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第16話【此花牡丹……を名乗る妹、椿 参上!】

 朝の喧騒に包まれる、セイコーマート店内。


 ひっそりと僕を呼ぶ声がしたんだ。


 まず、第一声はこうだった。


 「ねえ、ちょっとあんた、アレでしょ、あの、あいつでしょ?」


 アレじゃあわからないよね。


 「ここであんたの名前言ったら騒ぎになっちゃうでしょ、察しなさいよ」


 って、僕と葉山、春夏さんのいる席の前に立って、桃井くんの頭越しにそんな風に話し掛けてくる。


 うん、知ってる顔だ。


 物凄い美少女。もう後光がさすクラスの奴。


 ここいる葉山と春夏さんと桃井くん薫子さんでダンジョンの内の綺麗所全部集めてしまったみたいになってるから、違う意味で目立ってしまっている僕らだよ。


 で、知ってる顔だけど、こっちの方というか話し掛けている彼女とは初めてこうして対面しているんだよ。つまり僕の知り合いは同じ顔だけど違う人。


 すると、葉山が、


 「あなたは、D &Wの…」


 「さすがに、葉山の方は物がわかってるわね、そうよ、その此花牡丹が声を掛けてあげてるのよ、ちょっとは喜びなさい」


 そう言った。胸を張ってそう言った。


 いや、あなたは牡丹さんの方じゃない人だよね? えーと、なんだったけ? 


 彼女への対応に混乱する僕に、いつか聞いたあの、我慢する、と言うか強引に押さえつける様な笑い声が聞こえた。


 その方向を見ると、ほんのちょっと離れたところにテーブルに突っ伏している僕の知っている此花さんがいた。


 うん、間違えいない、この前と同じ服装というか装備で笑ってる。


 「ちょっと、どこ見ているのよ!」


 と言って怒るんだけど、その突っ伏してる此花さんが僕に手でおいでおいでして呼んで席を立て行ってしまう。だから、そっちに行くことにした。


 「ごめん、ちょっと待って」


 と言って、離れている方の此花さんと一緒に席を立って、みんなのいるところのからの死角、洗面ブースの方に回ったら、


 いきなり、


 「すまない、狂王」


 と笑ってんだか、謝ってるんだかの発言をいただく。


 「うん、どういうこと?」


 すると此花さんは、


 「妹の椿なんだ、彼女は狂王に興味があるらしく、それで今回の君たちのクエストに同行しようとしているんだ」


 それはわかるんだけど、


 「どうして、妹さんは自分を偽って、此花さんだって言ってるの?」


 「それは、知り合いである自分として潜り込んだほうが、より自然に君たちを観察できるかもしれないと、私が提言したからなんだ」


 ああ、なるほど。


 「でも、なんかもう隠せてないよね、初対面ですっかりバレてるよね」


 「そこは、バレていないという形で接して欲しい」


 と此花さんが言った。まあ、恥かかせても悪いしね、その辺は付き合えるけど、ここで言っておいた方が本人も傷が浅くて済む気もするだけど、スムーズに次に移行できると思うけど、やっぱり、姉である此花さんは妹さんである椿さんだったっけ、彼女が傷つくのは嫌なんだね。


 それでもちゃんと言った方が良いって思ったからさ、


 「一緒に行って、ちゃんと紹介てくれた方がいいよ」


 って言ったら、


 「それは、ダメだ」


 って話のわかる此花さんとは思えない抵抗をされる。


 「どうして?」


 「え? 面白いから?」


 疑問を疑問で返されたよ。


 なんでこんなわかりきった事を聞くの?って感じで言われたよ。


 「見てくれ狂王、あの椿が一杯一杯だ、いつもの椿じゃない、多分、今頃、『牡丹ってこんな感じかなあ』とかバレているにも関わらず『以外にいけるわね』とか、『狂王がいなくなったのって、もしかしてバレてる?』とか試行錯誤の渦中だ、なあ、これって王道にして神シュチュだな」


 ってもう此花さん目がキラッキラしてる。


 「では、狂王、妹を頼む、あくまでバレていない、彼女は私で牡丹として接して欲しい、もちろん、私は、陰ながら楽しんで…、見守っているから、では」


 と、言ってそそくさと行ってしまった。


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