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第29話【葉山静流、『聖王』になる 

 どう考えても、なんだろコレ? って思ってしまう僕だ。


 ある意味、みんな厳かな雰囲気になっている事を凄いと思う。


 「私たちは、この瞬間に立ち会える事を奇跡だと思うわ」


 と椿さんが言う。その横では牡丹さんの方も頷いている。


 そして、その椿さんは意を決した様に僕に告げる。


 「ごめんね、実は私は椿なのよ、あなたの知っている牡丹じゃないの」


 って言う。


 まあ、隣に牡丹さんが普通にいるからか、ここでタイミング逃したら言う機会もないだろうけど、僕にとって、その事実は、例え知らなかったとしても、今起こってるここに集まる三柱神の問題とかを考えても無視できるくらいの内容で、ちょっと悪いけど瞬間言われるまで忘れてたから、言われた事のみに驚いてしまった。


 「ごめんね、騙すつもりはなかったのよ」


 って一応の謝罪というか、無礼を詫びる椿さんだよ。


 あ、ああ、うん、ってなる僕だよ。


 その横では牡丹さんが、壁に張り付いて肩を震わせていた。


 「ごめん、牡丹、私が計画って企てた事もちゃんと説明するから」


 と言ってから、


 「牡丹は悪くないのよ」


 って真剣に言ってくる。


 違うよ、牡丹さんは、多分椿さんが思っている様な感情に走って壁を向いて震えている訳じゃないんだよ、多分、椿さんが今まで見た事ないくらいに、牡丹さんは喜んでいるんだよ。いまにも爆笑で弾けそうなのを、場所が場所で時が時だけに一生懸命耐えてるんだよ。多分、きっと幸せなんだよ。だからそっとしておこうね。


 「兄、そろそろ、初めていいか? この後、予定が詰まってるんだ」


 と妹が言ってくる。


 なんと無く、形は、その三人の神様を前に、葉山が部屋の中心にいて、僕と春夏さんがその後ろで見届けている形になっている。隅っこに此花姉妹がいる。


 「では、始める」


 と妹が言った。


 「あのな、静流」


 と、厳かになるものの、言い方がいつもの妹だ。


 「もうちょっとなんとかなりませんか?」


 とアモンさんが忠告する。


 「いいだろ、別に、お前らも結構グダグダだったぞ」


 って角田さんが言うと、


 アモンさんちょっと悔しそうに、で、その隣のクソ野郎さんが笑ってる。


 そのクソ野郎さんの足を思いっきり踏む大人気ないアモンさんだ。


 「なんで足とか踏むんだよ!」


 「踏んでいませんが」


 「踏んだだろ?」


 「私が我が王であるあなたの足を踏める筈がありません、その様に契約され、それはいまも履行されています」


 と、言った。


 「まあ、そうだな」


 ってなんか納得してしまうクソ野郎さんだった。いや踏んだよ、ちゃんと怒ってたよアモンさん、なんかこの二人って言うか一神と一人っていつもこんな感じだよね、何かあるんだろうなあ、って思うけど、まあ深入りはしないよ、人は人とうかう神は神だからね。


 「うるせーな、仲良しは他でやれよ、今はこっちに集中しろ」


 って二人揃って、と言うか神様とクソ野郎さんに揃って怒られてた。ああ、もうめんどくさいからもうこの人達、二人でいいよね。そしてアモンさんが怒られてるのってなんか新鮮だった。


 「なあ、初めてもいいか?」


 と雰囲気を見て妹が言う。どうしてか僕を見て言う。


 再び、厳かになる。


 みんな静かにその時を待つ。


 場が整ったのを悟ると、妹は言う。


 「葉山静流、前へ」


 その言葉に、葉山は、


 「はい」


 と言って前に一歩出る、もう一歩でちゃうと妹にぶつかっちゃうからね。ごめんね狭くて、ってなんで僕の部屋でこんなことしてるんだろう?


 僕の疑問を他所に、この儀式? 粛々と続けられて行く。


 「三柱神ブリトの名において、貴方を『聖王』に任じます」


 と言った。


 え? 葉山、王様に任命されたよ。


 ああ、そうか、これはその為の集まりだったんだ。



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