表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
599/1335

第30話【新たなる王の誕生に神々は微笑む】

 ん? ちょっと待って、っていう事はさ、つまりいは、葉山って、委員長と聖王のかけもちって事になるのかな? うちの学校って、クラス委員と、クラブとかの代表とか、生徒会の掛け持ちって駄目だった気がするけど、今、ここでそんな事を言っても、空気読めないヤツみたいだから、気になったけど黙ってた。


 で、葉山、聖王に任命されてしまうんだなって思うと、僕らは普通に武器を手に入れるはずの儀式的なものだって思ったから、なんだろうなあ、とてもビックリした。


 「いや、兄、こっちが本命なんだ、もちろん、アモンを倒す為の武器も与えるぞ」


 ん? 聞き間違いかな? 今、誰を倒すって?


 「私たちは、それぞれが皆、所謂三竦みな形になっていてな、それぞれが自身を分かつ武器を、互いに交換して持っている、つまり、ゼクトの王の持っている武器は、このブリドを分かつ武器と言う事で、唯一、ブリドを完全に倒せる武器という事だ」


 と説明してくれる。


 罪槍バーゲスト、今は持ち込んでないけど、流石に人の部屋に入るに当たって普通のかっこしているクソ野郎さんだけど、あの時の黒い魔槍だ。ダンジョンの中から現れた所謂ダンジョンの『贈り物』。扱いは鬼難しいけど最強の槍って聞いてる。


 それは妹じゃなかった、ブリドの一部であり、唯一、倒せる槍。


 あれ? ちょっと待って、なんか矛盾を感じたんだけど、って思っているとどんどん儀式は進んで行く。


 「静流、これを持つといい」


 と妹、この場合ブリドか、そのブリドが両手を差し伸べると、中空に、杖? いや それにしては短いし、メイス系にしては形が変な、そんな武器らしき物を二つ姿を出現させる。


 「破壊の双杖『ヴァルカ』、静流は表に出ることはなかったけど魔法のスキルがあるんだ、それと感覚系スキルの能力が高いからきっと誰よりも上手く使えるだろう」


 とその杖を二本渡される。


 その葉山が、その手に二つの杖を持つ事で、ようやく、それが何の形かわかったよ、あれ、『銃』だよ、多分、マスケット銃、だったけ? それを二丁受け取っていた。


 葉山がそれを受け取って、何となく、そのまま手を下ろそうと、そのマスケット銃は、ホルダーも無いのに、腰のあたりに吸い付くみたいに、葉山の手を離れて、その場に待機するみたいに固定されていた。


 側から見ると、腰のホルスターに収まったみたいに見える。


 うわ、カッコイイ。


 とか本気で思ってる僕がいるよ。


 このダンジョンで、銃を使う人っていなかったから、なんかとても新鮮。


 でも、このダンジョンって、近代機器って携帯電話とスマホくらいしか使えない筈だから、外から銃器を持ってきても機能しないって話は聞いたことがある。


 火薬とかが爆発しないんだって。あとガスも燃焼しない、魔法の炎以外は火がつかないっていうのが常識だから、これはこれで魔法の道具なのかもしれない。


 「魔法スキルって言ってたから、多分、魔導具ね、あ、私は椿だから」


 と、葉山の腰にあるヴァルカをマジマジと見て、そう椿さんは言った。あ、欲しいんだ。その目と仕草でわかる。


 「ねえ、牡丹、これって作れないかな?」


 「そうだね、発想がなかったから、良いきっかけを頂いたわ、面白いわ、後はどんな風に機能するかを見て見ないとね」


 と牡丹さんが言った。そして椿さん、裏も表もないみたいなすっきりした笑顔で、


 「と言うわけで、よろしくね、狂王、当分、私達、あなた達について行くから」


 と言われてしまう。良いけど。


 そしてその言葉で思い出すように気がついたんだ。


 この一連の流れではっきりした事。


 角田さん→薫子さん


 妹→葉山


 アモンさん→クソ野郎さん


 で、さ、この流れでゆくと、僕、王様らしいけど、その僕を指名する神様がいない事に気がついた。


 まあ、僕自身が言っているわけじゃ無いし、ギルドとかでも勝手に言われている事だからさ、別に良いんだけど、なんだか腑に落ちない。


 すると、いつの間にか僕の後ろに立つ春夏さんが言うんだよ、


 「秋くんは良いのよ」


 って、そして、


 「私が認めてるの、だから良いの」


 って振り返って見たら、春夏さん、ちょっと寂しそうに微笑んで言っていた。

 僕は、この時の春夏さんの、寂しいって、そう思えた理由に気がつくのはずっと後の事だった。


 でも、それは決して遠い未来って訳でもなかったんだ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ