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第35話【ダンジョン・オブ・リビングデッド 胎動編④】


 一応、今現在、ギルドの人たちや、それに協力している人たちが隈なくダンジョンを回って確認しているけど、ゾンビは増えて行く一方で、一体どれだけの数のゾンビがこのダンジョンにいるのかって言うのもわかっていない状況なんだって。


 で、知り合いがゾンビ化するのを見て、ちょっと事態の深刻さを実感した僕は、なんかリリスさんの気持ちもわかっていたたまれない。


 ほんと、オロオロしているリリスさんなんだけど、 


 「落ち着いて、リリスさん、秋先輩が来たから、これから対策を伝えるから」


 と、雪華さんが言った。


 「…すまない」


 とシュンとしてしまって、こんな取り乱したリリスさんを見たのって初めてだった。


 そんなギルドの事務所なんだけど、いつもは保健室に詰めてるカズちゃんもいる。


 「アッキー、今回はちょっと大変かもしれないべ」


 と室内の中心に真希さんがいて、さらに深刻そうに、


 「今回ばかりはダンジョンの封鎖も考えているべ」


 と言った。


 そして説明された。


 事の発端は、最初は深階層での数名の行方不明者が出たと言う通報から始まった。


 つまり、行方不明になったダンジョンウォーカーの家族からの捜索要請が全ての事の発端だった。


 今だから考えられるけど、深階層での冒険者だけなら、概ねダンジョンに潜りっぱなしの人間か多くて、この連絡がなければギルドは確認に動く事も気がつかなかったかもしれないと真希さんは言っていた。


 しかも行方不明者の人の具体的な名前とかも無くて、通報者も自分の名前とか言わないで、匿名な感じで、『帰れない人がいるよ』程度の内容で、最初はギルドの人たちも単にイタズラかな、って程度だったんだけど、最近、このギルドに参加した数藤澪さんが、ダンジョンの人員管理簿を調べて、確かにいつもより、たった2〜3%のダンジョンの中に残っている人の数の多さを指摘したんだって。


 %で言えば僅かな誤差だけど、ダンジョン残留者の数としては割と異常な数値らしいんだ。そして、その澪さんに言わせるから、それは決して無視できない数値らしい。


 特に事件でも起きない限り、特別なイベントでもない限り、これだけの残留者はあり得なくて、通常は1%以下になるらしい。


 特に、深階層。


 で、深階層の各組織に連絡を回すと、ある1組織がまるっと連絡が取れなくなっている事が確認できて、つまりは組織一個分の行方不明。これは何かは起こっている、事件だって事で、いつもの様にギルドは捜索部隊を組織し、深階層に向かわせた。そしてその中に土岐もいたんだ。


 一応、シリカさんのマップ技能で、索敵はして、その消えた組織、『黒の集刃』の人たちが、どの へんにいるかわかっていたので、発見に至るまでの経緯はそれほどでもなかったんだって。 


 この時も、そのダンジョンウォーカーの数と動きは把握できて、その上で、おかしな動きするなあ、って話は出たんだけど、まさかこんな事態になっているなんて思わなくて、ちょっと臆病すぎるくらいの人数で問題の場所に駆けつけたらしい。


 そして、発見までは問題もなくスムーズに進んで、連絡の取れなかった行方不明者との接触、問題はその後で、組織されたギルドの捜索隊は、そのまま帰ってこなかった。


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