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第52話【ダンジョン・オブ・リビングデッド 激闘編⑤】

 一応、その幹部から聞き出せた内容を纏めると、やっぱり、この先にこのゾンビの大元であると言うか作り出すことができるネクロマンサーがいる。


 でもって、ゾンビは、そのネクロマンサーの撃退によっても、解呪できないって話らしい。


 もちろん、このと言うか指揮官にはゾンビを解消する為の方法は知らなかった。


 その後、雪華さんが現在の世界蛇の構成、人員、諸点なんかを聞き出していたけど、今、ギルドが持っている情報と、数字的な差異が若干あるくらいで、あまり有益な情報は何もなかった。


 その後、その幹部に対しての取り調べは続いて、もうその幹部さん、疲れ果てて、グッタリはしているんだけど、凄い良い笑顔なんだよ。そして喋る喋る。もうベラベラ喋ってた。自分の名前、『岸本 和樹』君って言うらしい。世界蛇を布教する為の先生で、自分たちに危害を及ぼそうとする不敬な人たちに積極的に自分たちの教えと存在を知らしめる活動、つまり防衛って言えば聞こえは良いけど、組織って考えからすると、外敵を排除する為の戦闘員って事だね。


 その後も取り止めのない情報は聞き出したんだけど、ただ、一つ、看過できない件が、


 「責任者の名前を教えてください」


 って質問に、その岸本君が言った言葉が、


 「我らを導き下さる宗祖様は偉大なる桃井様である」


 って言っていた。


 つまり、世界蛇は桃井くんの組織って事?


 それを聞いても、いや、ないだろ?って確信にも近く、思う僕がいるんだよ。


 僕、その時、かなり怪訝な表情をして、そんな表情を見たて、まるで察する様に質問を変えてくれる雪華さんが質問を変えてくれた。


 「あなたにこの作戦の実行を命じた人間は誰ですか?」


 と尋ねた。すると間髪入れずに言った、


 「大司教『フアナ』様です」


 これもビックリ。


 「え? フアナさんて、あのラミアさんだよね?」


 って思わず確認を取ると、


 岸本君は、笑って、


 「あの出来損ないの蛇女などではない、桃井薫様の妻にして、世界蛇の最高実行者である」


 「桃井君の妻?」


 「そうだ、フアナ様だ」


 「ラミアな人だよね?」


 「何を言っている? フアナ様とラミアなどと一緒にするな! おぞましい」


 「フアナ様って、桃井君の妻だよね?」


 「そう言っているだろう」


 「で、ラミアでフアナさん?」


 「だから、フアナ様はラミアなどではない」


 「でも、フアナさんは桃井君の妻だよね」


 「そうだ」


 「と言うことは…」


 って言いかけた時、


 「ああ、もう、話が終わらない、最小半径でぐるぐる回ってるよ真壁」

 って割って入って来るのは葉山だった。


 ああ、ほんとだね、これ終わらないヤツだった。


 変わって、端的に葉山が尋ねた。


 「つまりフアナって人は2人いるって事?」


 すると岸本君は、


 「何を言う、正当なフアナ様は大教祖であられられるフアナ様である、あの蛇は、身の程も弁えずにフアナと名乗っているにすぎない」


 ああ、今、無限ループから漸く脱出できたよ。


 ん? だからつまりは『フアナ』を名乗る人物は、自分の知ってるあのラミアさんと、もう1人いるってことだね。なんとなく理解はできた。


 納得してたら、雪華さんが、「秋先輩、質問は他にありませんか?」って言ってくれたんで、なら、


 「今、桃井君と君の言う蛇女ってどこにいるの?」


 すると岸本君は、


 「偉大なる宗祖様は、今はフアナ様の元におられる、蛇女は抵抗もせずに、地下牢に入っているぞ」


 と微笑んだ。


 「ダンジョンが地下だから、地下牢っておかしくないか?」


 茉薙が素朴な疑問を口にしていた。


 「つまりは、両名、いる場所は違っても監禁されていると言う認識でいいんだな」


 って角田さんが言うと、


 「ゼクト様、2名を引き離すと言う意味はなんなのでしょう?」


 と薫子さんがその角田さんに質問する。ああ、そうだった、角田さん、薫子さんにとっての主神だったね、確か。見た目ヤンキーだけど。ちょっと考えてる。恐らくは凄いインテリジェンスで色々考えて、


 「お、これはちょっと考えて行動しないとマズイかもですよ秋さん」


 って言って来る。


 どう言うこと?


 「つまり互いに、共同体関係というか、人質関係になるってことですよ」


 僕、顔だけは成る程って形を作るけど、ごめん、全然わからない。だから

早く察して欲しい、僕にもわかるように追加の説明を積極的にして欲しい。


 「目的がわからない、けどこの形は理解できる」


 と葉山。隣で頷く薫子さんと辰野さん、一心さん、それに加えて、割とどうでもいいというかあんまり興味無いみたいな春夏さんに、飽きて座り込んで床に何かを描いている茉薙に、僕に吹き飛ばされてから動かなくなっている鮫島って黒い鎧な人、で、どう言う訳か恍惚とした表情のまま縛られて転がっている岸本君。


 そんな、人達のありようの中で、ちょっと自分の身の振り方を考えてしまう僕だったよ。

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