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第20話【魔法スキルの限界を突破する姉妹】

  椿さんを見守る形で後ろにいた角田さんが変な声を出して、「うお!」とか言ってた。僕もその声というか、その九首さんの消えっぷりに自分のされた事を思い出していた。


 「嬢ちゃん、今のもしかして、『イジェクト』か?」


 と角田さんが聞くと、


 「ええ、そうよ」


 と静かに椿さんが言う。確かイジェクトって、魔法でもスキルでも無く、三柱神の使う奇跡の一つで、妹が安易にバンバン使って今ひとつ僕にとってはあまり新鮮さとか驚きもないんだけど、人がスキルとして使えるものでは無いくらいの事は知ってる。


 「さすがに大賢者としては驚いているようね、このダンジョンで起こっている事象の全ては魔法スキルと言う言語化されたスキルで再現が可能なのよ、神の奇跡だって例外じゃないわ、で、これはその一部ってわけ」


 「そんな所まで魔法スキルを解析して利用しているダンジョンウォーカーなんて今までいなかったな」


 って完全に一本取られたって顔してる角田さんだよ。


 角田さんの驚いている顔ってあまり見れないからとっても新鮮だ。


 「当然よ、私と牡丹は与えられたものを当たり前の様に使う既存の魔導師とは違うんだからね、発見と探求、解析と分解、構成と構築を繰り返して研究してるんだから、恐れ入ったかしら?」


 だから、あなたがが自分と牡丹さんがと言うなら、君は一体誰?って話だよ。


 でも、珍しく驚いている角田さんは、


 「ああ、大したもんだ、これは完全に予想外だな」


 と言って、どこか喜んでいるみたいだった。


 「座標も指定してるんだ」


 と、葉山が床に脱ぎ捨てられる様な衣類や髪の毛を汚い物を触るみたいに、マテリアルソードで端に寄せながら言う。さすが委員長だよね、きちんと後片付けしてくれてる。


 「もちろん、今頃、天塩駅前にいる筈よ」


 と言った。遠いなあ天塩駅、駅だけと廃線された羽幌線の廃駅だから電車で帰ってこれないなあ、もう一息で稚内だよ。 


 髪の毛毟った上に、真っ裸で天塩駅へとイジェクトしたって事だね。容赦ないなあ。此花妹。オロロン鳥とかに襲われてないといいけど。


 そして、椿さんは、


 「ギルドの姫様、こいつら全部、ギルドの方に送っておく?」


 と壁画になっている連中を指して、薫子さんにそう尋ねた。


 「そうだな、さっきの九首の方はギルドから人を向かわせる」


 と薫子さんが言うんだけど、


 「違う…、あれは多分動かされていただけです、企てた物は他にいるから、あれはほおって置いていい」


 と蒼さんはが言うんだよ。続けて、


 「アレは性格は最悪ですが、人の上に立てる程、頭も良くないし人望もない、誰かが祭り上げでもしないかがり人の上に立てる器ではないです、せいぜい何かに利用されているだけです」


 と言った。つまい飛ばされた九首さんの狭い虚栄心とかを利用して動かしている他の人物がいるって事だよね。


 すると、今度は角田さんが、


 「こいつじゃないですかね、一人、装備が違いますね」


 と言った。見た目に全くわからないことなる装備を一瞬で見抜いたらしい。その辺は流石というかあざといよね。鑑定のスキルだね。


 「え?ホント?変わらないじゃん」


 って椿さんが食ってかかる。 


 そんな壁画になって壁に張り付いている人物達はこの人だけ僅かに動いているんだよ。

やっぱり他に壁に張り付いて、もう動けなくなっている人とは明らかに違っていた。

 みんな吹き飛ばされた時点で気を失ってたからね。


 そこでちょっと気になったのが、桃井くんなんだ。


 なんか彼、いつもとは明らかに違う顔して、その装備の違う人を見つめていたから、


 何かあったのかなって思って、


 「どうしたの桃井くん?」


 って尋ねたら、


 「いいえ、なんでもないです」


 って答えて、その場所から距離を取る様に離れてしまう。


 あんまり見られない桃井くんの沈んだ表情。


 だから僕から距離を置こうとしている実際の態度というか心境と表情が引っかかてしまう僕だったよ。

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