にあたりが真っ暗になる。
ああ、そうか、僕、口を開いたファイヤードレイクにそのまま突っ込んでたから、そのままカポンって口の中に入っちゃったんだ。あ、ヤバイ。これ消化される奴だ。