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第7話【葉山の加入、新し葉山】

ほんと、深階層、美人が多い。


 でもさ、その出で立ちがさ、ちょっと深階層なのかな?って感じで、普通のシャツにスラックス、そしてエプロンなんだよ。なんか、どこかのお店の人って感じがするんだけど、なんのお店だろ?


 「やあ、真壁君だね、初めまして、|小々島 佳織《ここじま    かおり》です」


 と手をひらひらさせながらやって来る。声は男の人の声だから、多分、この人男の子だね、どこか桃井君と同じ匂いがするよ。


 すると、葉山が、


 「小々島さん、武器の情報を買いたいんですけど」


 と言い出す。


 「ん? 君、真壁君と同種の剣を持ってるじゃ無い、あれ以上のものって、多分、ドロップでは無いねえ、『置物』としても存在はしてないんじゃ無いかな」


 「いえ、欲しいのは弓です」


 と葉山は言った。


 「ああ、そうか、そうだね、弓か」


 と小々島さんは一瞬考え込んで、


 「確かに、このダンジョンで、君みたいに弓を扱える人ってあんまりいないから、まだ、『置物』としてはそれなりに強い武器は残っているなあ」


 「流通はしてませんか?」


 「使う人っていないからね、流れていても、高いし、多分、今は無い」


 考え込む葉山だ。


 そんな葉山に声を掛けるのが一心さんだった。


 「葉山さん、下がるんですか?」


 これは僕らパーティーにおいて葉山が戦闘に加わるって前提の位置についての言葉だ。それくらいは僕にもわかる。


 「はい、以前みたいに全距離ってわけにもいかないので、自分の得意な距離を作って行くのに、新しい武器がいるなあ、って思ったんです」


 そうなんだ。


 てっきり葉山は前衛で僕と一緒に戦うって思ってたんだけど、本人にしてみると考えるところはあるらしい。


 確かに、あの凶悪なスキル『血の剣源』だっけ? 葉山にも残ってはいるものの、あのスキルは大部分は茉薙のものだから、それを無くした今はって考えると葉山の申し出ももっともだって思うけど、それにしても素の葉山だって相当に強いよ。あのデタラメなスキルだって葉山の戦闘技術とセンスがあったからこその物って考えると、かえって茉薙の方が出涸らしって気がしないでも無い、茉薙には悪いけど。


 すると葉山は、


 「真壁と春夏の前衛、蒼さんも全距離だけど結局は前衛、どう考えても前に私いらない、でも角田さんとか桃井君、しっかりとした後方との距離とか考えると、中距離があったほうがうまく回るから、私、普段はその位置まで下がろうと思うの」


 って言った。


 すごいな葉山、僕のパーティーでそこまで考えている人って、僕を含めていないと思う。ってかみんなそれぞれ普通にと言うか勝手にやっているイメージしかない。なんか葉山の言うことを黙って聞いている僕だけど本気でダンジョンに挑んでいるパーティーな気分になって来るから不思議だ。本気だけど。 


 あ、そうだ。


 「ねえ、葉山、『物置』って何?」


 まさかダンジョンの中に本当の物置的な倉庫とかある訳でないからさ、きっと何かの隠語かなにかだと思って聞いてみた。


 「逆、逆、『置物』だよ真壁」


 ああ。


 「ああ、真壁さんは深階層初日なんですよね」


 と小々島さんがニッコリ笑って言った。うわ、凄い可愛い笑顔だ。けど男の子なんだよね? 多分方向性としては桃井君と同じ可愛い男子なんだけど、ちょっとこっちの小々島さんの方が艶っぽいと言うか、明らかに僕を見る視線に何か乗ってる。


 「あ、真壁君、気をつけてた方がいい、そいつ、男も女もいけるから」


 と辰野さんが言うと同時に僕、一歩下がってしまった所に葉山が入る。


 「変な事言わないでよ、ほら、警戒された」


 と本気なんだか冗談なんだか分からないって顔をして小々島さんは辰野を睨んでいる。


 「ああ、真壁さん、置物っていうのはね、固定された場所に必ず置いてあるアイテムの総称で、必ずと言っていいほど強力な装備なんですよ」


 小々島さんは気を取り直したって感じで教えてくれる。


 「辰野さんの持っている剣『グラム』一心さんの『村正』もそうなの、どれも類を見ないくらい強力よ」


 と葉山はそっと教えてくれた。思わず、彼らの持つ武器を凝視してしまう。


 つまり、その弓版を葉山は欲しいって事なんだな。


 すると、小々島さんは、


 「いいでしょう、私たちチトセ商会は全面的にあなた達の味方です、今回は無料で情報を提供します」


 と言ってくれた。すると、


 「うわ、佳織が『無料』とか、ありえないわ」


 って、桃さんが言った。他の人の反応をみると、辰野さんもちょっと苦笑いって感じ。


 「自分たちに値段を付けてる君らに言われたくないなあ」


 と桃さんに向かって小々島さんは言った。


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