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第8話【桃井君と、あのラミさんの関係】

 自分達に値段って…。


 本当にギョッとしたら、高和さんが、


 「どうです? 今ならセット価格でお買い得ですよ」


 って、松橋さんを自分の方に引っ張って言ってた。


 ああ、これは完全に僕、からかわれてるんだって分かる。ほら何時も真希さんとかにやられてるからさ、分かるよ。


 「こら、やめないか桃、すまない、こういうやつなんだ、冗談はさて置き、私たちからはこれを」


 といって僕にカードを差し出す。セイコーマートのカードみたいにしっかりしたカード。なんだろ? 受け取って眺めて見る。


 「きっと、これから君がこの深階層で活躍するに当たって、多様なアイテムを手にいれることになるだろう、全てとは言わないが、不要な物は私たちに積極的に引き取らせて欲しい、もちろん、この深階層以降、いろいろな商取引集団がある、何処を使おうと君の自由なのだが、こうして初見で会えた理を有効に活用させてもらっている」


 つまり専属契約でもなくて、しかもきちんと他の団体というかお店的な物があるって教えてくれているから、公平公正な人なんだなって思った。つまり信用できる人。


 だから、


 「よろしくお願いします」


 「ああ、良かった、これからよろしく頼む」


 と松橋さんとも握手した。


 「一応、会員のグレードは最高の『ダイヤモンド』にしてある、『HDポイント』も私たちからのプレゼントとして、今後私たちが経営する宿泊施設を1ヶ月程度は貸切にできるかもくらいは入っている、自由に使って欲しい」


 そんな事を言われると気軽に持っていたカードが重く感じる。ちょっと可愛いイラストが尊く見えた来るから不思議だ。


 ご優待券に、図書券みたいな金券とか、普通にお金を貰ってしまった感じで、なんかちょっと恐縮というか遠慮したい気分になる。僕としてもまだ、このHDCDの人の事って何も知らないしさ、こういうのってなんか気まずいんだけど、


 「ああ、真壁殿、これは私たちからの好意なんだよ、私たちは君に敵対するものではないという、割りとやり易いやり方なんだ、そして君と友好関係を結ぶことによって、私たちには様々な利点がある、その辺もきちんと『価値』として具体的に計上しているから安心してくれ、私たちに損益は無い、むしろもらいすぎな方だ」


 とっても賢い人と話をしているみたいな感じで、なんかこういう時って納得しないとって思うんだけど、そこで桃さんが、


 「硬いよ、瑠璃、つまりね、狂王様が持っている、狂王様自身がなんとも事を思っていない価値が私たちにとって大きな価値があって、それを使わせてもらう上に、君たちの能力と性格から、いずれ手に入れるであろうアイテムの取捨で要らないものを引き取るって言う、他の冒険者が手に入れられないレアアイテムの君達からの流通も既に計算しているのよ、最大の利点は、君と協力関係にあると言うこと、そしてこの時点でそれを表明できる事なの」


 と桃さんが言う。


 「これから深階層に入って、今までの様に日帰りでは冒険はできなくなる、君たちには衣食住などの煩わしさなど感じずに自由にやって欲しいんだ、もちろん、それは私たちの為にもなる」


 と松橋さんが追加で説明してくれた。


 高和さんのわかりやすい説明は、つまりは僕、これ貰っても良いって事だよね、って事で良いんだな、きっと。よくわからなかったけど、きっとそう言う事だろう。


 「ありがとうございます」


 と言うと、松橋さんも桃さんもとても喜んでくれた。


 「じゃあ、真壁君、君たちの深階層最初の冒険をご案内しよう」


 と小々島さんが言った。


 深階層での僕らの一番最初の目的は、葉山の武器を手に入れる事。


 目の前に目的を置いた事で、なんか、本当に深階層での冒険が始まるなあ、って気がしてきた。


 よおし、って気合いを入れる僕の体がフワッと浮いたんだ。、


 あれ? 


 って振り向くと、僕、巨大なモンスターに体をむんすと掴まれ持ち上げられていた。


 今まで、そのモンスター、完全に透明化して僕に近づいていたみたい。なんと言っても敵意、と言うかあの独特のモンスターとの遭遇感覚とか無いから気がつかなかったよ。


 まるで歌う様に喉を鳴らすその最近、ハイエイシェントモンスターに分類された、あのラミアさん。


 「うわ、懐かしい、良かった、元気だった」


 ニコニコ笑うラミアさん。


 その肩にちょんと座っているのは桃井君だった。


 「秋様、遅れて申し訳ありません」


 と言った。そして、


 「僕の嫁のフアナです」


 とラミアさんを紹介してくれた。


 ・・・・・・・・。


 まあいいや、聞きたいことはあるけど、まずは一回下ろしてよ。


 ひとまず、僕の深階層はこうして始まったんだ。

 

 

 


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