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第69話【ダンジョン・オブ・リビングデッド 理容編② 】

 そして、何気なく目に入った、切られて床に落ちた僕が蒼さんの物だと思っていた、ほんの1センチに満たない髪の毛たちは、まるで断末魔のミミズみたいにのたうった後に、まるで風に解かれる砂塵のように消えて行った。


 思わずそんな様子を見て、


 「まさか、これがゾンビ化の正体?」


 と呟いてしまうと、


 「はい、『ゾンビ毛』と私たちは呼んでいます」


 『毛』なんだ………。


 キリカさんの説明によると、これがゾンビ化の正体で、顔の色とかは、この『毛』からの発生で、判別させるための物らしい。これは、ゾンビ化した人間の唾液から人の体の表面を侵食して、瞬時に髪に取り付いて、髪のふりしてるんだそうだ。


 で、その後は、1センチに満たないエクステ見たくなって、このゾンビの原因を作ったネクロマンサーの意識を受信する部位になるんだって。


 だから、その取り憑かれた髪の分だけゾンビって強化されて、ゾンビ化以前の能力も発揮できるそう。つまりはゾンビが多くなるとその能力が反比例するのって、そう言う理由らしい。ゾンビ毛の数は有限だって話だから。


 なんか、みんな見るたびに、髪の毛伸びた感じはあったんだよなあ。


 その違和感がようやく解消されたよ。


 で、ゾンビの対応処置が、魔法スキルでも無く、医療でも無く、まさかの

理容だったことに衝撃を覚えている僕だった。


 確かにこれじゃあ、医療や魔法を中心としたエクス・マギナの雪華さんとか、魔法番長の角田さんが解呪できない訳だよね、技術的には床屋さんとか美容院だもんね。


 あ、さらに気がついた、そうか、五頭さんがゾンビ化しない訳だよ、だって、その取り付く髪がないんだから、究極にして原始なゾンビ避けだった訳だ。


 なるほどなあ。


 そんな事実にただ驚くばかりのさなかの僕なんだけど、そんな中、今度は蒼さんが気がついたようだった。意識を取り戻した。


 「蒼さん大丈夫?」


 と声を掛けると、


 「お館様」


 と呟いたものの、今一つ状況を把握していないみたいで、


 「ここは? 私は一体?」


 と軽く顔を押させて僕に尋ねるまでも無く呟いた。


 そして、しばらく沈黙の後、ハッして、


 「あの女!」


 って叫んで、飛び退いた。


 「落ち着いて、蒼さん、もう大丈夫だかから、ここにはもう僕らしかいない」

 と落ち着いた、ゆっくりとした声で言って聞かせた。


 「ああ、お館様」


 ともう一回、僕の顔を見て安心して、さらにハッとして、深々と頭を下げて、


 「申し訳ございません、奴の術中に落ちていました、今後はこのような失態に甘んじること無く………」


 「いいよいいよ、もう大丈夫だから」


 なんか長くなりそうなので止めた。っていうか仕方ないし、ゾンビなんて誰も想定してないしね、そんなに悲しそうな顔しないで、もう大丈夫だから。


 そんな僕の言葉を聞いて、今の現状を漸く飲み込んだ蒼さんは、


 「あの女、許さん」


 と、小さな声だけど、強い口調でそう言った。そして、


 「お館様、他の者たちも概ね敵の手に落ちてしまいました、重ね重ね申し訳なく………」 


 んん、そっちもいいかな、もう対処の仕方もわかったし、そんな事を、僕の知った事をつらつらと話して蒼さんには一応の理解をしてもらった。


 「そうですか、五頭は無事で、ゾンビ化にはそんな秘密があったんですね、すでにその秘密を紐解かれたお館様はやはり凄いです」


 と流石の蒼さんも驚いていたみたい。ちょっと尊敬って目で僕を見つめる蒼さんだけど、これってキリカさんあっての情報だから、成果だから。


 まあ、予防というなら今のキリカさんの『ほっぺにチュー』も有効だけど、五頭さんみたいない髪の毛剃るってのも有効なのかもしれない。



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