第37話【ダンジョン・オブ・リビングデッド 初動編①】
角田さんも、だからゼクト様もいくら三柱神なんだろうけど、人の心を先に読んで言わないでよ、なんか僕が言ったみたいに聞こえるじゃない。言おうとしたけど、言ってない事に反論とかしないで。
「大丈夫、真壁のせいじゃないよ、真壁を起点に事件が起こったとしても、真壁は何も心配することはないんだよ、真壁のやる事は全部正しいんだから」
と葉山もかおかしな事を言い出す。最近、葉山の言動って春夏さんによって来ている気がするのは気のせいだろうか?
その言葉にやらたと頷いていうるのは春夏さんだった。
すると、真希さんは、
「あー、多分、このダンジョンの新しい何かが開示されたんだ、恐らくこのゾンビ化の呪いはその副産物というか一緒に開示された何かだよ、そこを上手いこと地球蛇に利用されたって事だべさ」
真希さんの説明に追加して、
「今まで、このダンジョンに『人』のゾンビはいなかったからな、法律にも新たに加わっている、こんな小さな書き換えで、ここまでのことをやってくるって事は、あいつらもいよいよ本気出して来たって事だよ」
ってシンメトリーさんが言って、その後、二人で話してた。
たまに思うけど、これにカズちゃんを足すと、この人たちって、ずっと自分達の目でダンジョンを見て来ているみたいな言い方をするんだよね。
気になるけど、気にしないようにするけど。
そして、真希さんは言う。
「で、春夏ちゃん、これはアッキー事案なんだろ?」
と言った。何? アッキー事案て?
いやいや、そんななんでもかんでも僕って…。
すると、春夏さん、
「はい」
ってとってもいい返事をしていた。
「仕方ない、じゃあ、行きますか」
と言うのは葉山だ。
「悪いね聖王さん」
と言ってから真希さん、
「別にあんたが付き合う必要はないんだよ、こいつに巻き込まれると世界の中心で大迷惑に巻き込まれるべさ」
と言った。そうしたらさ、葉山が、
「だから、これも私の問題です」
と言った。
「では、真希さん、今回は私たちも同行します」
そう言うのは雪華さんだった。
助かるなあ、雪華さん、今、この状態で僕らだけ行けって言われても、いやあ、って感じだったから、なんか彼女がいると上手く解決しそうな気がする。
で? 何したらいいんだろ?
すると足に違和感が、って程でもない痛みが。
誰だよ僕の足踏むのは、
と見ると、茉薙が僕の足、踏んでいた。
「何?」
「俺も行ってやるよ」
一生懸命僕の足をグリグリ踏んでる茉薙だけど、体重軽いから全く大した事なくて、痛みはともかく、悪意のみが伝わって来る感じだよ。
「茉薙、真壁の足を踏むのをやめなさい」
と、葉山が言うと、
「うるさいな、静流は黙ってろよ」
と可愛くないことを言う茉薙だ。
「やめなさい、茉薙」
と今度は雪華さんが、普通に言った。怒ってる感じゃなく、むしろ葉山の言った時より優しく言ってる感じだ。
すると、茉薙は、
「はい」
って言って僕から離れた。
「秋先輩と一緒に行きたいんでしょ? なら準備しなさい」
と雪華さんに言われて、とっとと自分の装備を整えに行く茉薙だった。