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第66話【ダンジョン・オブ・リビングデッド 邂逅編⑦ 】


 なんか、いろんな事情みたいな物がありそうだけど、多分、これは僕な知らない諸事象なんだろうけど、そんな物を考えた上で、僕にとって、キリカさんて人だって認識なんだよね、多分、僕にとって意思の疎通ができる人ってみんな人でいいと思ってる。


 そりゃあ多少、僕とは違うところもあるだろうけど、一緒に笑いあえる人ってみんな人だよ。


 「このような姿でも、殿下にとっては人という認識なのですか?」


 ってキリカさんは突っ込んで来るんだけど、


 「その辺は個性でいいんじゃないかと………」


 みんなそれぞれ個性ってあるからね、顔や背、肌の色とか些細な問題だと思う。厳密に言えば全く同じ人ってのがいないと思うよ。だから多少違うのは当たり前だと思うけどなあ。


 言ってしまえば、僕にとってラミアさんであるフアナさんも人で、悪魔の花嫁のリリスさんも人だよ。だから角とか牙があっても青色でも、サイズ的に大きくても下半身が蛇でも、僕にとって同じ人間でいい。それにこうして意思の疎通はできている訳だし、価値観を共有できる訳だし、一緒にこうして歩いているしさ、多少の問題は誤差の修正範囲内だよ。


 するとキリカさんは再び考え込んで、呟くように、


 「世界を攪拌させる狂気の王殿下の意識では、すでに世界は混ぜられてしまっているという認識なのですね」


 と誰にいうわけもなくそんな言葉を漏らして、今度は僕の方をジッと見る。


 そして、


 「正気でこの認識を持って、ただえさえ混濁するこの世界をさらなる混沌に誘い跋扈するなど、私は、秋殿下が、もっと殺伐とし、狂気じみている人間だと、勝手にそう思っていました」


 と僕に言った。


 言いたい事はわかるけど、言い方が難しいし、硬い。


 というか、僕、そこまで考えて行動してない。


 混ぜるとか、混ぜないとか、ではなくて、僕がダンジョンに入ってきたときには、ここはもうすでにそう言う世界だった。


 だから、彼女が言う、思っていたより、ってのはどちらかと言うと僕の認識で、僕はこのダンジョンに入る前は、もしかしてもっとダンジョンは怖いところじゃないかって考えていたのかもしれない。もちろん、それはそれで面白いけど、まさか、フアナさんみたいに僕らの意識に寄ってくれるモンスター、と言うか、僕にとってはすっかり普通の人なんだけど、そう言う意識のある人がいるなんて思いもしなかったから、そして、それはそれで面白いって思う。


 多分、僕の世界は、このダンジョンで広がったんだと思うよ。


 そんな、キリカさんの僕に対する認識を目の当たりにして、ちょっと気がついた。


 あれ? 


 って事は、もしかして僕って、この地表蛇の中でもすっかり有名人てことなのかな?


 「どうされました?」


 って、ちょっと燻げな表情になってしまった僕は、キリカさんに尋ねられるんだけど、上手にその疑問を口に出せない。


 「いや、ちょっと、なんか、その」


 ともじもじしてしまう、ほら、自分の事だから、僕の扱いがどんな風になってるのか、今更気になってしまっれる。いや、どう思われようといいんだけど、ほら、それによって対応が変わってくるからさ、少なくともキリカさんみたいに友好的に接してくる人もいるわけだから、この組織が全部、敵って分かりやすい構図も無くなってきたなあ、って、ちょっとめんどくさいかな、って思う僕だよ。


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