第58話【ダンジョン・オブ・リビングデッド 突撃編⑦
悪くはないけど、組織のリーダーとしては臆病なくらいの方がいいって言うけど、みんなを守れるらしいけど、こんなんで深階層のダンジョンウォーカーとして、大丈夫なのか?って思ってしまう。まあ迂闊な人よりは生存率は高くなりそうだけどね。
鮫島さんのメンタルは、今はいいや。ともかく、反対に行こう。
急ぐんだけど、僕が倒した人が通路を埋め尽くすように倒れていて歩くって言うか走り辛い。鮫島さんつまづいてるし。
分岐点まで来たらまた人が襲ってくるから、同じように排除した。
やっぱり、宗教団体だからね、あまり強くはないんだね。豆腐に混じって時折、コンニャクが混ざっている程度の手応え。数はいるけど全く大したことがない。
あっさりと、扉の前に立つと同時に、その門番的な大きな人を2人倒す。
体格の良い、所謂力づく系だったけど、まあ、それほどでもない。1人一手で倒れてくれた。
周りに何人か魔法スキルな人もいて、当然みたいに魔法みたいな攻撃して来たけど、発動する前に倒せてよかった。
角田さんや、此花さん姉妹、椎名さんとかに比べると、やっぱりリズムというかテンポが全体的に遅いから、彼らを見慣れてしまうと対処は容易い。例えそれが間に合ったとしても導言を呟く時には間合いを詰めてしまえばいいから、どうとでもなる。
で、あっさりとついた扉を開いて中に入ると、ああ!、いたよフアナさん!。
「フアナさん!」
って呼んだら、この前の笑顔で答えてくれた。
よかった、って声を出そうとしたら、急に後ろから大声が響いて、今まで黙ってた人間がいきなり喋り出すからびっくりした。いきなりびっくりするじゃん。
「すまねえ!、お前を罠に誘わないと、俺たちの仲間がゾンビにされちまうんだ!」
って漸く鮫島さんが話してくれた。
え? ああ、そうなの?
そうか、鮫島さんも仲間が捕られてていて、それを材料に地団駄蛇に脅されていたって事? なんだ、もっと早く言えばいいのに。
ん? 罠?
罠なんてどこにあったんだろ?
僕は、僕らが通っって来た経路を改めて見つめる。
そこには通路の床を埋め尽くすように人が倒れているんだけど、全く罠を感じさせるものは見当たらない。
って思ってると、フアナさんが僕の胴体を鷲掴みして僕を持ち上げてくれるから、ちょっと待って、ひとまず僕もフアナさんとの再会を喜びたいから、鮫島さんの方は後でいいや。
「よかったよ、無事で」
って言ったら、フアナさんに顔というか体というか、ともかく密着させて来るから、うわ、フアナさん、ちょっとオッパイが、いやなんか桃井くんに悪いから、もうちょっと距離をね、なんだろ、葉山とは全く異なる意味での焦りを感じてしまう僕だよ。人妻って色々なものを装備してるから、この辺は気を使う僕だよ。
そんな僕らに、
「あの!」
って声がかかる。
ここにフアナさん以外の人がいるのはわかってたけど、敵対する意思もないみたいだから、フアナさんの存在の方が、その喜びの方が大きくて、こっちも後でいいやって思ってたから、特に驚きもしないで、
「悪いけど、フアナさん、連れてくよ、その上で、桃井くんがどこにいるか教えてくれるとありがたいんだけど」
と僕はその人に聞いて見た。まあ敵だって考えると図々しいなあ僕って思う。
僕がいるからってのもあるかもだけど、この女の子にフアナさんが全く警戒の色を示してないから、きっと地面蛇の中でも悪い人ではないんだろうけど、でも地中蛇は地中蛇だからさ、ここはきちんと僕の目的みたいな事を言っておかないとさ、なあなあじゃあ、マズイんだ、適当にしてると、どこの部分で敵になってしまって思わぬ障害になるかわからないからね。らしいからね。