第62話【ダンジョン・オブ・リビングデッド 邂逅編③】
エゾミカサ竜って知ってる?
北海道三笠市から出土した、かつて大型肉食恐竜の化石で、恐竜ブームを巻き起こしたくらい大騒ぎして、今現在は微妙な問題になってるミカサ竜。
その移り変わりは時代の変化というか、新たな真実が発見される度に、も恐竜の進化みたいな激しさで変化して、恐竜?→ティラノサウルス型肉食型恐竜→海生爬虫類(モササウルス類)→リュウちゃん(ゆるキャラ)に落ち着いて、今は三笠市でも割と静かに着地して、ひっそりとした町おこしブームは続いている、あのミカサ竜。
そのミカサ竜のゾンビが、鮫島さんの組織、黒の集刃って組織の人達を閉じ込めてる部屋の前に配置されてるゾンビ系モンスターだった。
一応、エゾミカサ竜だから、ドラゴンゾンビになるのだろうか?
なんて微妙な物をゾンビ化と言うかスケルトン化するんだこの人達。
骨。ゾンビっていうよりスケルトンに近い。骨に若干の食べ残しの肉がこそげ付いている感じで、肋骨の中に守られた一号ボールくらいの大きさの赤い玉が時折怪しく光ってる。でもって硬いし早い。
さっきの部屋に戻ってきたんだけど、その奥に隠し扉があってさ、その部屋に入って短い階段降りて、またズット進んだ所に付く部屋があって、中に入るとこの微妙なジャイアントなゾンビが現れたって訳なんだ。
化石もゾンビっていうかアンデットモンスターになるんだね。知らなかったよ。
「なんだ、こいつ、足じゃなくてヒレだぜ、付いてるの!」
なんて鮫島さん、ゲラゲラ笑いながら言うんだよ。
あ、ダメ、そんなこと言ったら!
って思うと同時にそのヒレの骨に弾き飛ばされている鮫島さんだよ。
ああ、今でも町おこし関係者にとってトラウマになっている問題を口走るから…。
化石発見当初は、ええ?北海道三笠市にティラノサウルス型大型恐竜!!!っとてつも無く盛り上がって、某特撮番組制作のきっかけになるくらいの出来事で、街も大盛り上がりだったんだけど、調査が進むと、恐竜と同時期に生息していた大型海生爬虫類と判明して、恐竜じゃあないじゃん、トカゲじゃん、って揶揄されて、『発見された恐竜リストから外されました』、とか報道されて、エゾミカサ竜はちっとも悪くないのに。いたたまれない。 当初、三笠市の公園に造られていたゴ●ラっぽい像も撤去されちゃったしさ。町を挙げての盛り上がりは全く逆のベクトルに向かってしまった感じで多分、自治体が背負う黒歴史みたいになっていないと良いなって思う。
僕らからしたら、古生物の化石が出る事自体が凄い事だと思うんだよ。
それに僕としてはモササウルス類的なミカサ竜もカッコイイと思う。ティラノサウルスより僕、こっちの方が好きかも。それにさ、この近くにある滝川市から出土した化石で、タキカワカイギュウとかも、あの凶悪な大きさとか圧巻だし、同時に、今やすっかり内陸な三笠も滝川も昔は岸寄りの海だったんだって思うと感慨深いものがあるよね。
だからもっと声を大にして誇ると良いよ、ミカサ竜。
それはそれとして、倒さないと。先に進まないとね。
キリカさんの話によると、この手のモンスター、状態異常を引き起こすモンスターらしく、接触が条件で、結構高い確率で対象者をゾンビ化するらしい。
よかった、キリカさんに『ゾンビ避け』しといてもらって。
はたき飛ばされた鮫島さんも、未だ倒れているものの、ゾンビ化はしなさそうだし、ここに来てゾンビ化の無効は僕らにとっては大きなアドバンテージだよ。