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第50話 【僕は春夏さんの意思を、自由を守るよ】

 とても綺麗な人。


 どこか大人な雰囲気、もっとも歳は上だと思う。


 でも、美人度でいうと、やっぱり春夏さんかなあ。


 可愛度でいうと、やっぱり春夏さんだなあ。


 いや、今は、ここにいない春夏さんを思い出してにやけているばあいじゃない。


 で、すらっと前に立つ女性。


 筋骨隆々って感じじゃなくて、スラリって感じかな。体型は春香さんに近くて、顔つきは少しそれより穏やかで優しい感じ。ショートに切りそろえた髪も、すこし散らばった前髪も、なによりも、そのタイトなスーツ姿が、ここにいる誰よりも大人って感じがした。


なによりも、こんな近くに座られてしまって、距離は近いし、大人の女性のいい匂いはするしで、思わず緊張してしまう。


 「こんにちは、私は冴木 翔子(さえき  しょうこ)、札雷館では春夏の先輩で、東雲警視の部下、よろしくね」


 東雲警視って事は、春夏さんのお父さんの職場の後輩さんて事だから、婦警さんて事でいいのかな。


 警察関係者さんがいてくれるなら、公共秩序とか維持してもらえるよね。


 ちょっと安心した。


 それにしても、ここにいるのは札雷館(さつらいかん)の北海道支部の方達ってことか。


 札雷館というのは春夏さんの通う道場で、北海道を中心としたほぼこの国どころか世界にまで広がる大きな道場で、春夏さんのやってる剣道ばかりじゃなくて、いろいろな武道をしているところってことは春夏さんから聞いている。


 世界的な格闘家やお茶の間で同じみなプロレスラーやら、ボクサーなんて人たちも輩出している有名団体だ。


 総合格闘技系団体っていうのかな? まあ、不器用な僕には縁のないところだと思ってるよ、僕、基本、剣しか使えないしね。

 それでもダンジョンウォーカーでも深階層に行けるような人でも、ここに通う人は少なくないって話らしい。


 彼女、冴木さんは、その札雷館で、剣道と西洋剣の師範代をしているって言う話だった。


 イケメンで長身で乱暴者の君島君さんは、さっきまでの勢いがなくなっていておとなしい。早速婦警で師範代さんがいる効果が現れているようだ。


 「ごめんね、君島くんが結構無茶して君たちを困らせてしまったみたいだよね、あなた達、ちゃんと見ていてくれた?」


 左右のイケメンさんは無言でうなづく。なるほど、彼らはどうやら君島くんさんの暴走を止めに来たらしい。なんか一緒にしてしまってごめんね、って気持になる。


 でも、君島くんさんの行動に対しては、全くですよ、って言いたいけど、ここは、


 「いえ、別に」


 と言っておいた。普通に、大人な対応だな僕。


 「本当に怖かったでしょ、こんな大きな人に囲まれて、前は少し乱暴されたって、春夏から聞いているわ」


 本当に、全くその通りで、今日も迷惑していますよ、って言いたかったけど、まあ、大人な婦警さんも参加してくれている事だし、事態は収拾しそうだし、ここはまあ、今年から中3の僕だけど大人になって、


 「いえ、もういいです」


 と恐縮しておいた。


 正直、最初にこの君島くんさんを見た時には、体も声も大きくて、威圧的で怖いなあって思ったけど、角田さんとか一緒にいるせいもあって、今日見た時はそれほどでもなかったんだよね。


 強そうでもなかったし、強いっていうなら、多分、ここ最近更新された僕の中の指標では、今の時点ては一番強そうな感じを受けたのは、やっぱり真希さんかなあ、あの小さな体格で、ちょっと残念な性格で挨拶や諺等については壊滅的だけど、今思い出しても、全く逆らえる感じがしないんだよね。


 まあ、こんな奴ら、真希さんに比べたら、ペラッペラの紙みたいなプレッシャー、ペラッシャーだよね、薄い薄い。


 本気で、この僕ですらどうにでもできるって考えてしまうのは、やっぱり危ういっていうか、ちょっと戦いに、ダンジョンでの毎日、暴力に慣れてきているせいもあるのかな?って思う。 


 なんて考えている間にも、冴木さんて婦警さんは色々喋っていた。


 なんかもっともらしいことを言っていたので、「はい、そうですね」なんて適当に相槌を打っている僕がいる。


 たぶん、この辺は言い訳っぽいから聞き流してもいいやって、傍若無人な人みたいになてってる。横柄だな僕。


 でも、一応は総合格闘技団体名乗ってる人達がさ、新人ダンジョンウォーカーに対しての恫喝とか脅迫とか、なんなの?


 ってなると、もう僕は一方的な被害者だからね。


 だから、下手に出る必要もないんだからね。


 ちょっと強気を弱気で思ったりするんだ。


 席も、冴木さんに逃走経路をふさがれてるしね、なにより春夏さんの為だもの、覚悟は決めてる僕だったよ。


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